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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

ファイヤーボール・・・その後

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何故みんなのレベルが上がったかというと、茜が魔法で破壊した砦は10年ほど前に放棄され、今では魔物が巣食う場所となっていたからだ。
砦には高レベルのモンスターはいないが中レベルのモンスターは数多く生息しB,Cランクの冒険者たちに狩場になっていた。
が、B,Cランクでは返り討ちに遭うことも間々あり侮れない場所でもあった。
悪い事に時々砦から中レベルのモンスターが城下に近づいて悪さをするのでギルドでも問題視されていた砦であった。

が、今はその砦は跡形も無くぶっ飛び半径500mほどのクレーターが出来ている。
爆心地の中心は深さ100mはありそうなほど抉れていた。

「茜様、今の魔法は初級のファイヤーボールでしょうか?」

「うん、一番簡単に唱えられそうな魔法だから使ったんだけど・・・・・・」

「初級であの威力ですか・・・・・信じられない。最大級の火炎魔法ヘルフレイム以上の破壊力です。
 茜様がヘルフレイムなど最上位の魔法を使ったら・・・・・国が消し飛んでしまいかねません。
 今後は魔法はお控えください」

隣で加奈がファイヤーボールの練習をしている。
最小サイズをイメージすると人差し指の先に灯るくらいサイズ、最大サイズをイメージしてもバスケットボールサイズの火球が出来るだけだった。

茜は魔法をコントロールできていない・・・・・
いや、最大火力しかイメージしていないのではないか?
それとも魔力量が多すぎて最小単位さえも大きすぎるのか?



そこへ100騎ほどの騎兵が全速でやって来た。

「と、と、砦がなくなっているではないか!! お前たち、このあたりで爆発が合ったようだが詳しく分かるヤツはおるか」

先頭の隊長らしき人物が馬に乗ったまま命令口調で尋ねてきた。
アルファ王子が前に立ち

「私から説明しようモロトク隊長」

「あ、これはアルファ王子」

と言うなり馬から降り王子の前に跪くと他の騎兵たちも馬から降りモロトク隊長と同じように跪いた。

「あの砦は魔物たちの巣窟になっているから茜様の魔法で廃棄して頂いたところだ。
 素晴らしいではないか。解体する手間も掛けず、魔物も一掃できるなんて」

「茜様というのは・・・・・?」

騎兵隊のモロトクは城、町の警備に従事していたので召喚の儀式に立ち会う事はなかった。

「こちらの赤い髪の美しい少女だ」

と正座をしている少女を騎兵隊たちにも紹介した。

凄く格好悪いんですけど・・・・・と思いながらも。
美しいなんて、王子様も口が上手いんだからと思う茜であった。

「な、な、なんと、魔法であの砦を! すべて石作りで頑強な砦ですぞ」
あまりの事にモロトクだけではなく騎兵隊たちの顔色が変わりおののくのであった。

「さ、さ、左様ですか。し、し、城に戻り報告してきます」
モロトク部隊は来たとき以上のスピードで城へ帰還して行った。

「うわ~~隊長さん、ドン引きだったじゃない。どうするのよ、茜!」

「どうすると言われても・・・・・・・・」
加奈にツッコマレ返答に窮する茜であった。



「ねぇ~王子様、この辺に湖とか水源は無いのですか?」
詩織が王子様に尋ねると

「我が国はイフリートが出現して以来、慢性的に水不足に悩まされております。
 城を挟んで、こことは反対方向に川が流れており、そこから水を補給しているのですが・・・・・
 ここ数年、川が細くなってきております」

詩織は少し考え茜に頼んでみた。

「茜ちゃん、氷の魔法でこの大きなクレーターに巨大な氷河を作れないかしら?
 氷河が溶ければ水不足も解消できるし、町も少しは涼しくなんるんじゃないかな?」

「詩織、頭いいな! 茜、早速、やってみよう。
 これだけ気温が高ければ巨大な氷河を作ってもすぐに溶けるだろうから」

「・・・・・・・でも加奈ちゃん、氷河が巨大すぎて寒波が来たり、溶けた水で洪水になったりしないかな」
と詩織の声は段々小さくなっていた。

「いいか、茜、加減しろよな。加減。最大でもあのクレーターサイズだからな!!」

と言った加奈だったが思い直し、

「まずは拳大の大きさから行こう。拳。拳だからな。分かったな」

と正座している茜に口をすっぱくして言った。

茜は立ち上がり飛空魔法を唱えクレーターのところまで飛んでいった。

「茜様は飛空魔法をも持っているのですか!初めて見ました」

「あの子、ほとんどの魔法使えるみたいですよ。そんなに珍しいのですか?」
と加奈は王子様に言った。

「人間で使える者は聞いた事がありません。魔族の使う魔法とばかり思っていました」

「まぁ、あの子、半分、悪魔みたいなものですからね」

「加奈ちゃん、酷すぎる。茜ちゃんは碧さんに会いたいがために女神様にお願いしたのに」

「あれはお願いじゃないだろ。恫喝か脅迫だよ」

「め、め、女神様を恫喝したのですか? 茜様は!?」

「そうですよ、いきなり女神様にアイアンクローを掛けて魔法すべてよこせとかステータスをMAXにしろとか・・・・・
 心の広い女神様で良かったですよ。
 私たち女神様のお怒りに触れて消し炭になっていてもおかしくなかった状態ですからね」

「茜様って人間的にも超越しているのですね」

加奈はアルファに言われて肩を竦めるのであった。
残りのクラスメイトと共に砦の跡地へ向かう事にした。
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