265 / 304
第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
来た!!! 見た!!! 俺は逃げる!
しおりを挟む「白田 碧!」
偽勇者・茜が声を上げた。
「白田 碧と申すか!!」
アクアオーラ皇帝も声を上げた。
??俺、有名人? そう言えば俺の使っていた教科書が元になって文字や言語、科学が発展したとか言っていたよな。
そこそこ有名人と言えば有名人なのかもしれないが、そこまで驚くほどのことでもないだろ。
この世界では魔法があるので科学知識の比重はそんなに大きくないはずだ。
「白田 碧を捕らえよ! 殺すな!! 生かして捕らえよ!!」
(へ?なぜ??)
アクアオーラ皇帝陛下はいきなり立ち上がり叫ぶように周りにいる騎士を始め、3人の召喚者に命令した。
偽勇者・茜も獣王から俺に目標を変え一歩、歩み寄った。
向けられら視線からは明かに殺意を感じる。
「おい、バッタもん! 兄貴の方には行かせねーよ!」
と釘バットで行く手を遮った。
「獣!! お前などに用は無い! 見逃してやるから失せろ!」
「お~~バッタもん! 言ってくれるね~ 兄貴に何かあったら姉御が悲しむんでね。
『はい、そうですか』と行かせるわけには行かないんでね。
兄貴にそんな殺意を向けてどうするんだ!
お前が完全なパチモノであるのが確定したわけだな! ハハハハ!」
と獣王と偽勇者・茜は再度激しい撃ち合いを始めた。
3人の異世界召喚者は、それぞれの獲物を手にじわりじわりと迫ってくる。
「将太、智弘! エイジアさんを連れて後ろに下がれ!」
と3人の矢面に立つが・・・・・一般人の俺に何ができる訳でもない。
ダダダダダーーーーン!
咄嗟にランドセルの中からマシンガンを取出し3人に向け乱射する。
男たちにマシンガンが当たったと思ったが、当たる直前に緑色の男が左手を前に突出した。
すると銃弾がバラバラと目の前で落ちる。
魔法障壁!
セキジョウ・ダンジョンでブラドーが銃弾を防いだときのことが脳裏に浮かぶ。
伊達に異世界から召喚されてきたのではなさそうだ。
ゆっくりゆっくり3人が近づいてくる。
ヤバいぞ! 考えるんだ俺! 考えるんだ俺!!
こいつらの足止めが出来そうなもの。
!! 吉と出るか凶と出るか分からないが、あいつを使おう!
「出て来い! デブ悪魔!!」
バケツから水を撒くようにランドセルを前後に動かす。
「BL小僧!! とっとと出しやがれ!って・・・・・やっと出れたか!
小僧、覚悟しろ・・・・??
うん!? ここはどこだよ!?」
太った悪魔は訳も分からず謁見の間で左右をキョロキョロした。
カクタスはチェガーデ付近の森でマジックバッグに封じ込められていた。
「カクタス殿!! 何故、ここに?」
「うん!? その声はネギトロか!」
カクタスが声に反応してネギトロの方へ向いた。
ネ、ネ、ネギトロ?
あの馬鹿ネコ、『獣王』なんて偉そうに呼ばれているけどネギトロって言うのか?
本名か? 渾名ならいいが本名だったら、すんご~~く悲しいぞ。
そう言えばあのワイバーンもエビテンとか呼ばれていたな。
何だか獣王軍団・・・・・可哀想な気がしてきた。
「また、勇者・茜の偽者が現れたので成敗しているところです!」
「なに!! またか! どこのどいつだ!!」
と左右を見た後、視線は一点に集中した。
目の前には透き通った青い大剣と朱色の縁取りがされた白いローブを着ていた。
「あぁ~! 貴様か! 勇者・茜の名を語る不届き者は!!
顔もなかなか似ているがお嬢はもっと美少女だ!
お前のように年はくってねーぞ! こりゃ、お仕置きの一つでもしておかないとな!
で、この3匹は偽物の付き人か! じゃ俺はこっちをやる! ネギトロは偽物をやれ!」
と言い終わらないうちに3人の男たちに襲いかかった。
カクタスと呼ばれたデブ悪魔は両手を巨大化させ爪を伸ばした。
ヒュン!
と空気を切り裂く音が聞える。
黒色の異世界人目がけ右手が振り下ろされる。
ガッキン!
黒色の異世界人が両手剣で受ける。
カクタスを水色の異世界人のヤリが襲う。
ガン!
カクタスは左手でそれを止めるた。その瞬間、フレイルがカクタスを襲う。
が、空中に飛び上がり後方に一回転し着地すると、間髪入れず黒色の異世界人に襲いかかる。
そして、また同じようにヤリがフレイルがカクタスを襲う。
そして距離を取る。
そして、また黒色の異世界人に攻撃を仕掛ける。
俺の投げたサックブラッドナイフでダメージを負っている黒い異世界人に攻撃を絞っている。
一瞬で弱っている者を見分けたのか! デブ悪魔!やるな!
弱っている黒い異世界人を庇うように水色、緑の異世界人が前に出る。
水色の異世界人は槍を突き刺し、緑色の異世界人はフレイルを振り回しデブ悪魔を攻撃した。
デブ悪魔は二人の攻撃を時に爪で受け、時にはかわし、黒い異世界人を集中して攻める。
黒い異世界人も必死に距離を空けようとするが、デブ悪魔はそれを許さなかった。
ガキン!
渾身の一撃の右手を振り下ろすと両手剣でを頭上で水平にして受ける。
シュッツ!
グサ!
デブ悪魔得意の猛毒舌攻撃! 見事に黒い異世界人の胸に突き刺さった。
ウォーーーーーーー!
「命中!!」
黒い異世界人が大声を上げたかと思うとゆっくり膝から崩れ落ちうつ伏したまま二度と動く事は無かった。
あの舌攻撃、本当に猛毒なんだな。
『ドラゴンものた打ち回って死ぬ』とか言っていたが嘘じゃ無さそうだ。
女神さまがくれた毒耐性がなければ、俺もああいう風になっていた。
「ティンゲル!」
「ティンゲルの!!」
水色と緑の異世界人が声を上げる。
「フッ! 弱いな! お前ら二人もあの世に送ってやろうか?」
デブ悪魔が異世界人二人を挑発したとき
「ネクロマンシー!」
声の方を見るとアクアオーラ皇帝陛下が死んだはずのティンゲル人へ向け魔法を掛けた。
すると死んだはずの黒い肌のティンゲル人がゆっくりと立ち上がり両手剣を構えた。
が、人としての意識は無いように思える。
「ゾンビか? 死者を蘇らせることができるのか!?」
「死霊術だ!」
智弘が答える。
「アクアオーラ! 貴様、人間じゃないな!!」
デブ悪魔がアクアオーラ皇帝陛下を睨みながら叫ぶ。
「クリムゾンの魔物ごときに答える必要は無い!
行け! 異世界人たちよ」
とアクアオーラ皇帝が命令をする。
死んだはずの黒い異世界人も両手剣を構え再度攻撃を仕掛ける。
動きが速い。
サックブラッドナイフを投げつけ弱る前の状態にまで戻っている。
オークゾンビとは明らかに違う。
また3対1の状況に・・・・さっきまでは一人は手負いだったが今度は完全な3対1。
が、デブ悪魔は負けていない。
相手の斬激を受け、時にはかわす。
俺たちはこんな強いヤツと戦っていたのか!
よく殺されなかったものだ。
が、デブ悪魔も決め手に欠け打ち合いが続く状態になってしまった。
・・・・・死者ならあれが効くか!?
マジカルランドセルから小瓶を取り出し、生き返った黒い異世界人目がけ投げつけると反射的に小瓶を空中で叩き割った。
バシャ
「ウガーーーー 熱い! 熱い! 体が溶ける!!」
小瓶が割れ液体が撒き散らされ黒い異世界人は叫び声を上げた。
混じりっけ無し!
我らの聖女様・将太の原液100%の聖水!
死霊系には効果てき面!
「ウォーター!」
慌てて偽勇者・茜が異世界人目がけ水魔法を唱え原液100%聖水を洗い流した。
「ハーレム小僧! 助かったぜ!!」
デブ悪魔が振り向き俺を見ながら親指を立てた。
「雑魚に構うな!! 皆の者、白田 碧を捕らえるのだ!」
アクアオーラの命令が飛ぶとワイハルトの騎士たちが俺たちを取り囲む。
マズイな。
俺は天井に空いた大穴に気がついた。
「龍之介! 元の姿に戻ってチーフテンさん、ビッカースさんを連れてあの穴から逃げろ!
ミリアは将太とエイジアさんを! 智弘は俺を連れて飛べ!」
龍之介は指示通り龍の姿に戻ると迫ってきた騎士たちが怯む。
その隙に龍之介は右手でチーフテンさんを左手でビッカースさんを掴み天井の穴を目掛け飛びあがった。
ミリアが将太とエイジアさん両脇に抱え飛び上がったのを確認する。
「智弘! 頼む! おい! デブ悪魔! また水を撒くぞ!!」
「マジかよ! ネギトロ!引くぞ! 撤退だ!! あいつの水攻撃はヤバいぞ!」
ギョッとした顔で一瞬、俺を見た。
カクタスの脳裏に件の大洪水が思い浮かぶ。
「たかが水だろ!?」
ネギトロが答える。
「量が半端じゃねぇ~んだよ! こんな狭い空間であいつが水を出したら全員、溺死するぞ!」
と言うとカクタスは飛空魔法で訳の分からないネギトロを回収し大穴が空いている天井から外に出た。
智弘が俺を抱え空に舞い上がる。
「行くぞ!」
マジカルランドセルを下に向け水を放出する。
ザッパーーーン!
大量の水が謁見の間に流し込まれる。
騎士たちが大量の水に飲み込まれ溺れる。
水が部屋の中に満たされると水圧でガラスの窓が次々に割れ水が城の外へ放出される。
関係のない騎士を巻き込んで可愛そうな気もするが、アクアオーラ皇帝陛下が俺を捕まえようとするのなら正当防衛と言うことで許されるだろう。
ワイハルト帝国から捕縛されるような理由は無い。
俺に非があるわけではない!
俺の足元、水中では鎧の重さで浮かぶことが出来ない騎士たちが水の中でもがいている。
アクアオーラ陛下が何やら水中で呪文を唱え騎士の一人一人を泡で包み始めた。
偽勇者・茜は水中で青く透き通った大剣を天にかざすと謁見の間に撒いた水が竜巻状になり空へと登っていった。
「ヤバイ! 龍之介!ミリア!逃げるぞ!」
俺は東の方向を指さした。
デブ悪魔と獣王は南西方面へワイバーンを伴って離脱していった。
0
お気に入りに追加
779
あなたにおすすめの小説
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです
こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。
異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた
みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。
争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。
イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。
そしてそれと、もう一つ……。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる