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iiyori.06
07.
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そういえば雪だるま、自分の経歴に自信持ってたっけ、…
と、妙なところに感心していると、意外と親切っぽい達磨法師が、
「そなた、蔵に行きたいのなら、わしに付いて来るが良い」
蔵に案内してくれようとしたけど、
「なりません、法師。お館様がお待ちです」
「そうです。このようなところで小娘の相手をしている場合ではございません」
達磨法師の後に続いて歩いてきた弟子っぽい二人がこぞって反対してきた。
そうか、この達磨法師は穂月のお父さんであるお館様に呼ばれて来たんだ。
「よいよい。待たせておけばよい」
「また、そのような、…かわゆい女子に甘いんですから」
「お館様にお叱りを受けますよ?」
ええ~~~、かわゆい女子って私のことですか~~~??
どうやら、こっちの若い私は令和版より盛れているらしい。もしくは私は戦国受けする顔なのかも。
「志田城に取り憑いておる悪霊を祓えるのは陰陽道に優れたわしの他におるまいて。晴信殿も強くは仰せられぬ」
なんだかんだ見る目があるらしい達磨法師は、弟子たちを軽くいなすと、私を蔵まで連れて行ってくれた。
「そなた、新入りの女中か? 名はなんと申す?」
「はい。なえです」
「なえは蔵に何用じゃ?」
「ホントは釜を取りに来たんですけど。せっかくだから法師様にお伺いしたいことがあります」
「よい。何でも申してみよ」
憮然としながら後を付いてくる弟子たちに構わず、達磨法師は気さくに話を聞いてくれる。これはチャンスな気がする。志田城に悪霊が取り憑いているとか、陰陽道に優れているとか、初耳だけど、もしかしたらこの法師なら、時切丸について知っているかもしれない。
「昔、この蔵に穂月様の剣が封印されていたそうですね。すごい妖刀だって聞きますけど、それを封印するほど強い力を持った人がいたんですか」
迷子にならなければ蔵までは意外と近く、まもなくたどり着いた。自分がいかに無駄にぐるぐるしていたかが思い知らされたけど、辿り着いたら終わりではなかった。さすが圏内最有力を誇る志田城。蔵だけでもいくつもあるし、中も恐ろしく広い。
「釜が欲しいならこの辺じゃろう」
法師は釜の収められている蔵も適当に見つけてくれて、私は中にすっぽり入れそうなくらい大きな釜を担ぎながら、
「ふむ。穂月様の剣が封印されていたのはその先の蔵じゃ。そして封印したのは我が師、丸達磨大明神様である」
まるだるま、…上から読んでも下から読んでも。どんだけ丸いん。
達磨法師が指し示す方を見ると、蔵が立ち並んでいる一番奥に、いかにもいわくありげな、物々しい蔵があった。
「あの蔵には今も妖気が潜んでおるから、容易に近寄っては、…あ、これっ」
もちろん、入ってみようとするも、古びた蔵はしっかり施錠されていた。そりゃそうか。
「そなた、時切丸に興味があるのか?」
「はい、えっと、…実はそうです」
「ふむ。実はわしもそなたのような女子を探しておった」
そなたのようなって、もしかして、かわゆらしいってことですか?(←調子に乗っている)
「今宵、子の刻になったら、この蔵の前に来なさい。そなたの知りたいことを全て教えて進ぜよう」
「はいっ」
思いがけずあっさり情報が手に入りそうで、一も二もなく頷いた。
「…法師、よもやその女子を」
「…確かにちょうど良いやも」
完全に調子に乗っていた私は、弟子たちのつぶやきも聞いていなかった。
と、妙なところに感心していると、意外と親切っぽい達磨法師が、
「そなた、蔵に行きたいのなら、わしに付いて来るが良い」
蔵に案内してくれようとしたけど、
「なりません、法師。お館様がお待ちです」
「そうです。このようなところで小娘の相手をしている場合ではございません」
達磨法師の後に続いて歩いてきた弟子っぽい二人がこぞって反対してきた。
そうか、この達磨法師は穂月のお父さんであるお館様に呼ばれて来たんだ。
「よいよい。待たせておけばよい」
「また、そのような、…かわゆい女子に甘いんですから」
「お館様にお叱りを受けますよ?」
ええ~~~、かわゆい女子って私のことですか~~~??
どうやら、こっちの若い私は令和版より盛れているらしい。もしくは私は戦国受けする顔なのかも。
「志田城に取り憑いておる悪霊を祓えるのは陰陽道に優れたわしの他におるまいて。晴信殿も強くは仰せられぬ」
なんだかんだ見る目があるらしい達磨法師は、弟子たちを軽くいなすと、私を蔵まで連れて行ってくれた。
「そなた、新入りの女中か? 名はなんと申す?」
「はい。なえです」
「なえは蔵に何用じゃ?」
「ホントは釜を取りに来たんですけど。せっかくだから法師様にお伺いしたいことがあります」
「よい。何でも申してみよ」
憮然としながら後を付いてくる弟子たちに構わず、達磨法師は気さくに話を聞いてくれる。これはチャンスな気がする。志田城に悪霊が取り憑いているとか、陰陽道に優れているとか、初耳だけど、もしかしたらこの法師なら、時切丸について知っているかもしれない。
「昔、この蔵に穂月様の剣が封印されていたそうですね。すごい妖刀だって聞きますけど、それを封印するほど強い力を持った人がいたんですか」
迷子にならなければ蔵までは意外と近く、まもなくたどり着いた。自分がいかに無駄にぐるぐるしていたかが思い知らされたけど、辿り着いたら終わりではなかった。さすが圏内最有力を誇る志田城。蔵だけでもいくつもあるし、中も恐ろしく広い。
「釜が欲しいならこの辺じゃろう」
法師は釜の収められている蔵も適当に見つけてくれて、私は中にすっぽり入れそうなくらい大きな釜を担ぎながら、
「ふむ。穂月様の剣が封印されていたのはその先の蔵じゃ。そして封印したのは我が師、丸達磨大明神様である」
まるだるま、…上から読んでも下から読んでも。どんだけ丸いん。
達磨法師が指し示す方を見ると、蔵が立ち並んでいる一番奥に、いかにもいわくありげな、物々しい蔵があった。
「あの蔵には今も妖気が潜んでおるから、容易に近寄っては、…あ、これっ」
もちろん、入ってみようとするも、古びた蔵はしっかり施錠されていた。そりゃそうか。
「そなた、時切丸に興味があるのか?」
「はい、えっと、…実はそうです」
「ふむ。実はわしもそなたのような女子を探しておった」
そなたのようなって、もしかして、かわゆらしいってことですか?(←調子に乗っている)
「今宵、子の刻になったら、この蔵の前に来なさい。そなたの知りたいことを全て教えて進ぜよう」
「はいっ」
思いがけずあっさり情報が手に入りそうで、一も二もなく頷いた。
「…法師、よもやその女子を」
「…確かにちょうど良いやも」
完全に調子に乗っていた私は、弟子たちのつぶやきも聞いていなかった。
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