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第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!
サキュバスの館
しおりを挟むウェイトレスがデザートのアイスクリームと追加のペカーラを持ってくると、おメアの前に伝票をそっと置き、一緒に小さく折りたたんだ手紙を置き黙って頷いた。
それを見たおメアも無言で頷いた。
おメアはその美貌から男はもちろん、年下の女性からも『お姉さま』と慕われる。
男は直接、声を掛けるが、女性からは今のように小さい手紙をよく渡される。
が、今回はそれとは異なる雰囲気だった。
おメアは黙って小さく折られていた手紙を拡げ目を通した。
ひとしきり目を通すと
「ご隠居様、例の情報が上がってきたようです。
サキュバスの館へ行って詳しい話を聞いてこようと思いますが・・・・」
「行く、行く!」
「おーー、早く行こうぜ!」
おメアが最後まで話し終わらないうちにスケさん、カクさんが反応した。
スケさん、カクさんはアイスクリームをペカーラで流し込み立ち上がった。
先ほどカクさんはみみっちくペカーラを啜っていたのは、一体なんだったのだろうか?
「いやね~~ 二人とも鼻の下伸ばしちゃって!!」
「いや、ワシも行くぞ! ワシも!!」
「ご隠居様、行くのは宜しいのですが仕事なんですからね! 分かってます!」
おメアは内心、(分かっているのか? エロ爺!)と思わないでもないが自分より目上の方なので口には出せなかった。
「わ、わ、分かってるとも! おメア! さぁ~行くぞ!!」
とご隠居様は老人とは思えないスピードで立ち上がった。
おメアの言うサキュバスの館は住宅区、生産区の境目辺りに位置する、通称『商業区』の外れにある。
そう、あれなのだ。あれ扱いされる一角に店を構えている。
4人は『も~みアン』とデカデカとピンクの文字で書かれている看板の前に来ると店の裏側に回った。
ハルフェルナの世界では3大チェーン店と呼ばれる店がある。
『も~みアン』『もみドナルド』『揉んでいいとも!!』と言われている。
この3チェーンは常に特上のサービスを提供しフェアのときなど店の外に行列が出来るほどの大人気であった。
人間の誰にも知られていない秘密が有った。
この3チェーン店の多くの店員がサキュバスなのだ。
サキュバスだからこそなせる特上のサービスを提供していた。
そう、この3チェーンすべてのオーナーはおメアなのだ。
このチェーンを利用し人間界、いや、魔族界の情報をも一手に引き受けていた。
それ故、おメアの懐には莫大な金が入ってくるのであったが、そのすべてを自分の配下である者たちへ還元しているのであった。
早くに母親を亡くした子供たちのために施設などを作っていた。
年の近いものはおメアを『お姉様』と慕い、年の離れたものは『母』のように慕っていた。
当人は『母』と呼ばれるのに凄く抵抗があるようだった。
それ故、付けられた名前が『メアリー・クィーン』
サキュバスの中で彼女の信頼を裏切るものは皆無であった。
メアリーのためなら誰もが死を厭わなかった。
おメアは『色欲の魔王』と呼ばれ例外的に強いのだが、実のところ、魔族、悪魔族の中にあってサキュバスはとても弱い種族であった。
Cランクで互角、Bランクで討伐可能、Aランクの冒険者は簡単に討伐出来るレベルであった。
討伐と言っても殺すのではなく生け捕りにして奴隷にするのが普通なのだ。
そう、アレのために。
肉体的、筋力的に戦闘に適していないのだ。
が、持久力は高くお客さんの相手を連続しても疲れを知らないタフさを持っている。
4人は『も~みアン』の裏口から入ると一人の美しい女性が出迎えた。
おメアよりは少し背が低く胸も少し小ぶりになのだが美しさは負けてはいなかった。
「メアリー様、お待ちしていました。皆様もこちらへどうぞ」
と女性は案内をした。
「グロリア、お出迎え、ありがとう」
おメアが言うとグロリアと呼ばれた女性は美しいお辞儀をし、
「よ!グロリア」」
「グロリア、元気だったか?」
とスケさん、カクさんが言うと無視をし、
「グロリア、久しいな」
ご隠居さんが言うと、また美しいお辞儀をした。
店内に入ると数人の女性が個室へ向かっていった。
「繁盛しているようね~ 無理させていない?
ちゃんと休んでいる?
お給金はケチらないでね。
グロリアもちゃんと休むのよ!」
「はい、メアリー様」
というとグロリアは再度、美しいお辞儀をおメアとご隠居だけにした。
人間界で一番文化が進んでいるオリタリ共和国。
その首都たるリーパスは人口も多い・・・・・ということはお客さんも多いのだ。
おメアのチェーン店で最も売り上げが高いのは、リーパスの『も~みアン』であった。
奥の部屋に案内され一同が着席をするが・・・・・
スケさん、カクさんはソワソワと落ち着き無く入り口の方ばかり向いている。
そこへ一人の肌の白い清楚な少女がペカーラを人数分、トレイに乗せ運んできた。
「この子は今日からお店に出る事になった、ソアラです」
とグロリアはみんなに紹介すると愛くるしいお辞儀をし
「初めまして。ソアラです」
と小柄でショートカットの色々と少し幼い感じの少女が出てきた。色々と。
「「「おおおおおおお!」」」
という声と共に、ご隠居、スケさん、カクさんの鼻息が荒くなる。
スケさん、カクさんは立ち上がり腕を回したり屈伸を始めた。
それは
『お~~ら、用意はできてるぜ!! バッチコーーイ!!』
と。
「あ~~~うるさいわね。スケさん、カクさんはスッキリさせてもらってきなさいよ!
どうせ、あんた達二人いても役に立たないから!!」
「おお!そうだな!」
「そうそう、ご隠居とおメアさえいればいいだろ!!」
と二人は言うと
「「ソアラちゃんをご指名で!」」
とスケさん、カクさんは声が被った。
「あぁ~カク! ソアラちゃんは俺が指名したんだよ!!」
「あぁ!! スケ! 俺が先に決まってんだろ!!」
とゴツンと二人は額と額をぶつけ合い睨みあった。
「なに、言ってるのよ! あんた達のようなガサツな男に最初の相手なんてまかせられるわけ無いでしょ!」
「メアリー様、今ならシルビアとセリカが空いていますよ」
「あ~~もったいない! こんなロクでなし二人に超売れっ子のシルビアとセリカなんて!
どうせ金払わないんでしょ!!
なんなら私が二人まとめて相手を・・・」
「お止めください。メアリー様!!」
グロリアが言葉を遮り続けた。
「穢れてしまいます!
ソアラ! シルビアとセリカを呼んできてください」
「はい、グロリア様」
ソアラは愛くるしいお辞儀をすると部屋を出て行った。
「おい!グロリア! お前、酷いこというな!」
「グロリア!言っていい事と悪いことがあるぞ!!」
「お黙りなさい!スケルシャール!カクタス!
あなたたちのようなガサツで下品な魔族がメアリー様と一緒に旅をしていること自体、不愉快極まりないですわ。
宰相さまにお願いをして人事を代えて頂こうかしら!」
グロリアはおメアの右腕といわれサキュバス族のほとんどがグロリアの命令の下、動いていた。
おメアは最も実力が高く信頼のおけるグロリアを人間界の最重要拠点となるリーパスに派遣していた。
スケさん、カクさんも幾度も顔を合わせているが、顔を合わせる度にこのような言い争いをしていた。
とにかくグロリアはスケさん、カクさんのような輩がメアリーと一緒に旅をしているのが許せなかった。
それは自分が一緒に旅をしたいということもあるが、とにかくこのようなバカ二人がメアリーのそばに居ることが許せなかった。
ご隠居様が悪魔族の人格高かき支配者である事は知っているのだが・・・・・
サキュバスがこのようなチェーン店を出す事になり、行く先々で率先して店に顔を出しているご隠居さまをみていると・・・・
(このハゲじじー、けっこう、ドスケベなんじゃないか?)
と最近は不審の目で見ている。
そこへセミロングと片目を隠したボブ、二人の女性が入ってきた。
勿論、二人ともバインバインでプリンプリンなのは言うまでもない!
「「グロリア様、お呼びでしょうか」」
と二人は綺麗なお辞儀をすると
「メアリー様!」
「お久しぶりです、メアリー様」
と二人はメアリーに飛びついた。
メアリーは二人をいっぺん抱き抱えると
「二人とも元気だった?
無理していない。
しっかりお休みは取るのよ。
うちはブラック企業じゃないからね」
「「はい!!」」
と二人は元気良く返事をした。
「悪いけどグロリアと話があるから、その間、このドスケベ二人の相手をしてあげて」
とスケさん、カクさんに目をやる。
「え! こいつらですか?」
セミロングのシルビアが
「メアリー様、もうすこしマシなヤツをお供にされたほうが良いのでは無いでしょうか?」
ボブカットのセリカが言った。
「シルビア! お前、こいつらとはなんだよ!こいつらとは!」
スケさんが噛み付いた。
「セリカ! 俺ほどいい男はいないぜ!!」
とカクさんが言い返した。
「「ふっ!」」
と二人は鼻で笑った。
「なぁ~おメア、ワシもあっちへ行きたいのじゃが・・・・・ダメかの~」
「当たり前です! 報告を受けるために寄ったのですからご隠居様がいなくてどうするのですか?」
おメアに厳しく言われるとご隠居様は肩を落とした。
それを見かねたおメアが耳元で囁いた。
「報告を受け終わったらグロリアにしてもらいますか?」
ご隠居様は瞳をランランと輝かせ子供のように
「うん」
と頷くのであった。
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