上 下
215 / 304
第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

侵略者を撃て

しおりを挟む

風が霧を吹き飛ばした後には
全高40mのワレトラマンと全高20mのズガーンダムがそこには立っていた。
が、ワレトラマンもズガーンダムも薄汚れているのだろうか?
灰色がかった黒になっていた。
本来ならワレトラマンはグレーの肌に赤いラインなのだがグレーの部分の肌は黒に近いグレーになっていた。
ズガーンダムも白をベースに青と赤の配色なのだが白の部分が明らかに黒ずんでいた。
幾度かの戦いで泥や汚れが付着したのだろうか?
それとは少し違うように思える。
汚れだったら所々付着していないところもあるはずだが、すべてが同じく黒に近いグレーだった。

ついにこの時が来たか!
何れ合間見える事は分かっていた。
が、いきなり2体か!
これはヤバイ状況だ。

冒険者ギルドから町に残っていた冒険者達がわらわらと出てくる。

「な、何だアレは!!」
「巨人だ!!」
「ゴーレム!」

「イズモニアを襲った魔物だ!!」
「終わりだー! ナミラーも終わりだ!!」


「ヤバイぞ! 碧!!」
智弘の叫び声も聞こえる!


「あーあー、ナミラーの町のゴミクズども! さっさと降伏しろよ。
 降伏さえすれば殺さないでいおいてやるからよ!
 とりあえず一発!
 ワレトラマンさん、一発噛ましてやってください!!」

ズガーンダムの外部スピーカーだろうか、ふざけた星野の声が聞こえた。

ワレトラマンがゆっくりとスッパシウム光線のポーズを取る。
そしてオリタリア軍の駐屯地である砦に向かって放った!

「止めろーーー!!」

ビーーーー!

ドッカーーーーーン!!

砦の一部が吹き飛んだ。

それは一瞬のことだった。
あそこにはアイゼー将軍を初め多くの軍人の人たちがいた。

嘘だろ!
嘘だろ!!
アイゼー将軍!!

嘘だろ!!
鈴木! お前はいきなり見ず知らずの人に対して、そんなにも惨いことが出来るのか!!
嘘だろ!!
鈴木! どうしたんだよ! 
いつからそんな残忍な人間になったんだよ!
どこにでもいる普通の高校生だろ!
ちょっと気の弱い高校生だろ。
そんな残酷なことが!!
あまりのことに俺は思わず嘔吐してしまった。

「アオ君、大丈夫」
隣にいた将太が俺の背中を摩ってくれた。

ワレトラマンの方へ向き直したとき、そこにはワレトラマンはいなくなっていた。
ワレトラマンのいた場所には素っ裸の鈴木が立っていた。
3分の時間切れになったのだろう鈴木は変身が解けたようだ。
遠くに見える鈴木に向かって叫んだ。

「鈴木!! お前!何やってるんだ!」

「白田か! まだ生きていたんだな」

「お前、いつからそんな残虐な人間になったんだよ!」

「お前!馬鹿か! ここは日本と違うんだよ! 弱肉強食なんだよ!」

「弱肉強食じゃねーよ! お前のやったのは一方的な虐殺だよ!」

「ハハハハハ! 弱いから虐殺されるんだよ!」

100mほど向こうにいる鈴木の目は遠くからでも分かるくらい目だけが鈍く赤く光っていた。
もう人間ではないのだろうか?
鈴木に向けマシンガンを構えた。

「おいおい、白田!お前こそ丸腰の俺を撃つのか? ホラホラ!」

と腰に手を当て腰を前後に振り股間の物をプラプラさせた。
今なら鈴木を簡単に殺せる。
ワレトラマンにさえならなければ鈴木を廃除する事は難しくは無い。

「ホラホラ!」

鈴木は先ほどより大袈裟に腰を振り俺を挑発する。
マシンガンを力強く握り、トリガーに掛ける指にも力が入る。

「ホラホラ! 撃って来いよ!!」

俺はマシンガンを構えるのを止めた。

「ヘタレが! そんなことだからお前は追い出されるんだよ!」

鈴木はなおも言葉で挑発をしてくる。

「鈴木! こんな事は終わりにしよう!
 お前は日本に帰りたくないのか?
 普通の高校生活を送りたくは無いのか?」

「嫌だね! あんな退屈な毎日はゴメンだよ!
 ハルフェルナの方が楽しいだろ!
 ワレトラマンになれる毎日の方がどれだけ楽しいか!」

「お前は楽しくて人を殺すのか?」

「あぁ! 楽しいね。スッパシウム光線で人がぶっ飛んでいくところは快感だぜ!
 お前もやってみろよ!
 アッ! キッチンセットじゃ、そんな事出来ないか! ハハハハハハ
 白田、お前は馬鹿だよ! そんなゴミの祝福を貰うなんて」

「キッチンセットの話しをしているんじゃない!
 お前は一体何人、人を殺したんだよ!
 そんな事をして何が楽しいんだ!」

「楽しいよ、楽しくて仕方が無い」

「フェルナンドに操られているんだろ!
 正気になれ!」

「ハン! そんな事は関係無い!
 俺はこの力を思う存分に発揮したいだけだ!」

「鈴木君、止めなよ! 
 そんなことする人じゃなかったでしょ!」

将太が俺のボロボロの学生服の裾を掴みながら言った。

「誰だよお前! なぜ、俺の名前を知っている!」

「僕だよ! 緑山将太だよ!」

「え?お前があの軟弱か! 
 聖女になったんだな。
 俺好みの美少女じゃんか!
 俺の女にしてやるよ!
 使えねー白田じゃなく俺について来いよ!

「酔っているんだね、鈴木君!
 君はそんなこと言う人じゃなかったのに。
 それだけの力を持ちながら人のために役立てようとは思わなかったの?」

「思わないね! 俺は俺のためにこの力を使う!」

「鈴木! お前!馬鹿か!! フェルナンドに利用されているだけってのが分からないのか?
 アイツは魔王になったんだろ!
 魔王なんかに与してどうするんだよ!
 正義のワレトラマンが泣いているぞ!」

と俺が叫んだとき

「ファイヤーボール!!」

の声が鈴木のいる方角から聞こえた。
咄嗟に将太より前にでて焼肉プレートを構え魔法が直撃したがプレートの当たった瞬間ファイヤーボールは霧散した。

「僕! 用事が済んだから撤退よ!」

空から明らかに魔道師と分かる杖にマント、帽子を被った20代中ごろと思われる女が降りてきた。

「イシスか! 『僕』扱いするなよ!」

「二十歳にもなってないガキが偉そうなこと言わないの!
 ほら、帰るわよ!
 そっちの僕とお譲ちゃんもバイバーーイ!」

「白田! お前は死んでもいいが緑山は死ぬんじゃないぞ!
 俺のハーレム要員だからな! ハハハハ」

「ほら、バカ言ってないで行くわよ」

と言うと女魔法使いは鈴木を抱え空を飛んでいった。


撃てなかった。撃つことは出来なかった。
鈴木を倒す千載一遇のチャンスだった!
巨大化したワレトラマンを倒すことは難しいが変身が解けたときなら倒すことも可能だっただろう。
智弘の対ワレトラマン・プランも変身が解けたときに攻略する事になっていた。
が、トリガーを引く事は出来なかった。
トリガーを引ければ鈴木を倒す・・・・いや、殺すことが出来ただろう。
イフリートになりかかっていた西原のときみたいに。

「碧!!」
「碧殿!!」

智弘たちがやってきた。

「ヤッパリ、撃てなかったか」

両手を下げ下を向いている俺の隣に智弘はやってきた。
俺は何も言えず頷くことしか出来なかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天然くんはエリート彼氏にメロメロに溺愛されています

氷魚(ひお)
BL
<現代BL小説/全年齢BL> 恋愛・結婚に性別は関係ない世界で エリート彼氏×天然くんが紡いでいく 💖ピュアラブ💖ハッピーストーリー! Kindle配信中の『エリート彼氏と天然くん』の大学生時のエピソードになります! こちらの作品のみでもお楽しみ頂けます(^^) ♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡ 進学で田舎から上京してきた五十鈴は、羊のキャラクター「プティクロシェット」が大のお気に入り。 バイト先で知り合った将が、同じキャンパスの先輩で、プティクロシェットが好きと分かり、すぐ仲良くなる。 夏前に将に告白され、付き合うことになった。 今日は将と、初めてアイスを食べに行くことになり…!? ♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡・・*・・♡ ラブラブで甘々な二人のお話です💕

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

【完結】そんなに怖いなら近付かないで下さいませ! と口にした後、隣国の王子様に執着されまして

Rohdea
恋愛
────この自慢の髪が凶器のようで怖いですって!? それなら、近付かないで下さいませ!! 幼い頃から自分は王太子妃になるとばかり信じて生きてきた 凶器のような縦ロールが特徴の侯爵令嬢のミュゼット。 (別名ドリル令嬢) しかし、婚約者に選ばれたのは昔からライバル視していた別の令嬢! 悔しさにその令嬢に絡んでみるも空振りばかり…… 何故か自分と同じ様に王太子妃の座を狙うピンク頭の男爵令嬢といがみ合う毎日を経て分かった事は、 王太子殿下は婚約者を溺愛していて、自分の入る余地はどこにも無いという事だけだった。 そして、ピンク頭が何やら処分を受けて目の前から去った後、 自分に残ったのは、凶器と称されるこの縦ロール頭だけ。 そんな傷心のドリル令嬢、ミュゼットの前に現れたのはなんと…… 留学生の隣国の王子様!? でも、何故か構ってくるこの王子、どうも自国に“ゆるふわ頭”の婚約者がいる様子……? 今度はドリル令嬢 VS ゆるふわ令嬢の戦いが勃発──!? ※そんなに~シリーズ(勝手に命名)の3作目になります。 リクエストがありました、 『そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして』 に出てきて縦ロールを振り回していたドリル令嬢、ミュゼットの話です。 2022.3.3 タグ追加

私が悪役令嬢? 喜んで!!

星野日菜
恋愛
つり目縦ロールのお嬢様、伊集院彩香に転生させられた私。 神様曰く、『悪女を高校三年間続ければ『私』が死んだことを無かったことにできる』らしい。 だったら悪女を演じてやろうではありませんか! 世界一の悪女はこの私よ! ……私ですわ!

条件付きチート『吸収』でのんびり冒険者ライフ!

ヒビキ タクト
ファンタジー
旧題:異世界転生 ~条件付きスキル・スキル吸収を駆使し、冒険者から成り上がれ~ 平凡な人生にガンと宣告された男が異世界に転生する。異世界神により特典(条件付きスキルと便利なスキル)をもらい異世界アダムスに転生し、子爵家の三男が冒険者となり成り上がるお話。   スキルや魔法を駆使し、奴隷や従魔と一緒に楽しく過ごしていく。そこには困難も…。   従魔ハクのモフモフは見所。週に4~5話は更新していきたいと思いますので、是非楽しく読んでいただければ幸いです♪   異世界小説を沢山読んできた中で自分だったらこうしたいと言う作品にしております。

婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。 そこはど田舎だった。 住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。 レコンティーニ王国は猫に優しい国です。 小説家になろう様にも掲載してます。

聖女である御姉様は男性に抱かれたら普通の女になりますよね? だから、その婚約者をわたしに下さいな。

星ふくろう
恋愛
 公爵家令嬢クローディアは聖女である。  神様が誰かはどうだっていい。  聖女は処女が原則だ。  なら、婚約者要りませんよね?  正妻の娘である妹がそう言いだした時、婚約者であるこの国の王子マクシミリアンもそれに賛同する。  狂った家族に婚約者なんか要らないわ‥‥‥  クローディアは、自分の神である氷の精霊王にある願いをするのだった。  他の投稿サイトにも掲載しています。

縦ロール悪女は黒髪ボブ令嬢になって愛される

瀬名 翠
恋愛
そこにいるだけで『悪女』と怖がられる公爵令嬢・エルフリーデ。 とある夜会で、婚約者たちが自分の容姿をバカにしているのを聞く。悲しみのあまり逃げたバルコニーで、「君は肩上くらいの髪の長さが似合うと思っていたんだ」と言ってくる不思議な青年と出会った。しかし、風が吹いた拍子にバルコニーから落ちてしまう。 死を覚悟したが、次に目が覚めるとその夜会の朝に戻っていた。彼女は思いきって髪を切ると、とんでもない美女になってしまう。 そんなエルフリーデが、いろんな人から愛されるようになるお話。

処理中です...