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番外編.02.七夕の願いごと
02.
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というわけで。
「完成~~~」
盛り付けてテーブルに運んだ今夜のメニューを前に拍手。
一口大に巻いたそうめんをキュウリやオクラ、ミニトマトや卵焼きなどで飾りつけした彩り天の川そうめん。お星さま人参のソテー。ゆでトウモロコシと枝豆。メカジキのから揚げ。なすとかぼちゃのオーブン焼き。
なんとビールが進みそうなメニューじゃありませんかっ
え? 晩酌控える決意?
何言ってんの。今日という日は二度と来ないんですよ?
「…お前ホントなす好きだよな」
私がそそくさとビールを冷蔵庫から出していると、なすが苦手なななせがぶつぶつ言っていた。
何言ってんの。季節の野菜は最高のごちそうですよ?
「…誰キャラだよ」
言いながら。
ななせと七夕の乾杯をして、
「美味しいいいっ」
可愛く飾り付けたそうめんプレートを頂く。
「うん、美味いな」
ななせはなすが苦手だけど、文句を言いつつちゃんと食べてくれる。私は何でも食べる食いしん坊だけど、ななせと食べるのが一番美味しい。ななせと一緒に作って一緒に食べるって、最高の贅沢だよね。と思って、
「この贅沢ものめっ」
ななせを肘でつついたら、思いのほか遠くて、ぐらりと横に倒れかかったところをななせに抱えられた。
「…早えな、もう酔ったのかよ」
「酔ってないもん。正しい返しは『お前がな』だもん。ていうか、ななせの願いごと、なに? 女の子になりたいって、なに?」
ななせの腕の中で笹の葉に揺れてる短冊を指差して抗議した。
「いや、なりたいとは、…」
「ななせが女の子だったら絶対私より可愛いからダメ。ダメダメ、許さぬ。別腹級イケメンが減る。これはお国の一大事っ」
「別腹級ってなんだよ、…」
「ななせはななせのままがいいい―――い」
「はいはい」
ななせが私を抱えたまま頭を撫でてくれた。ななせの手、気持ちいい。ななせの匂い大好き。まあ、いいけどね。女の子でも。もうななせだったら何でもいいけどね。
「…余は寛大じゃな、あっぱれ」
「…だから、誰」
ななせの隣にくっついて、上機嫌で七夕ごはんを頬張っていたら、
「お前、子ども欲しいって言ってたじゃん? もし将来授かれるなら、女の子がいいなって。こういうプレートご飯とかも喜びそうだし」
ななせが私の頭をポンポンしながらさらっと言った。
…子ども。
え、…女の子って、子どもの話っ!?
子どもって、私とななせの、…っ??
「おいこら。お前は誰と子作りしようとしてんだよ?」
ななせの子っ!!
『大きくなったらママと結婚する~~~』
マジか。リトルななせ、最高じゃんっ!!
「ちょっと待て。俺みたいな男は絶対に嫌だ。お前、なす食べさせようと必死になってそいつ追いかけ回すだろ」
ななせが分かりやすくふてくされている。
え、…え。もしかしてななせ。子どもにヤキモチ、…?
「まあ確かに? 息子は若い恋人って言うしね?」
ヤキモチななせが可愛くて調子こいたら、ななせに頭を羽交締めにされた。
ぎっ、…ギブギブギブ、…っ
ななせの記憶が混乱していた時、我がまま王子状態で、まるで反抗期の子どもみたいだったけど、リアルにあれが来るのか。いや、アリじゃん。リトルななせならアリっ。そんで10歳の記憶に戻ってたななせみたいに、
『お前。俺のこと好きなのかよ?』
いいやああ~~~っ、アリしか勝たんっ
「…女の子だったら俺が風呂に入れるから」
妄想がさく裂している私に、ひんやりしたななせの一言。
え、…?
『大きくなったらパパと結婚する~~~』『パパ、だ~い好き』
『パパ、おかえりのちゅ~~』『ちょっとオバサン、あっち行って』
くおら―――っ、チビつぼみ、許すまじっ!!
「な、…ななせの浮気者ぉ―――っ、女好きっ、お風呂好きっ、えっちっ、たらしぃいいい――――っっ」
ななせの腕の中でポカポカ腕を振り回して暴れると、
「…分かった分かった。今日はお前を入れてやるから」
大雑把に慰められて、軽々しく担がれた。
…ぬ?
「手のかかる長女がいるから、まあ、もう少し先かな」
チビつぼみのばかあああっ
「完成~~~」
盛り付けてテーブルに運んだ今夜のメニューを前に拍手。
一口大に巻いたそうめんをキュウリやオクラ、ミニトマトや卵焼きなどで飾りつけした彩り天の川そうめん。お星さま人参のソテー。ゆでトウモロコシと枝豆。メカジキのから揚げ。なすとかぼちゃのオーブン焼き。
なんとビールが進みそうなメニューじゃありませんかっ
え? 晩酌控える決意?
何言ってんの。今日という日は二度と来ないんですよ?
「…お前ホントなす好きだよな」
私がそそくさとビールを冷蔵庫から出していると、なすが苦手なななせがぶつぶつ言っていた。
何言ってんの。季節の野菜は最高のごちそうですよ?
「…誰キャラだよ」
言いながら。
ななせと七夕の乾杯をして、
「美味しいいいっ」
可愛く飾り付けたそうめんプレートを頂く。
「うん、美味いな」
ななせはなすが苦手だけど、文句を言いつつちゃんと食べてくれる。私は何でも食べる食いしん坊だけど、ななせと食べるのが一番美味しい。ななせと一緒に作って一緒に食べるって、最高の贅沢だよね。と思って、
「この贅沢ものめっ」
ななせを肘でつついたら、思いのほか遠くて、ぐらりと横に倒れかかったところをななせに抱えられた。
「…早えな、もう酔ったのかよ」
「酔ってないもん。正しい返しは『お前がな』だもん。ていうか、ななせの願いごと、なに? 女の子になりたいって、なに?」
ななせの腕の中で笹の葉に揺れてる短冊を指差して抗議した。
「いや、なりたいとは、…」
「ななせが女の子だったら絶対私より可愛いからダメ。ダメダメ、許さぬ。別腹級イケメンが減る。これはお国の一大事っ」
「別腹級ってなんだよ、…」
「ななせはななせのままがいいい―――い」
「はいはい」
ななせが私を抱えたまま頭を撫でてくれた。ななせの手、気持ちいい。ななせの匂い大好き。まあ、いいけどね。女の子でも。もうななせだったら何でもいいけどね。
「…余は寛大じゃな、あっぱれ」
「…だから、誰」
ななせの隣にくっついて、上機嫌で七夕ごはんを頬張っていたら、
「お前、子ども欲しいって言ってたじゃん? もし将来授かれるなら、女の子がいいなって。こういうプレートご飯とかも喜びそうだし」
ななせが私の頭をポンポンしながらさらっと言った。
…子ども。
え、…女の子って、子どもの話っ!?
子どもって、私とななせの、…っ??
「おいこら。お前は誰と子作りしようとしてんだよ?」
ななせの子っ!!
『大きくなったらママと結婚する~~~』
マジか。リトルななせ、最高じゃんっ!!
「ちょっと待て。俺みたいな男は絶対に嫌だ。お前、なす食べさせようと必死になってそいつ追いかけ回すだろ」
ななせが分かりやすくふてくされている。
え、…え。もしかしてななせ。子どもにヤキモチ、…?
「まあ確かに? 息子は若い恋人って言うしね?」
ヤキモチななせが可愛くて調子こいたら、ななせに頭を羽交締めにされた。
ぎっ、…ギブギブギブ、…っ
ななせの記憶が混乱していた時、我がまま王子状態で、まるで反抗期の子どもみたいだったけど、リアルにあれが来るのか。いや、アリじゃん。リトルななせならアリっ。そんで10歳の記憶に戻ってたななせみたいに、
『お前。俺のこと好きなのかよ?』
いいやああ~~~っ、アリしか勝たんっ
「…女の子だったら俺が風呂に入れるから」
妄想がさく裂している私に、ひんやりしたななせの一言。
え、…?
『大きくなったらパパと結婚する~~~』『パパ、だ~い好き』
『パパ、おかえりのちゅ~~』『ちょっとオバサン、あっち行って』
くおら―――っ、チビつぼみ、許すまじっ!!
「な、…ななせの浮気者ぉ―――っ、女好きっ、お風呂好きっ、えっちっ、たらしぃいいい――――っっ」
ななせの腕の中でポカポカ腕を振り回して暴れると、
「…分かった分かった。今日はお前を入れてやるから」
大雑把に慰められて、軽々しく担がれた。
…ぬ?
「手のかかる長女がいるから、まあ、もう少し先かな」
チビつぼみのばかあああっ
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