【完結】双き狼の相愛 人狼シリーズ③

remo

文字の大きさ
上 下
44 / 46
番外編②【星雨】

02.

しおりを挟む
「ユイ様。ロウ様が朝どれ葡萄を置いていかれましたよ」
「ありがとう」

ロウは毎朝一番に葡萄を取ってきてくれる。そして、ロウのせいで身体中の力が抜け切っているユイを抱き上げ、食べさせるのを日課としている。
元々過保護なところがあったけれど、ユイを唯一の相手としてから、輪をかけて甘やかしてくる。自分で出来ると思うけれど、ロウと番った後は身体中甘い痙攣が巡り、ろくに力が入らないので、まあ、有難くはある。
今日は任務でロウが不在なので自分で食べるが。

「ユイ様、何か気がかりなことでもございますの?」

葡萄をつまみながら物憂げなユイに、カルナが声をかける。未だロウを身体中に感じて気だるいという事情もあるが、純粋にロウの様子が気になっているということもある。

「うん。あのね、ロウは責務が多いでしょう。なにかロウの役に立てることないかと思って」
「まあ」「なんと」

ユイの発言はカルナとナツナには意外だったらしく、驚きに目を見開いた。

「お世継ぎを産んで差し上げることがユイ様に課せられた最大の使命であり貢献ではありませんか」
「そうですよ。つまり、その、…夜な夜なロウ様と睦び合うことがロウ様のお望みであり、責務のお助けにもなるのです。濃密であればあるほど」

いや、夜な夜な、とか、…
そんなあからさまに言われると赤面する。濃密とか言わないで欲しい。

ロウがどんな風に密接にユイの中に入り込んで、ありとあらゆる場所を繋ぎ合わせて濃厚に交わり合うか、たちどころに思い出してしまう。

「まあ、それは、…そうかもしれないけど」

赤くなりながらもぐもぐ言っているユイを見て、カルナ、ナツナは顔を見合わせる。

「ユイ様は変わってらっしゃいますのね」
「奥方として多大な寵愛を受けてふんぞり返っていればよろしいのに」
「お世継ぎを産むのはユイ様にしか出来ない崇高な使命ですし」
「きっと対等でありたいと思われているのですね」

対等、…そうなのかもしれない。

口の中で甘やかに溶ける葡萄を噛みしめながら思う。

ロウはユイとの関係を二人で一つだと言った。一対だと。
人と人狼。雄と雌。自ずと役割が異なるのは分かる。でも、両翼として、ロウの責務をユイも担いたいと言う気持ちがある。それは元々双子だからなのかもしれない。

カルナとナツナは意外そうにしていたが、徐に頷き合った。

「それほどのお気持ちを持っていらっしゃるなら、深夜ロウ様の後をつければよろしいではありませんか」
「ロウ様が何をなさっているか分かると思いますわ。お手伝いできることもあるかもしれませんわよ」

なるほど。
よし、今夜は絶対寝ない。寝たふりをしてロウをつける!

と、固く決意したにもかかわらず。

「ユイ。好きだよ」
「…んっ、…や、…っぁ、あ―――…っ」

辺境の地から戻ったロウに刺し貫かれ、がんじがらめに抱きかかえられ、上からも下からも、内側も外側も、全部ロウでいっぱいにされたままじりじりと揺らされて、何度も何度も歓喜の爆発に泣き喘いだユイは、身体の中心に穿たれたロウの昂ぶりに膨大な精を注ぎ込まれ、かき混ぜられ、擦り合わせられるうちに限界を超えて、寝落ちた。

自分の中からするりとロウが引き抜かれるのを感じ、甘い痙攣に身体中わななかせながら重い瞼を無理やり開けた時には、隣にロウはいなかった。

…やられた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...