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hage.111

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チナツがハンカチをくれて背中をさすってくれた。

「え…?えっと、…デキたの?え?え?終わったって、…?」

チナツがオレの顔色を見ながら恐る恐るって感じで尋ねる。

デキ…?

「…てねーしっ!!」

おかげで涙が引っ込んだ。

ヤればデキることくらいオレにもわかる。
確かにリツキとイタリアでヤりまくったけど、あれは二ヶ月以上前だし、リツキはちゃんと着けるし、…

「ごめん。ちょっと混乱して。食いしん坊のアイが吐くなんて相当具合悪いんだろうけど、リツキくんと終わったなんてあり得ないし、デキちゃった方がよっぽどありかと…」

もごもご言ってるチナツを見たら、ちょっと笑えた。

マジでデキてたら、リツキ、オレのこと捨てなかったかな。

一瞬そんな考えがよぎって、やっぱりオレは壊れかけてると思った。

そんな理由でそばにいてくれても嬉しくねー。

「…リツキくんが心変わりって、…いやいや、それはないよ。天地がひっくり返ってもそれだけは絶対ない!!」

チナツがきっぱりはっきり、力強く断言する。

気持ちは嬉しいけど、

「…アイツ、はっきりそう言ったしな」

ベッドに仰向けに横になる。
目がヒリヒリして、喉がイガイガする。

リツキはラウラの手をとった。

「百歩譲って、リツキくんがそう言ったなら、…」

チナツがオレの目をのぞきこむ。

「アイのためだよ。それしか考えられない」

チナツの言うことがよくわからなくて、目をしばたたいた。

ネックレス無くしたり、小細工してごまかしたりしたオレに、愛想尽かしたんじゃねーの?

んで、従順そうなイタリア美女に走った…

「な、わけないじゃん!」

イジイジぶつぶつ言ってるオレをチナツがスッパリ斬り捨てる。

「ネックレスのことはさ、そりゃあ怒ってるかもしれないけど、他に理由があるんだと思うよ。リツキくん、アイしか見えてないもん、絶対そうだよ」

チナツが冷たく絞ったタオルを目の上に乗せてくれた。

「こんなアイ見たら、…リツキくんだって辛いと思うな」

オレの髪を軽く撫でると、また後で来ると言って、チナツは教室に戻っていった。

オレのため?
リツキが辛い?

そんなこと、あるか?

だって、そんなの、理由がわかんないよ。

『もう、…お前とは付き合えない』

リツキ。
何かあったのかな。
イタリアで、オレが知らないうちに、何か…

思考がぐるぐる回って、いつしか緩やかな眠気に襲われていた。

オレを撫でるリツキの長い指。
優しい感触。
甘いリツキの匂い。
力強い腕。熱い胸。

わかんないよ、リツキ。
何があって、何を考えてんのか、ちゃんと教えてほしいよ…
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