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hage.38
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「もおぉ~~~っ、何やってるのよぉぉ~~~」
すみません。
怖いです、チナツ様。
体育祭の翌日はバイトで、会って早々チナツを更衣室に引きずり込むと、情けないオレの現状を打ち明けた。
「アイが、好きって言って、もう、リツキくんたまらなくなって、昨日は二人で熱い夜を過ごしたかと思ったのにぃ」
すみません。
ヒートアップはしたんですけど。
「タカヤくんがアイのこと好きなのは明らかだったけどさぁ。まんまと告白されたか」
チナツがため息まじりに言うけど、何にも明らかじゃなかった気がする。
「タカヤくん、隠れファン多いんだよ?硬派で女の子寄せ付けないから、あんまり目立たないけど。リツキくんが心配するのもわかるよ」
…そうなのか?
「でもさ、ひどくね?告白は遊びじゃねーだろ?」
知らず、声が尖ってしまう。
どうしても納得がいかないオレに、チナツは優しく笑った。
「リツキくんはさ、記念受験みたいな告白も多かったんだと思うよ?」
記念受験?
「ミーハーなノリでさ。とりあえず言っといて、万が一にもヤれたらラッキー、みたいな」
ヤれたら、ラッキーって、…
「だから、別に告白を軽視してるわけじゃなくて、さ」
話しながら着替えるチナツは、何気にナイスバディで、
「チナツ…っっ」
それとなく見てたら、見つけてしまった。
胸の上んトコ。
そそそ、それって、
「キスマ、…」
やべー、チナツを見れねー。
「あ…、カイトくんて、結構ヤキモチ焼きだから」
チナツが悪びれずに笑う。
なんかチナツがすげー大人に見える。
「でも、ヤキモチって嬉しいもんだよね」
…ヤキモチ、かぁ。
「ヤキモチ焼いてるアイも可愛いけどさ。リツキくんの気持ちも、わかってあげなよ」
チナツがオレの頭を慰めるようになでた。
…大人だ。
「アイツ、いっつも余裕で、オレばっかりヤキモチとか、負けてるみたいでなんか悔しい…」
クソ、オレはダダこねてる子どもみたいだ。
「そーかなぁ。リツキくん、結構アイに振り回されてると思うけどなぁ」
チナツはそう言うけど、全然そんなことないと思う。
だいぶ慣れてきたフロアの仕事を、お客さんへのスマイルとともにこなしながらも、モヤモヤするばかりだった。
リツキもオレにヤキモチ焼いて、勢いで「好き」とか言ってくれねーかな…
「…充分、妬いてると思うけど」
トイレ掃除から出てきたら、背後から声がしてすげーびびった。
振り返ると、人畜無害な顔で樋口タクが立っていた。
「アイちゃん、本多くんの気持ちが心配なの?」
ヒグチが人好きのする笑みを浮かべて小首を傾げる。
すっかり忘れていたけど、コイツは以前、オレに告白してくれて、でもはっきり返事もしてなくて、なんとなく気まずい感じがしなくもない。
「声に出しちゃうくらい思い悩んでるんなら、相談してよ。俺、アイちゃんより男の気持ち、わかるし」
しかし、フレンドリーに話しかけてくるヒグチに気にしている様子はみじんも感じられない。
「今日、一緒に帰ろうか。本多くんは休みだし、チナツちゃんはカイトと帰るだろうし」
にっこり笑顔の樋口タクに、オレは小さくうなずいた。
バイト先でチナツと別れて、ヒグチと一緒に帰路に着く。
「なるほどね~、本多くんが遊びか本気かわからなくて不安ってことか」
ヒグチの言葉に、なんとなく不本意ながらうなずく。
すみません。
怖いです、チナツ様。
体育祭の翌日はバイトで、会って早々チナツを更衣室に引きずり込むと、情けないオレの現状を打ち明けた。
「アイが、好きって言って、もう、リツキくんたまらなくなって、昨日は二人で熱い夜を過ごしたかと思ったのにぃ」
すみません。
ヒートアップはしたんですけど。
「タカヤくんがアイのこと好きなのは明らかだったけどさぁ。まんまと告白されたか」
チナツがため息まじりに言うけど、何にも明らかじゃなかった気がする。
「タカヤくん、隠れファン多いんだよ?硬派で女の子寄せ付けないから、あんまり目立たないけど。リツキくんが心配するのもわかるよ」
…そうなのか?
「でもさ、ひどくね?告白は遊びじゃねーだろ?」
知らず、声が尖ってしまう。
どうしても納得がいかないオレに、チナツは優しく笑った。
「リツキくんはさ、記念受験みたいな告白も多かったんだと思うよ?」
記念受験?
「ミーハーなノリでさ。とりあえず言っといて、万が一にもヤれたらラッキー、みたいな」
ヤれたら、ラッキーって、…
「だから、別に告白を軽視してるわけじゃなくて、さ」
話しながら着替えるチナツは、何気にナイスバディで、
「チナツ…っっ」
それとなく見てたら、見つけてしまった。
胸の上んトコ。
そそそ、それって、
「キスマ、…」
やべー、チナツを見れねー。
「あ…、カイトくんて、結構ヤキモチ焼きだから」
チナツが悪びれずに笑う。
なんかチナツがすげー大人に見える。
「でも、ヤキモチって嬉しいもんだよね」
…ヤキモチ、かぁ。
「ヤキモチ焼いてるアイも可愛いけどさ。リツキくんの気持ちも、わかってあげなよ」
チナツがオレの頭を慰めるようになでた。
…大人だ。
「アイツ、いっつも余裕で、オレばっかりヤキモチとか、負けてるみたいでなんか悔しい…」
クソ、オレはダダこねてる子どもみたいだ。
「そーかなぁ。リツキくん、結構アイに振り回されてると思うけどなぁ」
チナツはそう言うけど、全然そんなことないと思う。
だいぶ慣れてきたフロアの仕事を、お客さんへのスマイルとともにこなしながらも、モヤモヤするばかりだった。
リツキもオレにヤキモチ焼いて、勢いで「好き」とか言ってくれねーかな…
「…充分、妬いてると思うけど」
トイレ掃除から出てきたら、背後から声がしてすげーびびった。
振り返ると、人畜無害な顔で樋口タクが立っていた。
「アイちゃん、本多くんの気持ちが心配なの?」
ヒグチが人好きのする笑みを浮かべて小首を傾げる。
すっかり忘れていたけど、コイツは以前、オレに告白してくれて、でもはっきり返事もしてなくて、なんとなく気まずい感じがしなくもない。
「声に出しちゃうくらい思い悩んでるんなら、相談してよ。俺、アイちゃんより男の気持ち、わかるし」
しかし、フレンドリーに話しかけてくるヒグチに気にしている様子はみじんも感じられない。
「今日、一緒に帰ろうか。本多くんは休みだし、チナツちゃんはカイトと帰るだろうし」
にっこり笑顔の樋口タクに、オレは小さくうなずいた。
バイト先でチナツと別れて、ヒグチと一緒に帰路に着く。
「なるほどね~、本多くんが遊びか本気かわからなくて不安ってことか」
ヒグチの言葉に、なんとなく不本意ながらうなずく。
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