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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
謁見
しおりを挟むウオレルの城に着きカイト王への謁見を許された一行は謁見の間に通されるのであった。
謁見の間の奥には1mほど高い位置に玉座が2席用意されていた。
向かって片側に白髪の目立つ50代くらいの男が座っている。もう片方は空席だった。
会見に先立ちフェネクシーは老人の姿に変身している。
この姿が気に行ったのか本来のナマケモノの姿ではなく老人の姿で通している。
玉座より一段低いところの右に鎧を来た長い金髪の美しい女性が。
左にはやせ細った不健康そうな男が立っていた。
男の目は細く鋭くそして、冷たかった。
蛇のようなと言う形容詞がピタリと合いそうな男だった。
もう一段低いところにの両脇にはウオレルの騎士たちが左右で30人ほど並んでいる。
アルファを先頭に次の列に茜、フェネクシー、加奈、その次の列の詩織、織田、千代、最後にお付きの騎士の一人が続いた。
「アルファ王子よ、遠路ご苦労であった。ファイレル王の親書を」
と言うと王の左に立っていた女騎士がアルファに近寄りアルファは親書を手渡した。
女騎士は受け取るときに
「アルファ王子が私ではなくアリア姫を選んだ事に私は痛く心を傷つけられました」
えっ!!アルファは驚いた顔をする。
「ふふふ、嘘ですけど」
と言うとアルファの親書を受け取った。
女騎士・アクア姫は親書をカイト王に渡す。
カイト王は一通り目を通すと
「ニッケルメッヒ」
と言って右隣にいた男に手渡した。
ニッケルメッヒは無言で読み、読み終わると王に手紙を返した。
「残念ながらグレーコ王の願いを聞き入れる事は不可能じゃ。
ウオレル国の建国以来、魔族の殲滅は我が国の悲願。
我々人類が魔族、亜人どもにどれだけ苦しめられたことか分からぬそなたでもあるまい。
共存共栄など不可能じゃ。
『白銀のグレーコ』と呼ばれたグレーコ王とは思えん弱腰じゃの」
「カイト王、魔族や亜人の中にも人類との共存を望む者もいるのです。
いつまでも憎しみに駆られていては人類も魔族も滅びてしまいます。
憎しみが憎しみを呼び報復の連鎖が続くだけです。
人類に仇なす魔王、魔物だけを討伐すれば良いのではないでしょうか。
お考え直しください」
「もう遅い。
我が国も異世界から勇者を召喚した。
そなたの国の勇者のような軟弱では無い、本物の勇者を5人。
この意味が分かるだろ。
今後ももっと呼び寄せる予定じゃよ。
国を掛けた最後の戦いなのじゃ」
「今後もですか!」
「そうじゃ。最後の聖戦だ!」
「お考え直しください」
「ならん! そなたも早く、国へ帰るのじゃ!
これにて謁見は終了」
と言うとカイト王は立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
「アルファ王子、お帰りください。
もう戦端は開かれております。
強欲の魔王・ブラドーも最早、虫の息。
近いうちにライキンの首と共に亡骸が届けられることでしょう」
とニッケルメッヒが言うと
「ブラドーもか!」
フェネクシーが立ち上がりニッケルメッヒの行った事に反応する。
「老人、そなたは何者ですかな?」
「ワシは怠・・・・・」
とフェネクシーが言おうとした瞬間、加奈がフェネクシーの手を掴む。
「う、うん」
と咳払いをした後
「ワシはただの老人じゃよ」
「ほーー、そうですか」
とニッケルメッヒは細い目を一段と細め言った。
「ではみなさん、お引き取りください」
とアクアは言うと部屋を出て行こうとした。
「アクア姫。お考え直しを。
カイト王に御注進ください」
「話は終わりました。お帰りください」
と冷たくアクアは言い放つ。
^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^
「私もこれまでか・・・・・もっとコレクションをしたかった」
銀髪の男はつぶやいた。
地べたに寝かされ手と足に杭を打たれ十字に体を固定され心臓には鈍く光る銀色の杭を刺されおびただしい血が溢れ体の上に山のように盛られているニンニクを赤く染めている。
小高い丘の上にもう3日も放置され日の光が燦々と降り注いでいる。
「ブラドー ブラドー」
と声が聞こえる。
空から声が聞こえてくる。
死が近づく空耳だろうか?
「強欲の魔王ジルド・ブラドー」
ブラドーは気力を絞って目を開けた。
そこには美しい女性が空かゆっくり降りてきた。
「今、助けてあげます」
というと周りのニンニクを取り除くとブラドーの足の辺りにナイフが落ちていた。
手と足を止めている杭は外すことができた。
銀色の杭を外そうとするが・・・・・・
外れない。
幾ら力をこめても外れることは無かった。
「私では外せないのね・・・・・・どうしましょう。
とりあえずヒールを」
と言うとヒールを掛けるのであった。
出血を止める事は出来たが顔色はすぐれない。
「今、助けを呼んできます。待っていてください」
と言うと足元に落ちていたナイフを拾い消えた。
ブラドーは「ありがとう」
と声にならない礼を言った。
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