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出発前夜
しおりを挟むシュロと舌を絡め合っていれば頭がぽーっとしてくる。ふわふわして、ほわほわして、もふもふに埋もれたい。
「大丈夫か?」
「んん……」
「駄目そうだな、休憩するか。」
休憩…お休み…
「やぁ。もっと。」
「あー、可愛いな。」
そっと大きな手で頭をよしよし。あーもー、すき。
「シュロはかっこいい。」
「……俺たち獣人にそんなことを言うのはヒカルくらいだ。」
「獣人さんだからかっこいいんじゃなくて、シュロだからかっこいいんだよ。シュロだから、すき。」
格好良いし良い匂いだし、優しいし好きだ。
「ふは!しっぽ!」
「あー…すまない。」
格好良いけどやっぱり可愛い。パタパタしっぽは可愛い!
「明日は沢山作り置きしなきゃ。」
「俺も手伝えたら良いのだが…料理はあまり得意ではない。すまない。」
「シュロがお料理得意だったら、僕がやる事なくなっちゃうよ。」
何でも出来たら僕は必要なくなっちゃう。
「一緒にいてくれるだけで良い。」
「うーん、それは嬉しいけど、でもやれることは頑張るね。」
「あぁ。ありがとう。」
くっついて、ぎゅうってして、ぽつりぽつりとお話し。時折冷たい鼻先で顔や首を擽られる。
「明日はチッチとシュロの好きなものを作るね。シュロは何が良い?」
「ヒカル。」
「もー、そういうんじゃなくて!」
これじゃバカップルみたいだ。
「あの、前に作ってくれたハンバーグはとても美味かった。」
「なるほど。じゃあゆで卵入れて大きな爆弾ハンバーグにしようかな?」
「爆弾…爆発するのか?」
窺うような表情で上目遣い。
「ふは!違うよ!爆弾みたいに大きくて丸いってこと!」
「見た目だけか…」
「当たり前でしょう?」
爆発するお料理…びっくりだ。
「いや、ヒカルなら出来るような気がする。」
いや、なんで!そうやって笑い合いながら、いつの間にかシュロの熱い胸板に頬をつけて目をつぶっていた。
チッチ希望のグラタンとフルーツサンドは他の沢山の作り置きたちと一緒にココさんに託す。出発前夜の今日の夕食はシュロご希望の爆弾ハンバーグ。
「わぁぁ…!大きい!おにーちゃんすごい!」
テーブルに手をついてぴょこぴょこと喜びを現わしてくれるのが何とも言えない可愛さ。
「チッチ見ててね?切るよ?」
ナイフで半分に切ってあげれば出てくるゆでたまご。
「うわぁ!たまご!すき!」
「俺も好きだ。」
二人してしっぽが動く。
「ふは!可愛い!」
「そうねぇ。可愛いわねぇ。」
「ココさんにはチーズハンバーグにしてみました!」
「ほほほ、これは尾っぽも動いてしまうわ。」
何で獣人さんはこんなに可愛いのだろう。日本で子ども食堂をやっている時も子どもは可愛いと思っていたし、今でも可愛いと思っている。でも、大人になっても、ココさんのようにおばあさんになっても可愛いのはやっぱり獣人さんの耳やしっぽがあるのも関係あると思う。無くても可愛らしいけど、あったら尚可愛い。もっふもふだし。
「チッチ、熱いからふーふーしてね?」
「はーい!」
素直にふー!ふー!と声に出して冷ます。
「おにーちゃん!おいしいよぉ。ありがとう!」
「どういたしまして。沢山作ったから沢山食べてね。」
「うん!まかせて!」
「ココさんも…チッチをよろしくお願いします。」
「ほほ。これで5度目のお願いよ?」
「うぅ、心配で。」
何度言っても心配なものは心配で、ドキドキとしてしまうのだ。
沢山食べて、皆でわいわいとお片付け。
チッチのおでこにキスをしておやすみのあいさつ。明日は早いから、スハスハももふもふも存分に。
「もー、おにーちゃん!おわり!おわりにしてぇ!」
「ん~、もう少し…延長お願いします。」
「またぁ?えんちょーはおわりですっ!ねんねしてねぇ!」
抱き締めた背中をとんとんされて、諦めて本当におやすみなさい。
よたよたと悲しみのまま寝室へ行き、シュロに抱きついた。
「今日は早く寝ような。」
「ん、明日はやいもんね。おやすみなさい。」
「あぁ、おやすみ。」
違和感を感じて夜中に目が覚めた。
「…んん、しゅろ?」
「はは、ヒカル見てみろ。」
違和感の正体…僕とシュロの間で丸くなるねこちゃん。
「あー、かわいい。」
大きなねこちゃんがまぁるくなって片方の手のひらを枕代わりに、ほっぺたを乗せてすやすやと眠っている。
「ぎゅうして良いかな?」
「俺もしたい。」
起こさないようにそっと抱きしめれば、チッチを抱いた僕ごと抱き締めてくれる。
「ふふ。やっぱり腕の中にチッチがいて、シュロに抱きしめられるの最高。凄くもふもふ。」
「くふふっ!おにーちゃん、だんちょーさん、くるしいよぉ。」
「わ!チッチ起こしちゃった?ごめんね。もっかい寝よう?」
「んーん!あのね!チッチ起きてたよ!いまね、もぐりこんだの。ごめんねぇ。」
そんなの謝らなくて良いのに。そう伝えれば首をふるふる。
「まなーいはん、だよ。」
「気にするチッチが可愛いよぉっ…!」
「あ!おにーちゃん、すはすははおわりだよぉ。」
ぷんぷんとしながらもぎゅっと僕のパジャマを握る手は外さない。
「うん、ごめんね?さ、もう一度寝ようね?」
「うん、ねようね。あのね、おにーちゃん。だんちょーさんも。」
腕の中で上目遣い。うぅ、可愛さに心臓が痛い。
「どうした?」
そんな僕を気遣ってか、シュロがお返事。
「チッチね、まってるからね。」
「うん、待っててね。お留守番よろしくね。」
「はい!……チッチずっとまってるからね、おそくてもいいからね、あのね、ちゃんとかえってきてね。」
言葉が出なかった。母親の事もあるし、この世に絶対はない。僕だってあちらの世界で死ぬのは一瞬であった。
「チェチリ、もしな、ヒカルに何かあったら俺が守る。全力で守る。命をかけてでも守る。だから、もし戻らないような事があれば悔いはないと思ってくれ。……だが、番になってくるだけだからな?あまり気負うな。」
ぽふぽふとチッチの頭を撫でながら言葉を選ぶシュロ。簡単に、絶対に戻るから心配するなとは言えない。現にチッチの母親は帰ってきていないのだ。
「チッチ大好き。」
「チッチもおにーちゃんとだんちょーさんとカイくんとおばーちゃんと…みんなみーんなだいすき。……おかーさんも。」
「うん。シュロの事は僕が守るからね。結界も出来るようになったし、しっかり守れるように頑張るから…だから、このおうちはチッチにおまかせするね?」
「はい!チッチはね、がんばってこのおうちをまもります!」
こんなに小さいのに、こんなに頼もしい。
「可愛くて強いチッチは僕の自慢の家族だよ。」
返事はなかったけれど、チッチが顔を押し付けた胸元が少しだけ、ひんやりとした。
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お返事遅くなりました🥺!
更新を待ってくださってありがとうございます。
そろそろ更新再開したいなぁ…と思っているのですがなかなか…でも最新話ちょこちょこ書いているので😭
もう少し待って頂けたら嬉しいです😌♡
もう可愛くて悶えながら読まさせていただいてます
!
チッチのおしゃまさんだけど思いやりある行動とかシュロの漢らしいけど可愛いとことかもう可愛すぎて(*'ᴗ'*)
更新楽しみにしてます✨
嬉しいご感想ありがとうございます♡
嬉しいです…!最近更新期間があいてしまっていたので…しっかり更新できるようにがんばります🥰!
ひゃん♡
ヒカル君が積極的でシュロさんの忍耐力どうなっちゃうのー?
って、ドキドキしながら読み終えたらファンアートをご紹介くださってる!?
ありがとうございます!!
(お伝えできたら満足なので承認不要です)
すみません💦
承認しないで良いとのことでしたがいつの間にかしてしまっていたのに今気が付きました😭ううう、すみません。
ファンアート本当に可愛いです♡
ありがとうございました♡宝ものです…!