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Ⅲ章.黄色のスキル【結界】

01.黄の【結界】番人アンモナイト

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「改めまして初めまして。私、黄の【結界】の番人、アンモと申します。あなたがドラン様の弟君、ルオ様ですね」

廃墟の一角に丸々結界を張り、アクアたちからルオとドランを匿ってくれたのは、アンモと呼ばれるアンモナイトで、結界の番人だった。アンモはドランに見せた厳めしい爺やとは別人のようなにこやかな表情で、ルオに片手を差し出した。片手、…アンモナイトの手が正直どうなっているのかよく分からないが、ルオは差し出された小さな突起に手を触れて握手した。

龍神には宝玉を守る七人の番人がいる。アンモはそのうちの一人であるらしい。

「龍剣には七つの力が宿ってるんだ」

アンモに特別に緑茶を淹れてもらったドランが満足そうなため息を漏らしながら説明してくれた。

「黄の【結界】。桃の【回復】。緑の【叡智】。橙の【複製】。赤の【勇気】。青の【信念】。紫の【停止】。ルオが龍神として龍剣を使いこなすには、この七つの力を集めなきゃならない。それぞれの力はそれぞれに番人が守っているんだけど、番人の元で力を習得すると、結晶化された力の宝玉が龍剣に宿る。ルオの剣に器が出来ただろ? そこに習得した宝玉がはまるようになってるんだ」

ドランがルオの龍剣の刀身にある紋章を指さす。
水中変化の術を習得した時、龍剣の紋章に穴が開いたが、それが器であり、スキルを手にするとその穴にそれぞれの宝玉がはめ込まれる。七つすべてが揃うと紋章が七色になるらしい。

「俺の龍剣はアクアに奪われたとき、番人たちが力を封印したんだ。番人は力の暴走を防ぐため、各地に散って力を隠した。アクア王も俺の龍剣に力を得たいから力の宝玉を探している。ルオはアクア王より先にこの龍剣に宝玉を宿さなきゃならない」

つまり。
ルオの龍剣はまだ未完成で、七つの力を得て初めて本物になる。
そのために番人の元を訪ねて力を習得し、宝玉をもらわなきゃいけない。
出来ればアクア王より早く。
……ってことか。

「それで、私が一つ目のスキルである【結界】の番人なのです。力にはそれぞれ色がついていて、結界は【黄】です。ルオ様が【結界】の力を手にすると黄色の宝玉が剣に宿るのです」

アンモが短い手を振り回しながら丁寧に説明してくれる。
なるほど。龍剣が黄金の光を放つさまが頭に浮かんだ。

「その【結界】の力ってどうやったら手に入れられるんですか」

最も肝心なところをズバリ聞いてみた。
力を習得して、とドランもアンモも簡単に言ってたけど。こういうのは大体苦労すると相場が決まっている。

「そうですね。一言でいえば修行です。龍神には生まれつきその力を手にするだけの資質があるのですが、正しく力を使えるように心を鍛えなければなりません。ルオ様には私の元で、結界を使った食料調達の修業をしてもらいます」

ルオとドランはアンモが張った結界の中にある廃墟の一角で、アンモが用意してくれた水と食料で休憩していた。結界の使い手であるアンモは、アクアの目から逃れ、水や食料を調達することが出来る。その役割をこれからルオがこなすということらしい。

やっぱりね、…

前途多難。

夏休み前、学校で習ったばかりの四字熟語が頭をよぎった。
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