上 下
144 / 304
第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

謁見

しおりを挟む

ウオレルの城に着きカイト王への謁見を許された一行は謁見の間に通されるのであった。
謁見の間の奥には1mほど高い位置に玉座が2席用意されていた。
向かって片側に白髪の目立つ50代くらいの男が座っている。もう片方は空席だった。
会見に先立ちフェネクシーは老人の姿に変身している。
この姿が気に行ったのか本来のナマケモノの姿ではなく老人の姿で通している。

玉座より一段低いところの右に鎧を来た長い金髪の美しい女性が。
左にはやせ細った不健康そうな男が立っていた。
男の目は細く鋭くそして、冷たかった。
蛇のようなと言う形容詞がピタリと合いそうな男だった。
もう一段低いところにの両脇にはウオレルの騎士たちが左右で30人ほど並んでいる。
アルファを先頭に次の列に茜、フェネクシー、加奈、その次の列の詩織、織田、千代、最後にお付きの騎士の一人が続いた。

「アルファ王子よ、遠路ご苦労であった。ファイレル王の親書を」

と言うと王の左に立っていた女騎士がアルファに近寄りアルファは親書を手渡した。
女騎士は受け取るときに

「アルファ王子が私ではなくアリア姫を選んだ事に私は痛く心を傷つけられました」

えっ!!アルファは驚いた顔をする。

「ふふふ、嘘ですけど」
と言うとアルファの親書を受け取った。
女騎士・アクア姫は親書をカイト王に渡す。
カイト王は一通り目を通すと

「ニッケルメッヒ」
と言って右隣にいた男に手渡した。
ニッケルメッヒは無言で読み、読み終わると王に手紙を返した。

「残念ながらグレーコ王の願いを聞き入れる事は不可能じゃ。
 ウオレル国の建国以来、魔族の殲滅は我が国の悲願。
 我々人類が魔族、亜人どもにどれだけ苦しめられたことか分からぬそなたでもあるまい。
 共存共栄など不可能じゃ。
 『白銀のグレーコ』と呼ばれたグレーコ王とは思えん弱腰じゃの」

「カイト王、魔族や亜人の中にも人類との共存を望む者もいるのです。
 いつまでも憎しみに駆られていては人類も魔族も滅びてしまいます。
 憎しみが憎しみを呼び報復の連鎖が続くだけです。
 人類に仇なす魔王、魔物だけを討伐すれば良いのではないでしょうか。
 お考え直しください」

「もう遅い。
 我が国も異世界から勇者を召喚した。
 そなたの国の勇者のような軟弱では無い、本物の勇者を5人。
 この意味が分かるだろ。
 今後ももっと呼び寄せる予定じゃよ。
 国を掛けた最後の戦いなのじゃ」

「今後もですか!」

「そうじゃ。最後の聖戦だ!」

「お考え直しください」

「ならん! そなたも早く、国へ帰るのじゃ!
 これにて謁見は終了」

と言うとカイト王は立ち上がり部屋を出て行ってしまった。

「アルファ王子、お帰りください。
 もう戦端は開かれております。
 強欲の魔王・ブラドーも最早、虫の息。
 近いうちにライキンの首と共に亡骸が届けられることでしょう」
とニッケルメッヒが言うと

「ブラドーもか!」
フェネクシーが立ち上がりニッケルメッヒの行った事に反応する。

「老人、そなたは何者ですかな?」

「ワシは怠・・・・・」
とフェネクシーが言おうとした瞬間、加奈がフェネクシーの手を掴む。

「う、うん」
と咳払いをした後

「ワシはただの老人じゃよ」

「ほーー、そうですか」
とニッケルメッヒは細い目を一段と細め言った。

「ではみなさん、お引き取りください」
とアクアは言うと部屋を出て行こうとした。

「アクア姫。お考え直しを。
 カイト王に御注進ください」

「話は終わりました。お帰りください」
と冷たくアクアは言い放つ。



^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^



「私もこれまでか・・・・・もっとコレクションをしたかった」
銀髪の男はつぶやいた。
地べたに寝かされ手と足に杭を打たれ十字に体を固定され心臓には鈍く光る銀色の杭を刺されおびただしい血が溢れ体の上に山のように盛られているニンニクを赤く染めている。
小高い丘の上にもう3日も放置され日の光が燦々と降り注いでいる。

「ブラドー ブラドー」
と声が聞こえる。
空から声が聞こえてくる。
死が近づく空耳だろうか?

「強欲の魔王ジルド・ブラドー」

ブラドーは気力を絞って目を開けた。
そこには美しい女性が空かゆっくり降りてきた。

「今、助けてあげます」
というと周りのニンニクを取り除くとブラドーの足の辺りにナイフが落ちていた。
手と足を止めている杭は外すことができた。
銀色の杭を外そうとするが・・・・・・
外れない。
幾ら力をこめても外れることは無かった。

「私では外せないのね・・・・・・どうしましょう。
 とりあえずヒールを」
と言うとヒールを掛けるのであった。
出血を止める事は出来たが顔色はすぐれない。

「今、助けを呼んできます。待っていてください」
と言うと足元に落ちていたナイフを拾い消えた。

ブラドーは「ありがとう」
と声にならない礼を言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

処理中です...