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悪夢
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夢を見た。
僕と美悠の結婚式だった。
夢の中の僕達は、幸せそうだった。
今更、何故。
断ち切った筈だよ。
後悔しているのだろう。
仕方が無いよ。
此ればかりは、もう何も出来ない。
一五年の月日は大き過ぎた。
タイムスリップ出来るなら別だけど。
理論上は、可能らしいが…。
僕は、パソコンを立ち上げた。
レイモンドに頼まれていたメールを書く。
とある会社宛に上手く取り次いで欲しいそうだ。
返信が返った。
どうやら直接会って話したいらしい。
成功させなければならないから、会う位如何でも良かった。
レイモンドに言うと変装して欲しいとの事だった。
「桜、髪を巻いて化粧をしてやってくれないか。」
「女装?」
桜さんは、悪戯する子供の顔をしていた。
「そうだよ。」
レイモンドは、笑った。
「あらー。アイリス。」
桜さんは、手招きした。
僕は、桜さんの傍で立ち止まった。
「化粧映え、良さそうね。」
椅子に座らされた。
桜さんは、僕の顔に化粧水を塗ってファンデーションを馴染ませる。
睫毛をビューラーで上げて、マスカラをし、ラインを引き、アイシャドウをした。
最後にチークを入れられた。
「うん、良いわ。」
桜さんは、僕に鏡を渡した。
僕は、見て驚いた。
母の若い頃にそっくりだ。
「此れが、僕か…」
「髭生えてないから、メイクし易かったわ。一人称は、私よ。」
桜さんはメイク道具を片付けていた。
僕は、椅子から立ち上がった。
「レイが、机の上の服着てだって。」
僕は、机の上の白いシャツを取った。
僕は、自室へ向かった。
シャツを着たら、ボタンが何時もと反対の位置にあった。
少し手間取った。
女物か…
パンツは、大丈夫だろうけど、ジャケットは如何なのだろう。
着ないという事で良いか。
アクセサリーとか…
着けているか…
此のネックレス…
雪崩に遭った時も池に飛び込んだ時も取れなかったな。
何時までも身に付けているのも女々しいかな。
まあ、今後誰とも付き合う気が無いから付けていても問題無いだろう。
結構、気に入ているデザインだし良いか。
今更になってもう、執着はしていない。
美悠…新しい恋が、出来ると良いな。
僕の分まで楽しんでね…
世の中顔。
顔が良ければ人が、集まる。
しかし、最初だけはね。
其の後が、重要。
性格、能力、センス。
今までそうだった。
僕は、家に出て待ち合わせの場所の図書館まで歩いた。
緑のストライプのネクタイに紺色のスーツの男って言っていたな。
「今晩は。アイリス・フィッツロイです。」
僕は、会釈した。
「今晩は、私、篠田和人と申します。本日は、有難う御座います。」
篠田さんは、会釈した。
「お店取っていますので、行きましょうか。」
篠田さんは、先に歩いた。
僕は、篠田さんの左横に付いて歩いた。
篠田さんは、僕の顔を見た。
「あの。女性に道路側を歩かせる訳にはいかないので、右側にどうぞ。」
僕は、会釈して後ろから右側に移った。
「何処出身の方ですか?」
篠田さんは、僕の顔を見た。
「愛知です。」
僕は、嘘を言った。
篠田さんは、思った答えと違ったからか戸惑っていた。
「愛知って…。ハーフですか?」
「いえ、日本とイギリスのクォーターです。」
篠田さんは、再び僕の顔を見た。
「察するにイギリスの血の方が、多い様ですね。」
「そうですね。」
篠田さんが、渋い緑色の建物の前で立ち止まった。
「此処です。」
「和食ですか。」
篠田さんが困った顔をした。
「お嫌いですか?」
「好きですよ。」
僕は、笑顔で言った。
名前だけで見ると、外国人だから日本のモノが良いだろうとかいう考えだろう。
外国人は、皆ジャポニズムとでも思っている類の人間だろう。
其の様な人は、ある意味使い易いかもしれない。
席に座り、料理を注文した。
「本題に入っても宜しいですか。」
僕は、篠田さんの目を見た。
「はい。」
「其方の真木彩綾さんを此方の新作の服を着て頂きたいのです。」
僕は、服の写真をタブレットで見せる。
「彩綾には、ぴったりなのですが、彼女よりRainにして貰いたいのです。」
確か、謎の人気急上昇モデルとか言っていた。
顔、調べるのを忘れていたな。
「因みにこんな顔です。」
篠田さんは、自分の仕事用のタブレット見せた。
「アイリスさんと少し似ていますよね。私、会った時驚きました。」
僕は、驚いてタブレットを目の前まで近付けた。
此れは、もしかして…。
「驚きました。面白そうなのでRainさんにします。」
言われた人とは、違うけど此れは此れで良いかもしれない。
其れに気になる。
「有難う御座います。」
「此方こそ有難う御座います。」
僕は、会釈した。
僕と美悠の結婚式だった。
夢の中の僕達は、幸せそうだった。
今更、何故。
断ち切った筈だよ。
後悔しているのだろう。
仕方が無いよ。
此ればかりは、もう何も出来ない。
一五年の月日は大き過ぎた。
タイムスリップ出来るなら別だけど。
理論上は、可能らしいが…。
僕は、パソコンを立ち上げた。
レイモンドに頼まれていたメールを書く。
とある会社宛に上手く取り次いで欲しいそうだ。
返信が返った。
どうやら直接会って話したいらしい。
成功させなければならないから、会う位如何でも良かった。
レイモンドに言うと変装して欲しいとの事だった。
「桜、髪を巻いて化粧をしてやってくれないか。」
「女装?」
桜さんは、悪戯する子供の顔をしていた。
「そうだよ。」
レイモンドは、笑った。
「あらー。アイリス。」
桜さんは、手招きした。
僕は、桜さんの傍で立ち止まった。
「化粧映え、良さそうね。」
椅子に座らされた。
桜さんは、僕の顔に化粧水を塗ってファンデーションを馴染ませる。
睫毛をビューラーで上げて、マスカラをし、ラインを引き、アイシャドウをした。
最後にチークを入れられた。
「うん、良いわ。」
桜さんは、僕に鏡を渡した。
僕は、見て驚いた。
母の若い頃にそっくりだ。
「此れが、僕か…」
「髭生えてないから、メイクし易かったわ。一人称は、私よ。」
桜さんはメイク道具を片付けていた。
僕は、椅子から立ち上がった。
「レイが、机の上の服着てだって。」
僕は、机の上の白いシャツを取った。
僕は、自室へ向かった。
シャツを着たら、ボタンが何時もと反対の位置にあった。
少し手間取った。
女物か…
パンツは、大丈夫だろうけど、ジャケットは如何なのだろう。
着ないという事で良いか。
アクセサリーとか…
着けているか…
此のネックレス…
雪崩に遭った時も池に飛び込んだ時も取れなかったな。
何時までも身に付けているのも女々しいかな。
まあ、今後誰とも付き合う気が無いから付けていても問題無いだろう。
結構、気に入ているデザインだし良いか。
今更になってもう、執着はしていない。
美悠…新しい恋が、出来ると良いな。
僕の分まで楽しんでね…
世の中顔。
顔が良ければ人が、集まる。
しかし、最初だけはね。
其の後が、重要。
性格、能力、センス。
今までそうだった。
僕は、家に出て待ち合わせの場所の図書館まで歩いた。
緑のストライプのネクタイに紺色のスーツの男って言っていたな。
「今晩は。アイリス・フィッツロイです。」
僕は、会釈した。
「今晩は、私、篠田和人と申します。本日は、有難う御座います。」
篠田さんは、会釈した。
「お店取っていますので、行きましょうか。」
篠田さんは、先に歩いた。
僕は、篠田さんの左横に付いて歩いた。
篠田さんは、僕の顔を見た。
「あの。女性に道路側を歩かせる訳にはいかないので、右側にどうぞ。」
僕は、会釈して後ろから右側に移った。
「何処出身の方ですか?」
篠田さんは、僕の顔を見た。
「愛知です。」
僕は、嘘を言った。
篠田さんは、思った答えと違ったからか戸惑っていた。
「愛知って…。ハーフですか?」
「いえ、日本とイギリスのクォーターです。」
篠田さんは、再び僕の顔を見た。
「察するにイギリスの血の方が、多い様ですね。」
「そうですね。」
篠田さんが、渋い緑色の建物の前で立ち止まった。
「此処です。」
「和食ですか。」
篠田さんが困った顔をした。
「お嫌いですか?」
「好きですよ。」
僕は、笑顔で言った。
名前だけで見ると、外国人だから日本のモノが良いだろうとかいう考えだろう。
外国人は、皆ジャポニズムとでも思っている類の人間だろう。
其の様な人は、ある意味使い易いかもしれない。
席に座り、料理を注文した。
「本題に入っても宜しいですか。」
僕は、篠田さんの目を見た。
「はい。」
「其方の真木彩綾さんを此方の新作の服を着て頂きたいのです。」
僕は、服の写真をタブレットで見せる。
「彩綾には、ぴったりなのですが、彼女よりRainにして貰いたいのです。」
確か、謎の人気急上昇モデルとか言っていた。
顔、調べるのを忘れていたな。
「因みにこんな顔です。」
篠田さんは、自分の仕事用のタブレット見せた。
「アイリスさんと少し似ていますよね。私、会った時驚きました。」
僕は、驚いてタブレットを目の前まで近付けた。
此れは、もしかして…。
「驚きました。面白そうなのでRainさんにします。」
言われた人とは、違うけど此れは此れで良いかもしれない。
其れに気になる。
「有難う御座います。」
「此方こそ有難う御座います。」
僕は、会釈した。
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