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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
子龍
しおりを挟む怪獣戦争に勝利し、丸まっている子龍に歩いて近づこうとすると
「お主、気をつけろ!
子龍が妾たちのことを味方と認識しているわけじゃないからな」
いきなり襲ってきても防御できるように焼肉プレートを取り出しておいた。
子龍はとぐろを巻きながらも体が少し震えていた。
あれだけ巨大なドラゴンたちに袋叩きに合っていたのだから仕方が無いことだろう。
そっと近づき声を掛ける。
「おい、龍よ! 頼みがある!
お前の涙と爪を分けてくれないか?
俺の仲間がゾンビになりそうなんだ。
お前の力を貸してくれないか?」
子龍は、ハッとしたように頭を上げこちらを見た。
「人間!?」
!!!!人間の言葉を話している!
ハルフェルナへ来て人間の言葉を話せるモンスターに初めて遭遇した。
ロッシさんの言うとおり、知的水準は相当高そうだ。
ジャラジャラと足に繋がれた鎖の音を立てながら、とぐろを解き体を起こし、後ろ足で立ち上がった。
・・・・・でかい。
が、さっきのドラゴンたちなどよりは小さいが両足で立ち上がると見上げてしまう。
小声でミリアに尋ねた。
「こいつ、何か吐くの? 炎とか?」
「龍は雷の玉を吐くぞ」
「マジか!」
「一撃で館クラスが吹っ飛ぶぞ」
「う~~ん、強いのか、弱いのか?」
「十分な威力じゃろ!」
「俺の周りはもっと破壊力のある奴らが沢山いるからさぁ~ イマイチ、分かりづらいんだよ」
ミリアと話し終わり龍の方を向くと
「嫌だよ! なぜ、僕がそんなことしなければならないんだい?」
子龍が上から見下ろしながら言った。
「だからお願いしているんだよ!」
「ハルフェルナの頂点の龍である僕にお願いする態度じゃないでしょ!」
カチーーーン! こ、こいつ!!
まぐろ君で切り刻んでやりてーー!!
イカン、イカン! ここで怒っては今までの努力が無駄になってしまう。
俺は大人だ!
このくらいのことでは怒らない、怒らない。
「お願いします」
と姿勢を正し頭を下げた。
「まだ頭が高いんじゃないかな~」
カチーーン! カチーーーン!!
このガキ! 龍が何年生きるか知らないが子龍なんだろ!
子龍という事はガキなんだろ!! クソ生意気なヤツだ! 切り刻んでやる!!
いやいや、俺は大人だ! こんなガキと一緒になってはいけない。
将太のためなら靴の裏でも舐めてみせる!!
正座をし土下座をしながら
「子龍様。お願いです。
俺の友達をお助けください。
子龍様の力が必要なんです」
これでどうだ?
今までも、これからもこれ以上、美しい土下座は出来ないだろう!!
という完璧な土下座をして見せた。
「嫌だよ。
僕が何でそんなことをしなければいけないんだよ。
龍の部位はおいそれと渡してはいけないのが掟になっているんだよ。
まして人間なんかに渡したら悪い事にしか使わないでしょ」
この野郎!! 調子に乗りやがって!
こいつ、ぶっ殺して目玉くり抜き、爪引っ剥がしてやんよ!!
ダダダダダダダーン!!
マシンガンを取り出し、子龍に目掛けバルカン・モードで連射した。
「痛い、痛い、痛い!!」
子龍はとぐろ状態になり身を守った。
「おら~~次はグレネードをぶっ放すぞ!! ゴラ~~~~~!!」
とグレネードを発射しようとしたとき智弘が将太をぶら下げながら、こちらへやって来て地面に下りる。
「アオ君、止めてーー! 駄目だよ!!
怖がっているじゃない!!」
苦しそうに一呼吸置いた後に続けた。
「力ずくで解決しようとするなんて、さっきのドラゴンたちと同じじゃない!
アオ君らしくないよ! 僕の知っているアオ君はそんな事はしなかったよ!!」
と降りると自由がきかなくなった体で子龍の近くに寄った。
「あ~こんな傷だらけになっちゃって。
これはさっきのドラゴンたちにやられた傷だね」
と食いちぎられた部分に手をかざし目を瞑りヒールを唱えた。
「将太!! 魔力、体力を使うな!」
「大丈夫・・・・・・ごめんね。
もう間に合わないと思う。
アオ君、マジックポーションを頂戴。最後に人助けをしておきたいから」
「何言っているんだ!! 今から、このクソ龍のメン玉引っこ抜いてヤッから。
智弘、やるぞ!!」
智弘もとっくの昔に限界は超えている。
さっきのマジカルなんちゃらを巨大化させ魔力もほとんど残っていないだろう。
残り少ない体力、気力を振り絞ったはずだが、最後の力を振り絞ってマジカルなんちゃを両手で力強く握り構えた。
俺もまぐろ君を取り出し構えた。
「ダメ!! 二人とも止めてよ!
子龍が怯えているじゃない!!」
将太も最後の力を振り絞り、ぶるぶると震える子龍を背中に両手を広げ通せん坊をした。
その姿は聖女に相応しい慈愛に満ちた堂々とした姿だった。
「あんな大きいドラゴンに苛められ、噛み付かれて可哀想だと思わないの!」
「でも、将太を失うわけにはいかないんだよ!!」
「僕もゾンビになりたくは無いけど、誰かを犠牲にしてまでも生き延びようとも思わない。
だから、このまま静かに死なせて・・・・・・・
アオ君・・・・・・・・ゾンビになったら僕を殺してね」
「将太ーーーーーーーー!!」
まぐろ君を足元に落とし将太に飛びつき抱きしめた。
「そんなこと言うなよ!!」
「ね。最後のお願い。マジックポーションを僕に頂戴」
「うお~~~~~~ん!!」
カルデラに木霊する鳴き声が響いた。
龍はとぐろを解き上半身を起こし爆泣きしていた。
「うぉ~~~~~ん! うぉ~~~~~ん!!」
龍の涙は俺たちのところまで飛んでくると
「碧! 集めろ!! 中華君を出せ!!
ミリアにも何か渡せ!
ミリアも涙を集めろ!!」
智弘が号令を発する。
マジックランドセルから中華君を智弘に渡し、ミリアにも小型の鍋を手渡す。
俺はマジックランドセルで大粒の雨のように降り注ぐ涙を集めまくった。
「僕は、僕は、もう誰も信じることができないんだよーーー うわーーん。
親に見捨てられ 勇者にも裏切られ・・・・・・僕を大切にしてくれた兄ちゃんを殺したんだ!
お兄ちゃーーーーーーん! お兄ちゃーーーーーん!
会いたいよーーー! 会いたいよーーーーー!! お兄ちゃーーーーーーん!!
僕を置いていかないでーーー!!」
俺はマジックランドセルで大粒の雨のように降り注ぐ涙を集めまくった。
「うおーん うおん、うおん・・・・・・」
徐々に龍の泣き声が収まってきた。
「ぐすん、ぐすん、ぐすん・・・・・・・・・・・・・はい」
と言って子龍は指を出した。
「お姉ちゃんのために使って」
まぐろ君を拾い上げ、子龍の元に走る。
「子龍、ありがとう。この恩は忘れない!!」
子龍の指を傷つけないように子龍の爪だけを切る。
その爪を細かく刻み、すり鉢で磨り潰す。
龍の涙をすり鉢に注ぎ交ぜる。
「将太、飲め!」
先ほどの頑張りから疲れ、座り込んでいる将太にすり鉢ごと渡す。
黙ってすり鉢に口をつけ飲み干す。
「美味しくないよ~」
とニコリと将太は笑った。
「少し横になるね」
マジックランドセルから布団を取り出し地面に敷き寝かせた。
やる事はすべてやった!
出来ることはすべてやった!
後は回復薬が効く事を祈るだけだった。
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