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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
三文芝居
しおりを挟む予定通り、街道を装甲車で走り、リーパス付近に到着するとそこからは歩きで町へ入った。
「みんなには大統領府へ来てもらいたい」
「その前に仲間の安否が気になるので、アルファンブラ商会へ寄らせてください」
「分かりました。私は先に大統領にことのいきさつを話しておきます。
迎えの者を行かせるので後から来てください」
とチーフテン外務大臣は短く答えた。
慌ててアルファンブラ商会を尋ね、名前を言って受付の美人さんにジーコさんの面会を求めた。
受付の美人さんは奥へ行くとしばらくして
ドタドタドタ!
とけたたましい音とともにジーコさんがお腹を揺らしながら登場した。
「みなさん、ご無事でしたか! 向かった場所がワイハルトだから心配したんですよ。
うんうん、ご無事で何より。
さぁ~みなさん、こっちへ」
と頷きながら俺たちをいつもの部屋に俺たちを通してくれた。
「茜さまはどうだったい? 妹さんでしたか?」
「いえ、真っ赤な偽物でしたよ。
俺の名前がバレタとたんに捕縛されそうになりました。
偽勇者・茜も俺を捕まえようとしたので完全な偽者ですね」
「そうだったのですか。残念ですね」
「ジーコさん、俺たちはこの後、大統領府へ行かないといけないのですが・・・・
ちょっとワイハルトで事件を起こしてしまってオリタリア政府に身柄を確保されるかもしれません」
「え?何をしてきたんだい?」
「ワイハルトと剣を交えてしまって、城の中に溺れるくらい水を撒いてしまい・・・・・ちょっと大変なことの」
「何故、そんな事に!」
「俺を捕まえようとしたので逃げるために」
「う~~~ん、それはまずいね。政治問題になるからね。
政府がどういう対応をするか分からないね。
身柄を拘束される可能性が高いね。
色々とマズイ状況だね」
と言うとジーコさんは腕を組み右手で顎を摩りながら思案している。
「ジーコさん、則之たちは?」
「いや、まだだよ。今か今かと待ち構えているんだけどね」
俺は智弘と顔を見合わせた。
智弘の顔には『これは何かあったのでは?』と書いてあった。
多分、俺も同じ顔をしていたことだろう。
「ナミラーへ向かうしかないな!」
と俺が言うと智弘は黙って頷いた。
「碧くん、私も大統領府へ行く事にしよう。
私がいれば大統領も無下なことは出来ないはずだから」
とジーコさんは言うと部屋の外へ出て
「誰か、誰か来てくれないか?」
と商会のスタッフを呼んだ。
「大至急、ロッシ兄さんのところへ行って大統領府へ来て欲しいと連絡してください。
そして、馬車を用意してください」
と言うと呼ばれたスタッフは廊下を走っていった。
「兄さんも一緒なら、より無下には出来ないはずだよ。
少しは大統領に顔も効くし、これでも大きな商会の会長だからね。
僕はね、みなさんとの縁を大切にしたいんだ。
ハルフェルナの人々がどれだけ勇者・茜さまに助けられたことか。
茜さまがいなければハルフェルナの人族はどうなっていたか分からないからね。
全滅しているか、魔族の奴隷や生贄になっていてもおかしくないからね。
その恩をお兄さんの碧くんに返しても良いでしょう」
「ジーコさん、ありがとうございます」
俺は深く深く頭を下げた。
それに習い智弘と将太も頭を下げた。
それを見て龍之介も『一応、頭を下げておくか』という感じで頭を下げた。
ミリアは『うんうん』と頷くだけであった。
大統領府へ着くと入り口に立っている騎士に案内され謁見用の部屋に案内され、しばらく待っていると大統領とチーフテン外務大臣が例の女性秘書を伴ってやってきた。
慌てて椅子から立ち上がると大統領は手を俺たちのほうへ向け着席を促した。
「白田君をはじめみなさん、ご苦労様でした。
色々、大変だったみたいだけど、まず最初に勇者・茜さまは偽物で間違いないのかな」
「はい、大統領。間違いありません。
あの勇者・茜は妹ではありませんでした」
「・・・そうか。残念だ。アクアオーラ陛下は勇者・茜が偽物と分かっていたと思うかい?」
俺は一瞬考え
「それは何とも言えません・・・・ただ・・・・」
「ただ?」
「ただ、あの二人の間には信頼関係が築かれているように感じました」
「それは何故かな? 外務大臣から大方の話は聞いているが」
「お互いの強さを分かっている感じがしました。
獣王に襲撃されたときアクアオーラ陛下も偽勇者・茜を必要以上に援護と言うか手助けはしませんでした。
少なくともアクアオーラ陛下は偽勇者・茜が獣王に敗れるとは思っていなかったように感じました」
「そうか、あの獣王に匹敵する強さということか・・・・・」
大統領は天井を見上げ深呼吸をしたあとに
「白田君、分かっていると思うが君がアクアオーラ皇帝陛下に対して行った行為はワイハルトへの敵対行為だという事は分かっていると思う。
しばらくすればワイハルトからことの説明と君の身柄引き渡し請求がくると思う」
「大統領! 宜しいでしょうか?」
智弘が右手を少し挙げ会話への参加を求めた。
「なんだい、水原君」
「ワイハルトが碧の捕縛を命令しなければこんな事にならなかったと思います」
と智弘は言ったが、あのときエイジアさんを見捨てれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
が、俺にはエイジアさんに対して恩がある。
見過ごすことなど出きる分けがない。
そして、後悔などしてはいない。
一瞬、間を空け大統領は無言で立ち上がり目の前にやって来ると俺の手を取り立ち上がらせ、背中を向け両手を取って右手を自分の首へ、左手をお腹を押さえるように抱きかかえさせた。
(な、な、何してるんですか?)
俺は勿論、周りの誰もが大統領の不審な行動を理解できなかった。
「白田君! 止めたまえ! いくら君が勇者・茜さまの兄とはいえ大統領を拉致・監禁しては許されることではない」
大統領はあざとらしく棒読みで言った。
それは誰もが芝居と分かる口調であった。
「だ、だ、大統領! 何をい、い、言っているのですか!」
「大統領に対するテロは重犯罪! これではワイハルト帝国が身柄の引渡しを要求しても簡単には応じることは出来ないね」
ポン!
チーフテン外務大臣も手を叩くと
「そうですね! 大統領! これは身柄引き渡しの先に我がオリタリア国内で解決しないいけない問題です」
「だが、これからガルメニアと戦いが始まるので白田君を拘束すると水原君たちが全力を上げて取り返しに来られるとリーパスに混乱をもたらすことになる。
ガルメニアはリーパスの東部から攻めてきそうなので先にリーパスで事件が起きると国民が動揺する。
リーパスに兵を集めなくてはならないのでナミラーは手が薄くなりそうだ。
ナミラーに行かれると我々も白田君を捕縛するのも難しくなる」
「そうですね。大統領。兵をナミラーまで派遣している余裕などありません。
それどころかナミラーの兵をリーパスへ召集しなくてはなりません!
ワイハルト方面も最大限に警戒しないといけません」
「あ~~ナミラーに逃げられたら、今の我々には何も出来ないぞ!」
・・・・・・何だこの茶番は!
俺たちはおろか秘書のお姉さんも警護の騎士も直立不動のまま目が点になっていた。
いい年のおっちゃんたちのくだらない三文芝居に微動だに出来なかった。
が、その中で智弘はいち早く反応した。
「碧。 大統領は逃亡に邪魔になる。手を放せ!
俺たちはナミラーへ向かう事にする。 脱出するぞ! 中庭に急げ!!」
と智弘も棒読みの台詞で返した。
智弘の指示どおり中庭目指し部屋から飛び出た。
「龍之介! 飛んでくれ!」
「分かった、お兄ちゃん」
龍之介が龍の姿に戻ると俺たちは一斉に背中に飛び乗り大統領府から飛びだった。
下を見ると丁度、マイソール家の豪華な馬車が大統領府に到着し馬車からロッシさんとアレックスさんが降りてきた。
「り、り、龍だ!! アレックス!! 何故、こんなところに!!」
両手を拳にし仁王立ちしながらロッシさんの叫ぶ声が聞こえた。
「碧さんたちですわ」
隣ではアレックスさんが手を振って見送ってくれた。
俺と将太、智弘は手を振り返すのであった。
ジーコさんは先ほどの三文芝居をロッシさんにどうやって説明するのかを想像すると少し可哀想な気持ちになった。
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※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
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