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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

ムシムシ・パニックぱーと2

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城内部に突入すると王子が見上げるほどの棍棒を持った2足歩行のカブトムシとクワガタムシがいた。
カブトムシたちはいきなり襲い掛かってきた。
カブトムシは茜に襲い掛かり、クワガタムシはアルファに襲い掛かった。
茜はタナの剣を抜き棍棒とつばぜり合いをした・・・・・・
カブトムシの口がウニョウニョと動く。

「ウギャ~~~、きもい!キモイ!! 無理~~~!」

と鍔迫り合いでカブトムシを突き飛ばし加奈の後に隠れた。

「茜、お前、私を楯にするのか!」

「だって、だって、口がウニョウニョ動くんだよ。きもすぎ~~~~」

「フレイムアローーー!」

加奈はカブトムシの腹めがけ魔法を放った。
腹に刺さり動きが止まった。
その瞬間、千代が棍棒を持っている手を切り落とした。
カブトムシは平然と3番目の腕で棍棒を持ち直し振り回してきた。

そこへまた加奈はフレイムアローの呪文を唱え腹に刺した。
カブトムシが後ずさりした瞬間、千代はまた腕を切り落とし喉の辺りを突き刺し貫通させ息の根を止めた。

アルファの方はクワガタムシの棍棒を一度受け離れた瞬間に斬り捨てた。
それは一瞬の出来事だった。
クワガタムシは肩辺りから斜めに切断された。
アルファの腕の方がクワガタムシより遥かに勝っていたようだ。
伊達にSランク並みと豪語しているわけではなかった。

多分、この2匹は門番を任されているくらいだから弱いモンスターではないはずだ。
それを一瞬で斬り捨てる技量は流石と言わざるをえない。



カブトムシとクワガタムシを倒したと思ったら

「ミーーーーン!! ミンミンミーーーーン!!!!!」

いきなり城のすべてを揺るがさんばかりのセミの鳴き声が聞こえた。
巨大なセミが力一杯鳴いている!!
あまりの大音量に全員耳を塞ぐのだが体に、いや内臓にも振動が伝わってくる。
内蔵は揺すられるように、シェイクされるように。
たまらず織田は嘔吐をした。
そして、加奈も千代もアルファまでも跪き嘔吐し始めた。

「ミーーーン!ミンミンミーン!」

茜の体はロゼのローブで守られており内蔵が揺すられる事はなかったが耳だけは大音量に耐えられず塞いだまま音源の元を捜した。
辺りを見渡すと吹き抜けになった城内部の壁に大きなセミが止まっていた。
茜は耳を塞ぎながらSky highの呪文で飛び上がりセミめがけて鋭い蹴りを見舞った。

「ムギムギギギギギギー」
とセミのモンスターは飛び去った。
その瞬間、シャーーーっと。

「ウギャ~~~~~~~~~~~~~~!!! 気持ち悪い~~~死ぬ~~~死ぬ~~~」

おしっこをかけられた。
必死に顔をぬぐうのであった。
毒や呪など何も無いのだが茜の精神的ダメージはレッドゾーンに突入した。

飛んでいる間はセミも鳴き続ける事は出来ない。
止まると鳴きだすのだが、黙って鳴かせるほど茜はお人好しではない。
止まった瞬間、ファイヤーボールを立て続けに打ち込み止れないようにする。
かれこれ10回ほど繰り返すとセミは力尽きたように地上へ降りてきて鳴こうとした瞬間、アルファが真っ二つに斬り捨てた。

まだ『悲劇』という名の『喜劇』は終わらない。
セミの爆音で耳が治らないうちに大イモムシの大群がいたるところから集まり囲まれてしまった。

「キモーーーーー!もうやだ、帰ろう~~~」
と茜は弱音を吐く。

ピューーー
ピューー
と大イモムシたちは一斉に糸を吐き出した。
糸で動きを止めて絡め取ろうという作戦だ。

「キャーーー 糸、糸、糸!! 粘々する~~」
茜の絶叫が場内に響き渡る。

「フフフフフフ、ウガーーーーーーー! サンダーボルト!サンダーボルト!サンダーボルト!」

また、キレた加奈は大イモムシに片っ端からサンダーボルトを撃った。

「いけません、大イモムシにサンダーボルトを使うと・・・・・」

ゴロゴロ
バシ!
パッシュン
パッシュン
パッシュン

当たると大イモムシは破裂し全員が大イモムシの体液を被った。

「キャーーーーくさ~~~い 何なのコレ! 気持ち悪い」
「おえ~~~」
「うっぷっ」

また、盛大な嘔吐大会が始まった。
織田などはもう胃液しか出てこない状態だった。
アルファお付の騎士たちも跪き盛大に嘔吐している。
茜も大イモムシの体液を被り、そこに座りこんでしまった。

「もうダメ、もうダメ・・・・・・」
もう、精神のパラメーターはレッドゾーンを振り切っていた。

「ハハハハハハハハ、見たか虫ども!!」
と大イモムシの緑色の体液を被りながらも腰に手を当て無い胸を張った加奈が仁王立ちしていた。
その目は完全に常軌を失っていた。

「加奈ちゃんが壊れた」
「こ、こ、怖いんですけど」
「あ、あ、茜、何とかしろ」

「え?私?」

詩織、織田、千代が一斉に茜を見る。

「何とかといわれても・・・・・・」

そこへ加奈が近寄り

「茜、ボヤボヤしていないで行くわよ!! ほら!」

と座っている茜の手を引っ張り上げ城の奥へと走っていく。

「魔王!!魔王はどこだーーー!!」

「加奈、ちょっと冷静に!!」

「私はいつも冷静よ!」

という時の加奈が冷静では無い事を茜はよく知っているのであった。

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