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零
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私がこの世界に来てからすでに一か月の月日が流れようとしていた。
そして今、とあるダンジョンの最下層へとやって来ている。
「私、本当にここまで来たんだ」
目の前には大きな扉がある。ここを開ければ中にはたぶんボスモンスターが待ち受けている。
「私、本当に大丈夫だよね」
この一か月の間、師匠からいろいろなことを教わってきた。そして、ここに来るまでの間、その教えを守り戦えて来た。だから今回だって大丈夫なはずと思いながらも心の中で少しの不安がどうやっても消えない。
それでも、
『私は、この世界から元の世界へと生きて絶対に帰る。そのためにまずは師匠から与えられたこの試練をクリアして見せるんだから!』
心の中で一つの決意を固めて、自分に言い聞かせる。
そして、胸をなでおろして一度深呼吸をすることで自分を落ち着かせる。それにより、先ほどまでの震えは止まり扉を開けて中に入るための準備を整えることが出来た。
私は、両手で目の前にある大きな扉を力を込めて思いっきり押す。
ゴゴゴゴゴ!
すると、扉は大きな音を立てながらゆったりと開いていく。
そして、完全に扉が開いたことを確認した私は、部屋の中へと入っていた。部屋の中は真っ暗で前が全然見えない。
「ゴクリ!」
私の中でより一層恐怖の感情が大きくなっていく。
部屋の中が見渡せないことへの恐怖と不安から冷汗が流れてくる。
一旦部屋から出ようと思い入ってきた扉の方を見た瞬間、
ゴトン!
大きな音とともに先ほど開けた大きな扉が勢いよく閉まってしまった。
それと同時に壁に付けられていた松明全てに明かりが灯り部屋全体が照らされて明るくなっていく。
壁は石で作られており天井もかなり高い。部屋の中もかなり広く今私がいる位置から部屋の端までは一キロ程はあるように見える。
ただ一つ、私の中で不思議なことがあった。部屋のどこにもモンスターがいないのである。
この部屋に来るまでの間、コゴブリンと呼ばれるモンスターに幾度となく襲われてきた。一対一での戦闘のときもあれば一対二、三のように複数体との戦闘になることもかなりあった。
だからこそ、この部屋にはそのモンスター達よりもかなり強めのモンスターが存在していてそのモンスターに勝たないといけないのだと考えていたのだが、まさかモンスターが存在しないなんて予想外の展開であった。だが、一つ私の中でどうしても消えな不安感があった。でも、それがいったい何なのか私には検討もつかない。
「モンスターもいないし、これでダンジョンクリアでいいよね?」
ぼそりつぶやきながら部屋の中央にある脱出用であろう魔法陣の元へと行こうとしたその時、魔法陣が光り出した。
そこへ現れたのは、先ほど戦っていたコゴブリンが三体とそれより大きなゴブリンが一体の合計四体のモンスターが私の前に現れた。
コゴブリン達は右手に小さなナイフを持っているだけで今まで戦ってきたのと変わらないが、ボスであろうゴブリンだけは他のモンスターと全然違った。片手には少し大きめの短剣を持ち。両手には小手を付けてしっかりと防具を纏っている。それに、普通のゴブリンだとぽっちゃりとしているイメージなのだが、目の前にいるゴブリンはすらっとした体系でしっかりと筋肉もついていて、かなり身軽そうな感じである。
私はすぐに戦闘態勢に入れるように両足のホルスターから銃を二丁取り出し構える。
それに気づいたゴブリン達の中で、三体のコゴブリンが私に向かって突っ込んできた。
それに対して私は、右手の銃で一発、二発と撃ち牽制する。だがそれに対して一切怯む様子を見せないコゴブリン達。
「炸裂弾を付与」
銃の中に入っているコインに炸裂効果を付与する。
それをゴブリン達に向かって撃つと一枚だったコインが二枚に分裂してゴブリン達へ直撃して倒す。だがこれはここまで来るまでのダンジョン探索の中での戦闘とあまり変わらなかった。
だが、ここであることに気づいた。先ほどまで向かってくるコゴブリン達の背後にいたはずのボスであろうゴブリンの姿がそこになかったのである。
私は辺りを見渡して見ると、背後にゴブリンが移動してきていてすでに片手に持っている短剣を振りかぶって斬りかかる態勢に入っていた。私は、すぐに回避の行動をとったが間に合わず攻撃を受けて壁まで吹き飛ばされてしまった。
攻撃事態のダメージはコイン操作を使い自分の近くに浮かしていたコインに付与していたデコイの効果で受けなかったが、攻撃の反動で起きた余波にやられて吹き飛ばされてしまったのである。
強く体を打ち付けられてしまった私、そこで少しの間気を失ってしまった。
その気を失っている中で私は一か月前、まだこの世界に来る前の頃の夢を見ていたのである。
そして今、とあるダンジョンの最下層へとやって来ている。
「私、本当にここまで来たんだ」
目の前には大きな扉がある。ここを開ければ中にはたぶんボスモンスターが待ち受けている。
「私、本当に大丈夫だよね」
この一か月の間、師匠からいろいろなことを教わってきた。そして、ここに来るまでの間、その教えを守り戦えて来た。だから今回だって大丈夫なはずと思いながらも心の中で少しの不安がどうやっても消えない。
それでも、
『私は、この世界から元の世界へと生きて絶対に帰る。そのためにまずは師匠から与えられたこの試練をクリアして見せるんだから!』
心の中で一つの決意を固めて、自分に言い聞かせる。
そして、胸をなでおろして一度深呼吸をすることで自分を落ち着かせる。それにより、先ほどまでの震えは止まり扉を開けて中に入るための準備を整えることが出来た。
私は、両手で目の前にある大きな扉を力を込めて思いっきり押す。
ゴゴゴゴゴ!
すると、扉は大きな音を立てながらゆったりと開いていく。
そして、完全に扉が開いたことを確認した私は、部屋の中へと入っていた。部屋の中は真っ暗で前が全然見えない。
「ゴクリ!」
私の中でより一層恐怖の感情が大きくなっていく。
部屋の中が見渡せないことへの恐怖と不安から冷汗が流れてくる。
一旦部屋から出ようと思い入ってきた扉の方を見た瞬間、
ゴトン!
大きな音とともに先ほど開けた大きな扉が勢いよく閉まってしまった。
それと同時に壁に付けられていた松明全てに明かりが灯り部屋全体が照らされて明るくなっていく。
壁は石で作られており天井もかなり高い。部屋の中もかなり広く今私がいる位置から部屋の端までは一キロ程はあるように見える。
ただ一つ、私の中で不思議なことがあった。部屋のどこにもモンスターがいないのである。
この部屋に来るまでの間、コゴブリンと呼ばれるモンスターに幾度となく襲われてきた。一対一での戦闘のときもあれば一対二、三のように複数体との戦闘になることもかなりあった。
だからこそ、この部屋にはそのモンスター達よりもかなり強めのモンスターが存在していてそのモンスターに勝たないといけないのだと考えていたのだが、まさかモンスターが存在しないなんて予想外の展開であった。だが、一つ私の中でどうしても消えな不安感があった。でも、それがいったい何なのか私には検討もつかない。
「モンスターもいないし、これでダンジョンクリアでいいよね?」
ぼそりつぶやきながら部屋の中央にある脱出用であろう魔法陣の元へと行こうとしたその時、魔法陣が光り出した。
そこへ現れたのは、先ほど戦っていたコゴブリンが三体とそれより大きなゴブリンが一体の合計四体のモンスターが私の前に現れた。
コゴブリン達は右手に小さなナイフを持っているだけで今まで戦ってきたのと変わらないが、ボスであろうゴブリンだけは他のモンスターと全然違った。片手には少し大きめの短剣を持ち。両手には小手を付けてしっかりと防具を纏っている。それに、普通のゴブリンだとぽっちゃりとしているイメージなのだが、目の前にいるゴブリンはすらっとした体系でしっかりと筋肉もついていて、かなり身軽そうな感じである。
私はすぐに戦闘態勢に入れるように両足のホルスターから銃を二丁取り出し構える。
それに気づいたゴブリン達の中で、三体のコゴブリンが私に向かって突っ込んできた。
それに対して私は、右手の銃で一発、二発と撃ち牽制する。だがそれに対して一切怯む様子を見せないコゴブリン達。
「炸裂弾を付与」
銃の中に入っているコインに炸裂効果を付与する。
それをゴブリン達に向かって撃つと一枚だったコインが二枚に分裂してゴブリン達へ直撃して倒す。だがこれはここまで来るまでのダンジョン探索の中での戦闘とあまり変わらなかった。
だが、ここであることに気づいた。先ほどまで向かってくるコゴブリン達の背後にいたはずのボスであろうゴブリンの姿がそこになかったのである。
私は辺りを見渡して見ると、背後にゴブリンが移動してきていてすでに片手に持っている短剣を振りかぶって斬りかかる態勢に入っていた。私は、すぐに回避の行動をとったが間に合わず攻撃を受けて壁まで吹き飛ばされてしまった。
攻撃事態のダメージはコイン操作を使い自分の近くに浮かしていたコインに付与していたデコイの効果で受けなかったが、攻撃の反動で起きた余波にやられて吹き飛ばされてしまったのである。
強く体を打ち付けられてしまった私、そこで少しの間気を失ってしまった。
その気を失っている中で私は一か月前、まだこの世界に来る前の頃の夢を見ていたのである。
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