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hage.96

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すげー、うまそうな匂いがする。

匂いにつられて目を開けると、リツキのどアップが飛び込んできた。

「アイ、起きた?」

すげー優しい顔でオレの頭をなでると、

「ん。水」

頭の下に手を入れてオレを斜めに起こし、口移しに水を飲ませてくる。

…うまい。けど、自分で、…っ

と思うのに、まるっきり身体に力が入らねー。

くそっ、オレはまたエロサルのなすがままか。

リツキのエロサルぶりはイタリアでも健在で、何回ヤったかわかんねーけど、オレは寝ても覚めてもリツキに抱かれてて、最終的にはまた完全に意識を飛ばされていた。

「…ん?なんか食う?」

リツキは上半身裸のままで、これ見よがしに鍛えられた胸板をさらして平然としている。

「…もっと」

これが経験値の差かと思うと、なんか悔しくて、オレが憮然として言うと、

なんでかリツキはちょっと嬉しそうにまたオレに水を飲ませ、

「…んっ、…ふぅ」

そのまま舌を絡ませてきた。

「…アイ、煽るなよ。もっかい、ヤる?」

…ヤらねーしっ

エロサル、なんでスイッチ入ってんだよ!

「なんか、うまそうな匂い」
「ん。食うか。ルームサービス頼んだ」

シーツに包まれたオレを当たり前のようにリツキが抱き上げて、ひざに乗せたままイスに座る。

「何から食べる?」

テーブルには、スープやらパスタやらピザやらサラダやらラザニアやら、イタリア料理が湯気を立てて並んでいた。

「…や、…」

すげーうまそうで腹はグーグー言ってんだけど、オレは腕ごとシーツに包まれてて、リツキのひざの上な訳で。

「ん?ラザニア?」

ヤりまくったせいか上機嫌なエロサルは、オレに食べさせる気満々なんだけど。

「…自分で食うし」

羞恥プレイ過ぎんだろ!

「無理すんなよ。動けねえだろ。いいから、口開けろ」

もがくオレをなだめるように撫でると、リツキがオレの口にすくったラザニアを放り込む。

「…うまっ!」

なに、この絶妙な歯ごたえと舌ざわりっ

「ほら、こっちも食ってみ」

あんまり美味くて、リツキが口に運んでくれる料理を夢中で食べた。

考えてみれば、イタリアに着いてから、ほとんどまともに食べれなかった。

世界の食堂料理を味わわなかったなんて、もったいなさ過ぎる。

完全に食欲が羞恥心に打ち勝って、自分も食べながらオレに食わせてるリツキの素肌が頬に触れることも、時折オレの髪を撫でるリツキの手も、意識の外に追いやられた。

「リツ、オレ、ちょー満足」

すっかり腹が満ちて至福のため息をつくと、

「…ん」

なんか幸せそうな顔したリツキがナフキンでオレの口元をぬぐうから、猛烈に恥ずかしさが込み上げてきた。

「…もう、動ける」

もぞもぞとリツキのひざから降りようとすると、リツキの両腕がオレをとらえて、正面に向き直させられた。
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