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feel.11
03.
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「…(話がしたい)」
やっとの思いで書いたら、年配の警察官が皮肉気な笑みを浮かべた。
「誰とですか?」
食い入るような鋭い視線にさらされる。
動けない。
どうしよう。榊さんが敵なのか味方なのか分からない。
混乱している私をあざ笑うかのように、警察官が言う。
「答えられないのなら、頷くだけでいい。…榊 創太郎ですね?」
自分の反応をこんなに真剣に観察されたのは初めてだった。
一挙手一投足も見逃さない。真実を探る鋭い視線。
「残念ながら、それは不可能です」
意識して、何の反応も示さないようにしたのに、
その後に突きつけられた内容に、簡単に動揺してしまった。
「榊 創太郎は、現在行方が分かりません」
「…―――ッ‼︎」
どういう。
どうして。
疑問符だけがぐるぐる回って、果てのない暗闇に突き落とされる。私の隣で優しい微笑みを浮かべてくれた榊さんが、忽然と消えてしまった。
「…榊とは、公然の付き合いだったようですね。研究センターの同僚も認めていますし、あなたのアパートに出入りする榊の姿を何人もの人が見ている」
私の反応から確信を得たらしい警察官が、供述を誘うように話し始めた。
「榊は離婚も成立し、2人の交際は順調だった。そうですね?」
榊さんはいつも優しくて穏やかで。
どうしようもないわたしの想いも、全部包み込んでくれて、…
「…指輪は、榊から贈られたんですか?」
警察官は、僅かに憐れむような眼差しを見せた。
全部。嘘だったのかな。
榊さんの優しさに甘えるばかりで、私は榊さんのことを、何も分かっていなかった。
「指輪の中身を、本当にご存知なかったんですか?」
無意識のまま、頷いていた。
もう、何が本当で何が嘘か分からない。
「分かりました。今日のところはこれで引き揚げます。榊から連絡があったらすぐに知らせて下さい。いいですね?」
私への疑いが完全に晴れたわけではなさそうだけど、警察官は淡々と言って立ち去るそぶりを見せた。
私から手帳とペンを回収すると、
「…榊とは深い関係に?」
ついでのように、年配の方の警察官が私に尋ねる。
…深い?
私と榊さんの関係は、上司と部下で、私にとっては特別で、恋愛の練習に付き合ってくれて、『一緒に住まないか』って誘ってくれて、奥さんとそのご両親を悲しませた…
「いや、失礼。榊はあなたに何を求めていたのかと思いましてね」
全然。深くなかった。
『くれぐれも気を付けて』
『深森のこと、ソウルメイトみたいに思ってるんだ』
徒らに人を傷つけただけだった。
やっとの思いで書いたら、年配の警察官が皮肉気な笑みを浮かべた。
「誰とですか?」
食い入るような鋭い視線にさらされる。
動けない。
どうしよう。榊さんが敵なのか味方なのか分からない。
混乱している私をあざ笑うかのように、警察官が言う。
「答えられないのなら、頷くだけでいい。…榊 創太郎ですね?」
自分の反応をこんなに真剣に観察されたのは初めてだった。
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「残念ながら、それは不可能です」
意識して、何の反応も示さないようにしたのに、
その後に突きつけられた内容に、簡単に動揺してしまった。
「榊 創太郎は、現在行方が分かりません」
「…―――ッ‼︎」
どういう。
どうして。
疑問符だけがぐるぐる回って、果てのない暗闇に突き落とされる。私の隣で優しい微笑みを浮かべてくれた榊さんが、忽然と消えてしまった。
「…榊とは、公然の付き合いだったようですね。研究センターの同僚も認めていますし、あなたのアパートに出入りする榊の姿を何人もの人が見ている」
私の反応から確信を得たらしい警察官が、供述を誘うように話し始めた。
「榊は離婚も成立し、2人の交際は順調だった。そうですね?」
榊さんはいつも優しくて穏やかで。
どうしようもないわたしの想いも、全部包み込んでくれて、…
「…指輪は、榊から贈られたんですか?」
警察官は、僅かに憐れむような眼差しを見せた。
全部。嘘だったのかな。
榊さんの優しさに甘えるばかりで、私は榊さんのことを、何も分かっていなかった。
「指輪の中身を、本当にご存知なかったんですか?」
無意識のまま、頷いていた。
もう、何が本当で何が嘘か分からない。
「分かりました。今日のところはこれで引き揚げます。榊から連絡があったらすぐに知らせて下さい。いいですね?」
私への疑いが完全に晴れたわけではなさそうだけど、警察官は淡々と言って立ち去るそぶりを見せた。
私から手帳とペンを回収すると、
「…榊とは深い関係に?」
ついでのように、年配の方の警察官が私に尋ねる。
…深い?
私と榊さんの関係は、上司と部下で、私にとっては特別で、恋愛の練習に付き合ってくれて、『一緒に住まないか』って誘ってくれて、奥さんとそのご両親を悲しませた…
「いや、失礼。榊はあなたに何を求めていたのかと思いましてね」
全然。深くなかった。
『くれぐれも気を付けて』
『深森のこと、ソウルメイトみたいに思ってるんだ』
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