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Ⅳ章.緑色のスキル【回復】

02.渦潮にのみ込まれる

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体長二メートル半ほどの小さな巨人になったルオは、頭にチューリッピを乗せ、アンモを背負って水路を泳ぐ。
身体が大きくなったのでアンモを背負うのも楽だ。ドランがルオを乗せ、龍宮目指して泳いでいた時もこんな感じだったのかもしれない。

清らかな流れに身を任せ、スイスイ進む。水は龍神の源とドランが言っていた意味がよく分かる。なんだか力がみなぎってくるのだ。自分はやっぱり龍神の子どもなんだな、と思った。

「ところでさ、この水路ってどこまで続いてるわけ?」
「チュ、…?」

チューリッピと目を合わせる。調子よくどんどん進んでいるのだが、水路の行きつく先はどうなっているのだろう。
そんなことを思うのは、前方に陽の光が見えてきたからだ。つまり、この地下水路は外に続いてるってこと? 水路が終わって外に出た水がどうなるかというと、……

「滝ぃ―――!?」

陽の光の下では水路が終わり、切り立った岩から水が激流となって勢いよく落ちていく。

やば。引き返そう、……

と、水路で動きを止め、振り返ったルオは、猛然と追いかけてくるアクアたちの影を見た。別の入り口から水路に入り、ルオたちを探していたのだ。ていうか、追いかけられてるってことは結界が途切れてるってことで、…

水中変化と結界を両立維持できるほど、ルオにはまだ力がないのだろう。
アクアたちは水路にうごめく影のように不気味な様相で迫りくる。……速い。やばい。捕まるっ

引き返すことは出来ない。

ルオはチューリッピとアンモを胸に抱えてそのまま高速で水路の果てまで進み、覚悟を決めて途切れた水路から激流にのって真っ逆さまに落っこちた。

「うわ――――――っ」
「チュ――――――っ」

あまりの速さに、自分が空中に留まっているように錯覚するが、確実に着実に落ちている。
ルオたちを追って水路から出たアクアたちは、煙のように空中に浮遊して、落ちていくルオを憐れむように見ているのが目に入った。

ええ―――、一緒に落ちてはくれないわけね。

次の瞬間、ルオはごうごうと渦巻く巨大な渦潮の中に叩き込まれた。全身が衝撃に襲われ、ものすごい勢いの水に飲み込まれる。

「むごご、むごご、むぐ、……っ」

ルオは水中で溺れることはないが、渦巻く激流にもみくちゃにされて方向感覚を失った。
それでも、チューリッピとアンモだけは何があっても離さないように、しっかり両腕に抱きしめる。

流れに抗っても無駄だ。流されるまま行くしかない。

開き直ったルオは流れに身を任せることにした。
すさまじい激流はルオの身体を翻弄し、やがてルオは度重なる疲労感と緊張感に、ふっと意識が遠ざかっていくのを感じた。
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