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終幕の章
【匙は投げられた〘第二次朝鮮半島動乱〙】終幕の章
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しかし、戦後の処理は難航した。日本では海上自衛隊の自衛艦隊は解散し、それぞれの所属基地へと帰港した。陸上自衛隊は拉致被害者救出部隊日報について防衛大臣を経て総理に渡された。その活動内容や任務付与について国会の承認を得ずに実行された事に関する議会での総理に対する野党の質問攻勢は限りなく続いた。航空自衛隊も新型輸送機を使って米軍の帰還任務に従事した。それはそれで自衛隊法に沿て考えても、憲法に沿って考えてもおかしいのではないかと厳しく問いただされた。
アメリカ合衆国は新たな韓国との安全保障条約の締結へ動き出し、朝鮮半島における足場固めに奔走した。
ロシアはアメリカ主導の在韓国連軍常設基地に在韓ロ軍として、念願の凍らぬ港を手にした。そこに、在韓中軍として加わった中華人民共和国。呉越同舟はなはだしい状態となった朝鮮半島。そのような中、アメリカはサードを配備しない方針を打ち出して内外に波紋を引き起こした。その様なことをしたら、アメリカが核迎撃の能力を自ら放棄すると宣言したのとほぼ同じことを意味するからである。海洋進出を悲願とする中国主席の思惑に手助けしてしまったかのように世間には映ったのである。米国大統領の狙いは、米中ロの三国を一つの基地にまとめ、相互監視の役割と、軍事行動に移った場合、真っ先に制圧される人質としての側面を重視したのである。勿論、人質として機能すればの話ではあるが。組織を構成する者が、組織に属する者を守らない場合、如何に強権力を振りかざしても人心は離れていくものである。それが、米国大統領の狙いである。ロシアもまた同様の話である。
そして、月日は流れ、日米地位協定が見直される時が来た。地位協定の改正によって、日米はようやく対等になったのである。第二次大戦敗戦から云十年、国防における真の独立を果たしたのである。マスコミは騒然とした。
「日本国は、ここに真の独立を果たしました。まず皆様に申し上げなければならないのは、在日米軍の撤退と移転であります。朝鮮半島の有事が去り、沖縄をはじめ在日米軍を駐留する必要性が低くなったことが挙げられます。米軍にとっても駐留費は莫大に費用がかかります。我が国においてもいわゆる『思いやり予算』の負担が無くなります。しかし、ここからが、我が国の新たな戦後の始まりであります。国防については、全て、できることは自衛隊が行わなければなりません。これまで在日米軍が果たしてきた役割も含めてであります。我が国と致しましては、戦闘機搭載型護衛艦の保有に向けて検討中であります。ヘリ搭載型護衛艦に米軍の運用技術に基づいたカタパルトを設置することで建造コストを大幅に下げることができます。国民の皆様のご理解を賜りつつ粛々と誠心誠意真摯に取り組んでいく所存であります。」
「どう考えても空母ではないですか?」
「先制攻撃に特化するならば空母と解釈しますが、私としましては、積極的な防衛力としての運用は多用途護衛艦の範疇に属すると解しております。」
「沖縄の米軍の撤退とのことですが返還後の基地についてはどうお考えですか?」
「自衛隊の基地を除き、在日米軍の使用していた土地等につきましては、本来の土地所有権利者に返還する方針であります。」
「第二次朝鮮戦争の詳細について日本側からの内容についての公開はどのように行われるのですか?」
「官房長官からの発表もありますが、公式な内容については、防衛白書の発売をお待ちください。そこに書かれていないことについては、国家機密であります。ご承知ください。」
「第二次朝鮮戦争という有事が終わりました。『暗黙の言論統制法』の行き過ぎた運用についての責任についてはどうお考えですか?」
「『特定秘密保護法』『共謀罪(テロ等準備罪)』については運用の見直しと有識者による第三者委員会の適切な助言とを加味し、適切な運用をお約束いたします。『機密漏示罪』については、旧来からの法律でありますので、見直し等は検討しておりません。」
清々しい表情で、会見にこたえる総理に対して、マスコミは地位協定に関する話題の核心に迫る質問を次々と繰り出した。総理も丁寧に答えつつ、肝心な所を新語でかわすなど、政府対マスコミの質問と回答の応酬が続いた。
『在日米軍撤退』『沖縄基地返還へ』『総理、実質的な空母保有宣言』『戦後日本新たなる船出』『防衛白書気になる中身』
新聞各社やネットニュースなどはそのような見出しが躍った。
「官房長官、私の判断は正しかったのだろうか?」
「総理はこの国のトップとして最高指揮官として、迷いながらも最高の判断と信じてここまでやられたのです。疑問符を投げかけるようなことは良くありません。被害者にも戦死殉職者にも国民にも、総理自身にもです。あなたは最高の判断をしたと心に信じ込ませてください。そうでなくては、世間に顔向けできません。」
「…そうだな、嵐が去って少し弱気になっていたようだ。まだまだやらなければならないことが、海より深く山より高いほどあるのだから、それが本来の政治家だな。嫌われてもやらねばならないこともある。判断と結果で、善人・悪人に分けられる職業だからな。日々是新だな。」
総理の会見の後、アメリカ合衆国では、米国大統領の記者会見が行われていた。
「まずは、核の犠牲者と第二次朝鮮戦争に係ったすべての犠牲者に哀悼の意を表する。今回の会見の主題は米日地位協定の改正による対等化と在日米軍の撤退及び移転についてだ。質問は?」
「なぜ、日本から撤退するのですか?」
「軍事拠点が統一された韓国の特に北側に移るからだ。日本に無駄な駐留費をかける必要性が失われたことにある。あくまで地位協定の改正である。米日安保条約における対等な同盟に変わったということだ。乱暴な言い方をすると、『自分の身は自分で守れ』ということだ。いざという時以外は、以前ほど日本に掛かり切りになれないということだ。同盟関係は維持するが、軍事的にアメリカ離れしてほしい時が来たのだ。我が国の兵器を買ってくれるのもよい。しかし、それらを素材に研究を重ね、第二次世界大戦の時の日本のジーク(零式艦上戦闘機)を開発した時のようなジャパニーズ匠によって、我々の常識から飛びぬけてとてつもない高性能の兵器を造るときが来るかもしれない。その時に我々が日本の兵器をライセンス生産していたらこれほど滑稽な話はあるまい。カロウシの国だ。組織に殉ずるような国民性だ。そこが恐ろしい。かつては、彼等日本人を蔑んでいた向きもあったが、専守防衛の鎖国から解き放たれつつある、かの国が積み上げてきた歴史と技術は沈まないのだ。これからの時代、日本の自衛隊の更なる国際貢献に期待する。次。」
「日本の自衛隊に空母を持てということですか?」
「その通りだ。あの国に応じた空母は必要になってくるだろう。我が国としては研究・開発・運用を日本の自衛隊によって成されることを望む。」
「我が国に落ちた核の被害についてですが、」
「今は、その話をするための場ではない。話の流れが悪くなる。次。」
「大統領は総理から空母問題について何かお聞きでしょうか?」
「総理から、空母問題は日本の自衛隊の問題で、私がとやかく言うのは内政干渉だと言われたよ。だから、もう空母問題の話はここまでだ。次。」
「中国やロシアは何故中立を宣言したのですか?」
「私はアメリカの大統領だ。中国やロシアがどうしてその決断に至ったかは知らんよ。経緯についてはこの場で話すことはない。次。」
「大統領は総理に移民政策を推進するよう提言されたという情報がありますが、これについてはどう思われますか?」
「私自身は不法移民に反対しているだけだ。手続をして問題なく移民してもらうのなら何の問題もないと考えている。総理にもそのように話した。日本は移民政策をしなければならないところまで来ている。今よりももっと大規模にだ。総人口自体が減り始め、出生率は低く、子育てに金がかかりすぎる。その結果、少子化になったのだろう?ここまでも、ここから先も私個人の見解だ。安い労働力として移民してもらうなら間違いだ。だから帰化しやすくすれば問題も早く解決するだろう。時間に異常に厳格であったり、一部の人間と信じたいが、外国人に差別的であったり、日本人自身が変わらなければ移民政策を掲げても何も成功しないであろう。我が国も多少なりとも見つめなおすべきことかもしれない。タテマエというのはここまでだ。ホンネというのは、外国人を帰化させてでも自衛隊に入隊してもらわなければ、自衛隊組織そのものが維持できなくなるからだ。と、私は考えているよ。今日の会見はここまで。」
米国大統領の踏み込んだ発言に、総理は苦笑いするしかなかった。
「まったく困ったものだ。あの人は時折、問題をややこしくする。解決の糸口がいまだ見えない深い問題に。米国大統領の言っていることは確かだが自衛隊の話は避けてほしかったな。貧困層の格差徴兵(入隊)が国内で議論されている最中なのにだ。大規模な移民はしなければならないが、法整備が追いついていない。何も移民者且つ帰化した日本人を全員入隊させたいわけでもないのに。純粋に労働人口が急激に減少し国力が衰退するのが目に見えているからこそなのにだ。米国大統領の発言で逆に移民政策がまだまだ先になってしまわないかと危惧するよ。」
しかし、総理はめげない。
「私は、自衛隊の為に移民政策を推し進めているのではありません。移民政策無しにこの国を未来の世代に託すことができなくなるのです。我々日本人の多くが外国人の方に対して心に壁がありませんか?この『心の鎖国の壁』を取り払わなければ、移民政策のすべてがうまくいきません。未来永劫日本があり続ける為にも国民の皆様と共に私たちはこの政策に取り組んでいく所存であります。」
第二次朝鮮戦争終結後初の会見で述べた総理のコメントは概ね好意的に受け止める人々が多かった。不満に思う人々も少なからずいた。もともと排他的な国民性の日本が移民政策を政府主導で推進するというのは、そこまできたか、と国民に受け止められた。
まだまだ国民の気持ちは固い。
自衛隊にしても『防大貴族』に『平民隊員』という格差が生まれそうである。貧困層に幹部自衛官になる機会さえ与えられない世の中になってしまわないように(それだけではないが)教育費の無償化等を行わなければならないのである。格差徴兵の問題の根幹がそこにある。そこが変わらなければ結局のところ何も変わらないのである。
一方、中国では、
「尖閣諸島を足掛かりに海洋進出を狙える時期なのに、在韓国連軍に加わったことで思うように動けない。アメリカめ、小癪な策を!今は良い。我が中華人民共和国の拠点としてこの地を制するのは我々だ!」
ロシアでは、
「凍らぬ港も何かに役立つだろう。クリミア半島黙認などのほうが今の我が国には大きい。アメリカは中国を牽制して欲しいのだろうがそこまで義理立てする筋合いはない。高みの見物と行こうじゃないか。皆弱れば我が国にも好機はある。」
そして、第二次朝鮮戦争終結・大韓民国統一記念式典が執り行われた。
「我等の悲願であった、朝鮮半島統一はついに成し遂げられた。我々はその誇りを胸に、犠牲者への哀しみを心に刻み新たな一歩を踏み出さなければならない。我々国民は多大なる犠牲者を出して、今日の統一の喜びを得ることが叶ったのである。かつては、南北に分かれていたがこれからは、大韓民国の名のもとに正真正銘の同胞である。今は、この喜びに浸ろうではないか。大韓民国万歳!」
「万歳!」
「統一万歳!」
「統一韓国に幸あれ!」
韓国中が戦勝祝賀ムードで一色に染まる中、祝う気になれない人達もいた。徴兵された息子が今回の第二次朝鮮戦争で戦死した遺族の親族の方達である。
「朝鮮半島が統一されたって死んだ息子は帰ってこないんだ!自慢の息子だったんだ!そんな中で遺族にまで、万歳と言えと言うのか?人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
親などの遺族の嘆きは統一の祝賀ムードによって、かき消されていった。戦争の犠牲者は負けた側だけでなく、勝った側にも当然のことながら犠牲者は発生してしまうのだ。
これもまた人の業であるのかもしれない。
時はさかのぼり、この戦争の戦後処理について語る。
東京裁判(極東軍事裁判)のような戦犯を決めて処刑等を行うことはなく、当事者のことごとくが自決していたこともあり速やかに降伏文書調印から北朝鮮の武装解除が行われた。そして衰弱しきっていた北朝鮮民衆や兵士たちへも衣類食料等の支援物資が慈善団体等を経て支給された。北の人々達は長い圧政から解き放たれ自由の身となった。
南側の生活水準に達するにはいましばらくの時が必要となるであろう。
さらに、朝鮮半島で自衛隊が行動していたことが問題とされた。
「自衛隊のこのたびの行動は人道的目的であり、拉致被害者救出という我が国における邦人救出であります。これらの行動を指示致しましたのは、日本国内閣総理大臣である私であります。歴史的観点から自衛隊の朝鮮半島での行動が旧日帝を想起してしまわれる方もいらっしゃることは念頭にありました。しかしながら拉致被害者の救出活動は国外の邦人救出が目的であり戦闘行為が主目的ではなかったことをご理解していただきたく存じる次第であります。これらを踏まえ、日本国と致しましては、国際社会における平和維持への貢献をなお一層高めていく所存であります。自衛隊は現行法を重んじ、閣議決定に左右されない新憲法の立憲並びに自衛隊法を立法することを約束いたします。アジア地域の平和維持に貢献する自衛隊を目指します。どうか温かい目で見守ってください。」
総理の談話は韓国の国民にはかなり冷ややかに受け止められた。結果として国際法上の武装組織である自衛隊を朝鮮半島で行動させたことは如何に解釈しても曲げられることのできない事実であるからである。だが、自衛隊の問題よりも在韓国連軍基地の問題のほうがこれからの韓国にとって特別に且つ重要な問題はなかった。統一韓国となることによって国境は中国と接するようになった。旧北朝鮮領に在韓米・中・ロ軍が終結してにらみ合いを続けていくことになってしまったからである。一見平和裏に解決したように見えるこの策は、呉越同舟さながらの不安定な組織であった。
第一次世界大戦のきっかけとなったバルカン半島が欧州の火薬庫と評されたように、朝鮮半島もまたアジアの火薬庫と評されることとなる。そして、第二次朝鮮戦争勝利1周年記念式典が催された。アメリカ・中国・ロシア・韓国・日本・その他、国連加盟国のほぼすべてが、この式典に参列した。そのそうそうたる顔ぶれは、サミットをこえたサミットと注目を浴びた。
「各国の皆様、この度は大韓民国統一・第二次朝鮮戦争勝利1周年記念式典にご参列いただき誠にありがとうございます。我が国も関係各国も深い傷を負いました。その先に掴み取ったのが今日の勝利なのです。統一なのです。この喜ばしい日を各国の皆様と共に祝うことができることを我が国の代表としてお礼を申し上げます。そして誇りに思います。」
韓国大統領の挨拶から始まった記念式典は、和やかなムードで進行していった。この時ばかりは総理のコメントを追及する現地メディア等もなかった。せっかくの祝賀ムードの興が損なわれるからである。総理も喜ばしい意味の祝賀スピーチに徹した。
「日本と韓国、両国がこうして公式に大韓民国統一の記念式典をお祝いできることをわがことのように思い、お慶び申し上げます。この先、両国の絆が深まり更なる発展を遂げることができることを誇りに思いますことを申し上げ祝辞の言葉と代えさせていただきます。」
総理の言葉は祝賀ムードも手伝ってかささやかな拍手に包まれた。
その後、中国主席・ロシア大統領の祝辞を受けて、アメリカ大統領の出番となった。
「大韓民国の皆様、第二次朝鮮戦争勝利・朝鮮半島統一おめでとうございます。我が国と大韓民国の絆はより深まるでしょう。両国の未来に栄光あれ。…さて、皆様の前で是非演説をさせていただきたい。長くなりますが、よろしいですか?」
問題のない旨が米国大統領に伝えられた。その間に世界各国の報道機関は俄然次に発せられるであろう第一声に耳を傾けていた。
「この度の戦争は、我が母国、アメリカ合衆国が、当時の日本国に落とした核爆弾2発のつぎ、アメリカに3番目の核が襲った戦争だった。死者を愚弄する『ロケットマン』という呼び名を私はもうかつての北朝鮮党委員長には使わないと誓おう。北朝鮮に先制攻撃をかけた私の判断は間違いだったとは言わない。私はベストの判断をしたと信じている。だがその結果アメリカ本土に核が落ちた。その先にあったのが今日の勝利なのだ。或いは私は何を考えているのかわからない党委員長の腹の内が怖かったのかもしれない。そして、今日の日をもって我がアメリカ合衆国は核兵器からの独立を宣言する。
核兵器からの独立とは、核兵器の廃絶を宣言し、自ら核兵器の完全放棄をするということである。
もはや核兵器を持つことが必ずしも核兵器に対する抑止力として機能するわけではないことが立証された。
これからの時代は、『核を放棄する正義』の時代であることを宣言する。
今日この日を『核からのインディペンデンスデイ』にしようではないか。
今日をもって核は放棄の時代に入らなければならない。そしてこの日から先、速やか核を放棄しない国、核を保有しようと画策する国は、国連軍の敵であり、世界の人々の敵である。核を持たざる国に対して核を持つ国が核を放った時、核を放たれた国が『核を放棄する正義』の国である。
大義名分を主張することができるのはどちらか?後者だ。もはや核兵器を持つことに何も得はない。この星ごと滅びたくなければ『核を放棄する正義』の重要性に気付いてほしい。そして、すべての核兵器が完全廃絶された時、それが『完全な核からのインディペンデンスデイ』となるのだ。
もうどこの国がどうとは言うまい。心からすべての核兵器が根絶されることを願う。私は世界平和を願うが、その様な夢見がちな考えがすぐ叶わないことを知っている。
勿論、核廃絶も夢見がちな考えと流されてしまう可能性が高いことも熟知している。だからこそ、私は、今ここで、この時に、アメリカ合衆国大統領という立場で、明確なプランとして世界各国に向けてこの夢見がちな理想を現実的なものとして示しているのだ。
人間が人間である以上、戦争を無くすことはほぼ不可能かもしれない。テロであったり紛争であったり、世界のどこかで争い事は起こっている。それもまた人類のサガなのであろう。しかし、さらに念を押して言う。核兵器を無くすことは不可能ではない!
世界各国の首脳の皆様、考えていただきたい。これからの時代それでもなお核兵器を持ち続けることに意義があるのかということを。そして問いたい。それでもなお核兵器を持ち続けるのか?ということを。そして『核兵器完全同時放棄条約』について国連で議論したい。各国の皆様良い返答を期待している。
これからの時代の無用の長物を棄てよう!『核兵器というゴミを捨てよう』をスローガンに。」
米国大統領の演説は大反響を呼んだ。ひたすらに礼賛する者。
ことさらに非難する者。
夢想者の夢と冷淡視するものなど様々だった。
そして、米・中・ロによるにらみ合いが続く第二次冷戦が始まった。もしかしたらその過程で『核を放棄する正義』『核のインディペンデンスデイ』がおとずれるかもしれない。困難に満ちた時代が幕を開けようとしていた。匙は投げられた。その無責任を収束させるべくこれからの時代を切り拓かなければならないのだ。(完)
アメリカ合衆国は新たな韓国との安全保障条約の締結へ動き出し、朝鮮半島における足場固めに奔走した。
ロシアはアメリカ主導の在韓国連軍常設基地に在韓ロ軍として、念願の凍らぬ港を手にした。そこに、在韓中軍として加わった中華人民共和国。呉越同舟はなはだしい状態となった朝鮮半島。そのような中、アメリカはサードを配備しない方針を打ち出して内外に波紋を引き起こした。その様なことをしたら、アメリカが核迎撃の能力を自ら放棄すると宣言したのとほぼ同じことを意味するからである。海洋進出を悲願とする中国主席の思惑に手助けしてしまったかのように世間には映ったのである。米国大統領の狙いは、米中ロの三国を一つの基地にまとめ、相互監視の役割と、軍事行動に移った場合、真っ先に制圧される人質としての側面を重視したのである。勿論、人質として機能すればの話ではあるが。組織を構成する者が、組織に属する者を守らない場合、如何に強権力を振りかざしても人心は離れていくものである。それが、米国大統領の狙いである。ロシアもまた同様の話である。
そして、月日は流れ、日米地位協定が見直される時が来た。地位協定の改正によって、日米はようやく対等になったのである。第二次大戦敗戦から云十年、国防における真の独立を果たしたのである。マスコミは騒然とした。
「日本国は、ここに真の独立を果たしました。まず皆様に申し上げなければならないのは、在日米軍の撤退と移転であります。朝鮮半島の有事が去り、沖縄をはじめ在日米軍を駐留する必要性が低くなったことが挙げられます。米軍にとっても駐留費は莫大に費用がかかります。我が国においてもいわゆる『思いやり予算』の負担が無くなります。しかし、ここからが、我が国の新たな戦後の始まりであります。国防については、全て、できることは自衛隊が行わなければなりません。これまで在日米軍が果たしてきた役割も含めてであります。我が国と致しましては、戦闘機搭載型護衛艦の保有に向けて検討中であります。ヘリ搭載型護衛艦に米軍の運用技術に基づいたカタパルトを設置することで建造コストを大幅に下げることができます。国民の皆様のご理解を賜りつつ粛々と誠心誠意真摯に取り組んでいく所存であります。」
「どう考えても空母ではないですか?」
「先制攻撃に特化するならば空母と解釈しますが、私としましては、積極的な防衛力としての運用は多用途護衛艦の範疇に属すると解しております。」
「沖縄の米軍の撤退とのことですが返還後の基地についてはどうお考えですか?」
「自衛隊の基地を除き、在日米軍の使用していた土地等につきましては、本来の土地所有権利者に返還する方針であります。」
「第二次朝鮮戦争の詳細について日本側からの内容についての公開はどのように行われるのですか?」
「官房長官からの発表もありますが、公式な内容については、防衛白書の発売をお待ちください。そこに書かれていないことについては、国家機密であります。ご承知ください。」
「第二次朝鮮戦争という有事が終わりました。『暗黙の言論統制法』の行き過ぎた運用についての責任についてはどうお考えですか?」
「『特定秘密保護法』『共謀罪(テロ等準備罪)』については運用の見直しと有識者による第三者委員会の適切な助言とを加味し、適切な運用をお約束いたします。『機密漏示罪』については、旧来からの法律でありますので、見直し等は検討しておりません。」
清々しい表情で、会見にこたえる総理に対して、マスコミは地位協定に関する話題の核心に迫る質問を次々と繰り出した。総理も丁寧に答えつつ、肝心な所を新語でかわすなど、政府対マスコミの質問と回答の応酬が続いた。
『在日米軍撤退』『沖縄基地返還へ』『総理、実質的な空母保有宣言』『戦後日本新たなる船出』『防衛白書気になる中身』
新聞各社やネットニュースなどはそのような見出しが躍った。
「官房長官、私の判断は正しかったのだろうか?」
「総理はこの国のトップとして最高指揮官として、迷いながらも最高の判断と信じてここまでやられたのです。疑問符を投げかけるようなことは良くありません。被害者にも戦死殉職者にも国民にも、総理自身にもです。あなたは最高の判断をしたと心に信じ込ませてください。そうでなくては、世間に顔向けできません。」
「…そうだな、嵐が去って少し弱気になっていたようだ。まだまだやらなければならないことが、海より深く山より高いほどあるのだから、それが本来の政治家だな。嫌われてもやらねばならないこともある。判断と結果で、善人・悪人に分けられる職業だからな。日々是新だな。」
総理の会見の後、アメリカ合衆国では、米国大統領の記者会見が行われていた。
「まずは、核の犠牲者と第二次朝鮮戦争に係ったすべての犠牲者に哀悼の意を表する。今回の会見の主題は米日地位協定の改正による対等化と在日米軍の撤退及び移転についてだ。質問は?」
「なぜ、日本から撤退するのですか?」
「軍事拠点が統一された韓国の特に北側に移るからだ。日本に無駄な駐留費をかける必要性が失われたことにある。あくまで地位協定の改正である。米日安保条約における対等な同盟に変わったということだ。乱暴な言い方をすると、『自分の身は自分で守れ』ということだ。いざという時以外は、以前ほど日本に掛かり切りになれないということだ。同盟関係は維持するが、軍事的にアメリカ離れしてほしい時が来たのだ。我が国の兵器を買ってくれるのもよい。しかし、それらを素材に研究を重ね、第二次世界大戦の時の日本のジーク(零式艦上戦闘機)を開発した時のようなジャパニーズ匠によって、我々の常識から飛びぬけてとてつもない高性能の兵器を造るときが来るかもしれない。その時に我々が日本の兵器をライセンス生産していたらこれほど滑稽な話はあるまい。カロウシの国だ。組織に殉ずるような国民性だ。そこが恐ろしい。かつては、彼等日本人を蔑んでいた向きもあったが、専守防衛の鎖国から解き放たれつつある、かの国が積み上げてきた歴史と技術は沈まないのだ。これからの時代、日本の自衛隊の更なる国際貢献に期待する。次。」
「日本の自衛隊に空母を持てということですか?」
「その通りだ。あの国に応じた空母は必要になってくるだろう。我が国としては研究・開発・運用を日本の自衛隊によって成されることを望む。」
「我が国に落ちた核の被害についてですが、」
「今は、その話をするための場ではない。話の流れが悪くなる。次。」
「大統領は総理から空母問題について何かお聞きでしょうか?」
「総理から、空母問題は日本の自衛隊の問題で、私がとやかく言うのは内政干渉だと言われたよ。だから、もう空母問題の話はここまでだ。次。」
「中国やロシアは何故中立を宣言したのですか?」
「私はアメリカの大統領だ。中国やロシアがどうしてその決断に至ったかは知らんよ。経緯についてはこの場で話すことはない。次。」
「大統領は総理に移民政策を推進するよう提言されたという情報がありますが、これについてはどう思われますか?」
「私自身は不法移民に反対しているだけだ。手続をして問題なく移民してもらうのなら何の問題もないと考えている。総理にもそのように話した。日本は移民政策をしなければならないところまで来ている。今よりももっと大規模にだ。総人口自体が減り始め、出生率は低く、子育てに金がかかりすぎる。その結果、少子化になったのだろう?ここまでも、ここから先も私個人の見解だ。安い労働力として移民してもらうなら間違いだ。だから帰化しやすくすれば問題も早く解決するだろう。時間に異常に厳格であったり、一部の人間と信じたいが、外国人に差別的であったり、日本人自身が変わらなければ移民政策を掲げても何も成功しないであろう。我が国も多少なりとも見つめなおすべきことかもしれない。タテマエというのはここまでだ。ホンネというのは、外国人を帰化させてでも自衛隊に入隊してもらわなければ、自衛隊組織そのものが維持できなくなるからだ。と、私は考えているよ。今日の会見はここまで。」
米国大統領の踏み込んだ発言に、総理は苦笑いするしかなかった。
「まったく困ったものだ。あの人は時折、問題をややこしくする。解決の糸口がいまだ見えない深い問題に。米国大統領の言っていることは確かだが自衛隊の話は避けてほしかったな。貧困層の格差徴兵(入隊)が国内で議論されている最中なのにだ。大規模な移民はしなければならないが、法整備が追いついていない。何も移民者且つ帰化した日本人を全員入隊させたいわけでもないのに。純粋に労働人口が急激に減少し国力が衰退するのが目に見えているからこそなのにだ。米国大統領の発言で逆に移民政策がまだまだ先になってしまわないかと危惧するよ。」
しかし、総理はめげない。
「私は、自衛隊の為に移民政策を推し進めているのではありません。移民政策無しにこの国を未来の世代に託すことができなくなるのです。我々日本人の多くが外国人の方に対して心に壁がありませんか?この『心の鎖国の壁』を取り払わなければ、移民政策のすべてがうまくいきません。未来永劫日本があり続ける為にも国民の皆様と共に私たちはこの政策に取り組んでいく所存であります。」
第二次朝鮮戦争終結後初の会見で述べた総理のコメントは概ね好意的に受け止める人々が多かった。不満に思う人々も少なからずいた。もともと排他的な国民性の日本が移民政策を政府主導で推進するというのは、そこまできたか、と国民に受け止められた。
まだまだ国民の気持ちは固い。
自衛隊にしても『防大貴族』に『平民隊員』という格差が生まれそうである。貧困層に幹部自衛官になる機会さえ与えられない世の中になってしまわないように(それだけではないが)教育費の無償化等を行わなければならないのである。格差徴兵の問題の根幹がそこにある。そこが変わらなければ結局のところ何も変わらないのである。
一方、中国では、
「尖閣諸島を足掛かりに海洋進出を狙える時期なのに、在韓国連軍に加わったことで思うように動けない。アメリカめ、小癪な策を!今は良い。我が中華人民共和国の拠点としてこの地を制するのは我々だ!」
ロシアでは、
「凍らぬ港も何かに役立つだろう。クリミア半島黙認などのほうが今の我が国には大きい。アメリカは中国を牽制して欲しいのだろうがそこまで義理立てする筋合いはない。高みの見物と行こうじゃないか。皆弱れば我が国にも好機はある。」
そして、第二次朝鮮戦争終結・大韓民国統一記念式典が執り行われた。
「我等の悲願であった、朝鮮半島統一はついに成し遂げられた。我々はその誇りを胸に、犠牲者への哀しみを心に刻み新たな一歩を踏み出さなければならない。我々国民は多大なる犠牲者を出して、今日の統一の喜びを得ることが叶ったのである。かつては、南北に分かれていたがこれからは、大韓民国の名のもとに正真正銘の同胞である。今は、この喜びに浸ろうではないか。大韓民国万歳!」
「万歳!」
「統一万歳!」
「統一韓国に幸あれ!」
韓国中が戦勝祝賀ムードで一色に染まる中、祝う気になれない人達もいた。徴兵された息子が今回の第二次朝鮮戦争で戦死した遺族の親族の方達である。
「朝鮮半島が統一されたって死んだ息子は帰ってこないんだ!自慢の息子だったんだ!そんな中で遺族にまで、万歳と言えと言うのか?人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
親などの遺族の嘆きは統一の祝賀ムードによって、かき消されていった。戦争の犠牲者は負けた側だけでなく、勝った側にも当然のことながら犠牲者は発生してしまうのだ。
これもまた人の業であるのかもしれない。
時はさかのぼり、この戦争の戦後処理について語る。
東京裁判(極東軍事裁判)のような戦犯を決めて処刑等を行うことはなく、当事者のことごとくが自決していたこともあり速やかに降伏文書調印から北朝鮮の武装解除が行われた。そして衰弱しきっていた北朝鮮民衆や兵士たちへも衣類食料等の支援物資が慈善団体等を経て支給された。北の人々達は長い圧政から解き放たれ自由の身となった。
南側の生活水準に達するにはいましばらくの時が必要となるであろう。
さらに、朝鮮半島で自衛隊が行動していたことが問題とされた。
「自衛隊のこのたびの行動は人道的目的であり、拉致被害者救出という我が国における邦人救出であります。これらの行動を指示致しましたのは、日本国内閣総理大臣である私であります。歴史的観点から自衛隊の朝鮮半島での行動が旧日帝を想起してしまわれる方もいらっしゃることは念頭にありました。しかしながら拉致被害者の救出活動は国外の邦人救出が目的であり戦闘行為が主目的ではなかったことをご理解していただきたく存じる次第であります。これらを踏まえ、日本国と致しましては、国際社会における平和維持への貢献をなお一層高めていく所存であります。自衛隊は現行法を重んじ、閣議決定に左右されない新憲法の立憲並びに自衛隊法を立法することを約束いたします。アジア地域の平和維持に貢献する自衛隊を目指します。どうか温かい目で見守ってください。」
総理の談話は韓国の国民にはかなり冷ややかに受け止められた。結果として国際法上の武装組織である自衛隊を朝鮮半島で行動させたことは如何に解釈しても曲げられることのできない事実であるからである。だが、自衛隊の問題よりも在韓国連軍基地の問題のほうがこれからの韓国にとって特別に且つ重要な問題はなかった。統一韓国となることによって国境は中国と接するようになった。旧北朝鮮領に在韓米・中・ロ軍が終結してにらみ合いを続けていくことになってしまったからである。一見平和裏に解決したように見えるこの策は、呉越同舟さながらの不安定な組織であった。
第一次世界大戦のきっかけとなったバルカン半島が欧州の火薬庫と評されたように、朝鮮半島もまたアジアの火薬庫と評されることとなる。そして、第二次朝鮮戦争勝利1周年記念式典が催された。アメリカ・中国・ロシア・韓国・日本・その他、国連加盟国のほぼすべてが、この式典に参列した。そのそうそうたる顔ぶれは、サミットをこえたサミットと注目を浴びた。
「各国の皆様、この度は大韓民国統一・第二次朝鮮戦争勝利1周年記念式典にご参列いただき誠にありがとうございます。我が国も関係各国も深い傷を負いました。その先に掴み取ったのが今日の勝利なのです。統一なのです。この喜ばしい日を各国の皆様と共に祝うことができることを我が国の代表としてお礼を申し上げます。そして誇りに思います。」
韓国大統領の挨拶から始まった記念式典は、和やかなムードで進行していった。この時ばかりは総理のコメントを追及する現地メディア等もなかった。せっかくの祝賀ムードの興が損なわれるからである。総理も喜ばしい意味の祝賀スピーチに徹した。
「日本と韓国、両国がこうして公式に大韓民国統一の記念式典をお祝いできることをわがことのように思い、お慶び申し上げます。この先、両国の絆が深まり更なる発展を遂げることができることを誇りに思いますことを申し上げ祝辞の言葉と代えさせていただきます。」
総理の言葉は祝賀ムードも手伝ってかささやかな拍手に包まれた。
その後、中国主席・ロシア大統領の祝辞を受けて、アメリカ大統領の出番となった。
「大韓民国の皆様、第二次朝鮮戦争勝利・朝鮮半島統一おめでとうございます。我が国と大韓民国の絆はより深まるでしょう。両国の未来に栄光あれ。…さて、皆様の前で是非演説をさせていただきたい。長くなりますが、よろしいですか?」
問題のない旨が米国大統領に伝えられた。その間に世界各国の報道機関は俄然次に発せられるであろう第一声に耳を傾けていた。
「この度の戦争は、我が母国、アメリカ合衆国が、当時の日本国に落とした核爆弾2発のつぎ、アメリカに3番目の核が襲った戦争だった。死者を愚弄する『ロケットマン』という呼び名を私はもうかつての北朝鮮党委員長には使わないと誓おう。北朝鮮に先制攻撃をかけた私の判断は間違いだったとは言わない。私はベストの判断をしたと信じている。だがその結果アメリカ本土に核が落ちた。その先にあったのが今日の勝利なのだ。或いは私は何を考えているのかわからない党委員長の腹の内が怖かったのかもしれない。そして、今日の日をもって我がアメリカ合衆国は核兵器からの独立を宣言する。
核兵器からの独立とは、核兵器の廃絶を宣言し、自ら核兵器の完全放棄をするということである。
もはや核兵器を持つことが必ずしも核兵器に対する抑止力として機能するわけではないことが立証された。
これからの時代は、『核を放棄する正義』の時代であることを宣言する。
今日この日を『核からのインディペンデンスデイ』にしようではないか。
今日をもって核は放棄の時代に入らなければならない。そしてこの日から先、速やか核を放棄しない国、核を保有しようと画策する国は、国連軍の敵であり、世界の人々の敵である。核を持たざる国に対して核を持つ国が核を放った時、核を放たれた国が『核を放棄する正義』の国である。
大義名分を主張することができるのはどちらか?後者だ。もはや核兵器を持つことに何も得はない。この星ごと滅びたくなければ『核を放棄する正義』の重要性に気付いてほしい。そして、すべての核兵器が完全廃絶された時、それが『完全な核からのインディペンデンスデイ』となるのだ。
もうどこの国がどうとは言うまい。心からすべての核兵器が根絶されることを願う。私は世界平和を願うが、その様な夢見がちな考えがすぐ叶わないことを知っている。
勿論、核廃絶も夢見がちな考えと流されてしまう可能性が高いことも熟知している。だからこそ、私は、今ここで、この時に、アメリカ合衆国大統領という立場で、明確なプランとして世界各国に向けてこの夢見がちな理想を現実的なものとして示しているのだ。
人間が人間である以上、戦争を無くすことはほぼ不可能かもしれない。テロであったり紛争であったり、世界のどこかで争い事は起こっている。それもまた人類のサガなのであろう。しかし、さらに念を押して言う。核兵器を無くすことは不可能ではない!
世界各国の首脳の皆様、考えていただきたい。これからの時代それでもなお核兵器を持ち続けることに意義があるのかということを。そして問いたい。それでもなお核兵器を持ち続けるのか?ということを。そして『核兵器完全同時放棄条約』について国連で議論したい。各国の皆様良い返答を期待している。
これからの時代の無用の長物を棄てよう!『核兵器というゴミを捨てよう』をスローガンに。」
米国大統領の演説は大反響を呼んだ。ひたすらに礼賛する者。
ことさらに非難する者。
夢想者の夢と冷淡視するものなど様々だった。
そして、米・中・ロによるにらみ合いが続く第二次冷戦が始まった。もしかしたらその過程で『核を放棄する正義』『核のインディペンデンスデイ』がおとずれるかもしれない。困難に満ちた時代が幕を開けようとしていた。匙は投げられた。その無責任を収束させるべくこれからの時代を切り拓かなければならないのだ。(完)
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