さみしい声の狼さん

まつぼっくり

文字の大きさ
上 下
9 / 30

9 一緒におふろ

しおりを挟む
 
「本当は全部洗ってやりたいが、俺が居ないときに一人で風呂に入る事もあるだろうからな。自分で洗えるようになろうな。」

 石鹸を柔らかい布を使って泡立てて、体を洗う。クレイグは硬めが好き、との事でブラシでゴシゴシ体を洗っているけど、痛くないのだろうか。試しに余っていたブラシで左腕を何度か擦ってみたら直ぐに肌が赤くなって慌てたクレイグに取り上げられてしまった。

 洗う順番は真似すれば良いと言われて真似っこしているけど体を綺麗にするというのはこんなに大変だったのかとしみじみ思う。
 綺麗にしている筈なのに腕を上げ下げしているだけで汗が滲んできてる気がする
 魔法だと楽なんだけどなぁ…
 もこもこと泡だらけになりながら隣のクレイグを見ればぼっこりと小さなボールを入れたような二の腕を泡が滑り落ちる。
 うーん。やっぱりお風呂も良いかもしれないとごくりと喉がなる。
 ジッと見つめすぎたのか、クレイグが此方を向きその顔は「どうした?」と疑問顔。何でもないと首を振れば「ここ洗えてないぞ。」と首裏をそっと撫でる。
 腰裏や膝裏までするすると撫でながら指摘される。

「後ろは難しいよ。」

 答えながらも「ふふ」とくすぐったくて声が洩れ出る。
 洗えていないところを教えて貰いながらやっとの思いで体を洗い終わり、暖かいお湯であわあわを流されると「ふあ~」と思いがけず声が出てしまう。
 さっぱりして気持ちいい。そう伝えれば頭をくしゃっと撫でられる。

「次は髪だな・・・取り敢えず見ててくれるか?」

 そう言って僕の体を優しくお湯で流した手つきとは違って豪快にお湯をかぶって髪用の石鹸でガシガシと頭を洗ってざぱーっと流す。

「石鹸が目にはいると沁みるから、目は瞑った方がいい。」

「はぁい。」

 えと、お湯を汲んで目を瞑ってかぶる。石鹸を泡立てて髪につける。石鹸・・・石鹸どこだろ。手をのばして探ると石鹸の方から手に当たってきてくれた?まぁ、いっか。泡立てて髪につける。
 うーん。泡が直ぐになくなってなかなかあわあわにならない。
 髪が長すぎて纏まらないしごしごししてると絡まって痛い。クレイグはちゃんと出来てたのに。何でだろ?と考えて閃き目をぎゅっとしたまま問いかける。

「クレイグ、ここはさみある?」

「鋏?どうしたんだ?」

 何だか声が焦っている。

「あのね、髪切ろうと思って。そしたらクレイグみたいにちゃんと洗えると思うの。」

「あー、鋏はないな。そういえば髪の長い者は人に洗って貰う事が多かったな。失念していた。俺が洗おう。」

 一度流すぞ、と優しく優しくお湯で髪を流されてクレイグの大きな手が頭皮をマッサージするように洗ってくれる。耳の裏や首なんかも一緒にマッサージしてくれて、とっても気持ちがいい。

「うぁ、あー、クレイグ、そこ、気持ちいい。」

「ここか?」

 髪の生え際辺りをグッと押される。

「んっ、グリグリってしてぇ。」

 この絶妙な力加減、癖になりそうだ。
 無言のクレイグが泡を流して水気をぎゅっと絞ってくれる。
 くるくると高い位置で一纏めにしてパチンと何かで留められると髪が落ちてこない。

「クレイグ凄い!ありがとう。」

 振り返りながらお礼を言うと、何故か狼さんみたいにギラついた瞳のクレイグに唇を塞がれた。

「んゆッ、ん、はぁっ」

 唇を食んで出来た隙間から舌が入ってくる。歯列をなぞりながら逃げる事も出来ない僕の舌へ辿り着くと絡め取られて、くちゅぐちゅと音がなる。

「んッ、んー!」 

 息が出来なくて苦しい。体が熱い。口が閉じれないから溜まっていく唾液をコクリと飲み込めば満足気に離れていく気配がして、思わず手を伸ばした。

「んぁ、からだあっつい。でも離れちゃいや。」

「くっついてるか?」

 クレイグの声が笑っている。でも、

「ん。くっついてて。」

 ぴったりくっついていたい。

「あー、可愛い。これは我慢するのが大変だな。」

 そう言ってぎゅっとしたまま頭をぽんぽんと撫でられる。
 大変…タカギも言ってたしライさんも言ってた。
 下半身が大変…ちらりと目線を下に向ける。

「これは…大変だね…」

 元々大きかったクレイグのおちんちんが更に大きくなっている。 

「大き過ぎて痛そう…僕、頑張るね!」

 そっと触れただけなのにビクリと脈打つそれを握って上下に動かそうとしたところで手首を捕まれる。

「スミレ、何をしている?」 

 苦しそうな顔のクレイグ。直ぐに楽になるよ。
「?、大きくなったら小さくしないと。一回射精すれば小さくなるでしょう?」

「その知識は何処から得たんだ…」

「タカギの性教育だよ!」

 ハァっと大きく息をつきながら掴んでいた手首を外してくれる。

「よろしく頼む。後悔するなよ?」

 にやりと笑った顔に胸がきゅっとして、それを誤魔化すようにもう一度手を伸ばした。



「あッ、んあぁッ」

 おかしい。クレイグのおちんちんを小さくしてあげようとしていたのに。今僕はクレイグの膝の上で、胸を吸われて喘いでいる。

「スミレ、手が止まっている。」

 そう言って存在を主張するようにぷっくりと腫れた僕の乳首を舌先でぐりぐりとこね潰す。

「んんッ、ね、ほんとに、ひぁっ、僕のちくび、舐めてた方が気持ちいいの?」

「あぁ。それにスミレも気持ちいいだろう?スミレのも立ち上がって涎垂らしているぞ。」

 ほら、と人差し指でクレイグと比べてしまうと幾分と小さなそれに触れてくる。さきっぽをクリクリとされて、ぴくんぴくんと動く僕のおちんちん。

「や、あッ、クレ、イグ。ぼくがっ、ぼくがする、からぁっ。」

「ん。一緒にしような。」

 大きさの違い過ぎるそれらを一纏めにして、クレイグの大きな手が僕の手ごと上下に擦ると気持ちが良すぎて何も考えられなくなる。
 溢れた生理的な涙をぺろりと舐めて、胸に戻ったクレイグの唇がヂュッと音を立てて乳首を吸った瞬間、快感が弾けて射精する。そのタイミングで強く握ってしまい、少し苦しそうにクレイグも射精したのがわかる。
 ハフハフと呼吸しながら下半身に目を向ける。二人分の精液がかかった手と、射精して柔らかくなりつつある僕のおちんちん。
 そして、未だガチガチ、ビクビクとしているクレイグのおちんちん。

「えぇ、なんで?」

 胸にまで飛んだ精液を舐めて此方を向いたクレイグの瞳は狼さんの瞳。

「後悔するなよと言っただろう?」

「もう二・三回、一緒に抜こうな?」

 そう告げたクレイグの唇が近づいてくるのを目を瞑って受け入れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18/短編】政略結婚のはずなのに夫がめちゃくちゃ溺愛してくる

ナイトウ
BL
溺愛王弟攻め、素直第2王子受け 政略結婚、攻めのフェラ、乳首責め、本番無し 〈世界観の雑な補足〉 何か適当な理由で同性の政略結婚がある。

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

乙女ゲームに転移したけど無理ゲー過ぎて笑える(仮)

鍋底の米
BL
ある日、高校からの帰り道、とある事故に巻き込まれたせいで、おれは異世界に転移させられた。 『ハーレム学園 どきどき♡サバイバル ~乙女の本気モード~』 そこは、乙女ゲームの世界であった… 称号:聖女? いや、おれ男だし。 しかもなんといきなり2作目? ふざけんな! 突然迫る命の危機?! ハードモード過ぎるだろ!! —— どうやらこれは、ただの恋愛ゲームではなさそうだ…。 ------------------------------------------------ ファンタジー色強め。 だが、BL。されど、BL。 けれど、R18指定はしておりません。 ゲームのタイトルがアレですが、 学園物ではありませんし、 カップリングも固定です。 この時点でかなり読者層が狭まると思います。 それでもオッケーよ、と受け入れてお付き合い頂けると嬉しいです。

エリート魔法使い様の童貞を奪ったら、人生が変わってしまった!

おもちDX
BL
治療院に勤めるウェスタは、魔力がないせいで差別されながらも、持ち前の前向きさで日々を過ごしている。 ある日ウェスタが酒場で偶然引っ掛けたのは、国一番の魔法使い、セレス・カシューン魔法師長だった。 驚くことに、誰もが知る美貌の彼は童貞だった!ウェスタはその場のノリでセレスと寝るが、なんだか周りの様子がおかしくなってきて……? 身分も立場も正反対の彼らが繰り広げる、すれ違いラブ。 主人公の不憫さゆえ途中つらい展開もありますが、ポジティブな性格なので基本明るいお話です。ハピエンです! 寡黙なエリート魔法使い(28)×不憫だけど美人で前向きな平民(24) ゆるっとファンタジー、独自の設定を多く含みます。R18。性描写のある話には※をつけます。 ・表紙イラストはpome村さん(X@pomemura_)に描いていただきました

【BL】【完結】神様が人生をやり直しさせてくれるというので妹を庇って火傷を負ったら、やり直し前は存在しなかったヤンデレな弟に幽閉された

まほりろ
BL
八歳のとき三つ下の妹が俺を庇って熱湯をかぶり全身に火傷を負った。その日から妹は包帯をぐるぐるに巻かれ車椅子生活、継母は俺を虐待、父は継母に暴力をふるい外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。 神様が人生をやり直しさせてくれるというので過去に戻ったら、妹が俺を庇って火傷をする寸前で……やり直すってよりによってここから?! やり直し前はいなかったヤンデレな弟に溺愛され、幽閉されるお話です。 無理やりな描写があります。弟×兄の近親相姦です。美少年×美青年。 全七話、最終話まで予約投稿済みです。バッドエンド(メリバ?)です、ご注意ください。 ムーンライトノベルズとpixivにも投稿しております。 「Copyright(C)2020-九十九沢まほろ」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

ふたなり好きのノンケなのに、幼馴染のイケメンに犯されました

ななな
BL
高校一年生になったばかりのハルには、夢があった。 それは女の子のアルファと番になること。 なぜなら、大のふたなり好きだったからだ。 ハルがオメガと診断されてから、幼馴染のリクの元へと向かうと予想外の展開になって…。 ※オメガバース設定です。 ※ひたすらイチャイチャエッチしてます。エロギャグ寄り。 ※けっこうふざけてます。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

【BL】Christmas tree〜僕たちの偽りの顔〜

樺純
BL
トモヤはある日、同じBARに勤めるユキトにあるお願いをされる。それは女装し自分の彼女のフリをしてほしいとのこと。トモヤは絶対に嫌だと断るが金欠だったこともあり、謝礼欲しさにそのユキトのお願いを受けてしまう。初めての女装に戸惑いながらも周りが思わず振り返るほどの美女に変身したトモヤ。そんな時、偶然にもトモヤは女装姿のまま有名なホストのジョウと出会ってしまう。女慣れしたジョウに不快感を露わにするトモヤ。しかし、ジョウはトモヤが男だとも知らず、女装姿のトモヤに惹かれてしまうのだが…

処理中です...