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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
虐殺のリッチ
しおりを挟む思いのほかイフリートを早く討伐できた茜たち一行はカルピナ山から東へ50kmほど行ったところにある古びた屋敷に住む『虐殺のリッチ』と呼ばれる魔王討伐に向かった。
ハルフェルナには多くのリッチの魔王がいるらしい。
しかも、リッチの魔王の多くは元人間だそうだ。
人間が禁忌の呪文を使い不死を得るとリッチになるそうだ。
その禁忌の呪文を使える・解読できるという事は、高位の魔道師にしか出来ない。
すなわち強力な魔道師と戦うという事に他ならない。
かつてこのリッチは5つの村、町を破壊した。
理由は分からない。
ただ単純に破壊・虐殺をしたかったのか、町へ要求をし拒否されたからなのかさえ分からない。
それは村、町の住民が誰一人生き残っていないからだ。
ある村は跡形も残らないほど破壊されていた。
あったのは巨大なクレーターだけであった。
ある村は住民すべてが石化していた。
ある町は土で埋め尽くされていた。
ある町は湖になっていた。
ある町は町人すべてがゾンビになっていた。
アルファが虐殺のリッチ討伐遠征に出向いたとき痛い目に合わされていた。
元来、剣士と魔法使いの戦いは剣士が不利になることが多い。
ロングレンジからの攻撃を受け易く剣士は近接攻撃でしかダメージを与えることが出来ない。
しかも聖属性の攻撃しかダメージを受けない。
遠征のときに魔道師と神官を編成し対処したのだが、いきなり放たれた極大魔法により魔道師、神官を無力化されてしまい討伐部隊の半分を失ってしまった。
魔道師、神官はほぼ全員を失うい、残った騎士、戦士もほとんどが傷を負う状態であった。
アルファも2ヶ月ほどの療養を必要とした。
「王子様も結構、無茶な戦いをしたのですね」
「茜様ほどの無茶していませんよ」
「大丈夫ですよ、王子。茜は昔から頑丈ですから」
「加奈、酷~~~い」
「本来なら聖女の詩織、賢者の理紗、僧侶の桃花が主軸になるはずだけど遠距離からの攻撃魔法は厄介ね。詩織、大丈夫?」
加奈が詩織に問いかける。
「茜ちゃんだけに戦わせるわけにはいかないもんね。私も頑張るわ」
「え、回復が出来る人間は後列にするべきじゃない?
HPもそんなに高くないのだから前に行くべきじゃないわよ。
私が前に出て一人で片付けるから」
「また、無茶な事をして加奈ちゃんに怒られるんじゃない」
「腕力で何とかする茜なら問題なさそうね。また、力技で解決するんでしょ」
「加奈、ひど~~い」
^-^-^-^-^-^-^-^-^
一行は虐殺のリッチの住む館が見えるところに着いた。
「何この洋館。お化けが出てきそうね。幽霊屋敷じゃないの?」
「まぁ、リッチも幽霊みたいなものよね」
「茜様、加奈殿、リッチを侮ってはいけません。
アンデッド系だけではなくモンスターの中でも最上位の力を持っています。
お気をつけください」
「何か有効な対策は無いの?」
「・・・・・あの。
・・・・・その・・・・・・・」
「王子様、何か踏ん切りが悪いわね。はっきり言いなさいよ」
と茜が王子に詰め寄る。
「う、う~~ん」
と咳払いの後、
「聖女様のお小水が有効です!」
「え!」
「え!?」
「え~~~~~ 私?」
茜、加奈、詩織が驚いた。
「昔から聖女様のお小水には魔の力を滅する力があると言われています。
モンスター避けやアンデッド避けに最も効果があると言われています」
「お~~~し、詩織! トイレ行くよ~~~!」
と詩織の手を引っ張る茜であった。
「嫌よ、いや!! そんな恥ずかしいこと出来ません」
「この世界の人が困ってるんだぞ!!」
「茜ちゃんのでいいんじゃない?」
「私は無職だから役に立たないでしょ! これも聖女の役目!!」
「いや~~~~~~~!!」
と無理やり詩織の手を引っ張り草むらへ行った。
しばらくすると、その草むらから意気揚々と手に皮袋を持った茜と死んだような目をしている詩織が出てきた。
「よ~~し、これで準備万端! リッチをぶっ倒しに行ってくるね。 Sky high!!」
「茜!!」
「茜様ーーーー!!」
加奈とアルファの声を無視して飛んで行った茜であった。
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