上 下
90 / 304
第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!

ステータスMAX

しおりを挟む

成り行きでハルフェルナの救済に力を貸すこととなった茜であった。

「魔王ってどこにいるの?さっさと封印しに行くわよ。
  私は早く終わらせてお兄ちゃんを探しに行かないといけないから」

「茜様、そうは言っても勇者のレベルが低いうちに魔王城へ近づくのは危険です」

「織田~、今、レベルどれくらいなの?」

「え? と言われても自分のレベルなんて知らないよ」

「使えないわね~ 自分のステータスも見えないの? イメージして御覧なさいよ」

「あ、あ、茜様は自分のステータスが分かるのですか?」
王子が目を見開いて驚いた。

「分かるわよ。イメージすると出てくるわよ。それが?」

「いいえ、普通は自分のステータスなんて分かりませんよ」

「え?そうなの?」

「普通は『ステータスの鏡』を使って鏡に映すことによって初めて見ることが出来ます」

「なんか面倒ね~ もっとサクサクいかないの?」

「いかないのですよ。そんなに簡単な物では有りません」

王が合図をすると高さ2mほどの鏡が謁見の間に運ばれてきた。

「勇者殿、こちらへ」
王子が織田を手招きして鏡の前に立たせる。

鏡が光ると鏡に何やら文字が映し出された。
HP、MP、体力、攻撃力・・・・・・
使える魔法などなど
それを見ると王様の隣にいたおじいさんが言った。

「ステータスは普通の騎士と同じくらいです」

「おじいさん、偉い人なの?」
と茜が尋ねると

「いかにも。私がこの国の宰相を兼ねる神官長のオットー・マストンである。
  そなた達の召喚の儀式を行ったのも私である」

「お前か! お前が私達を召喚したんだな!」

といきなりアイアンクローを噛ました。

「ぐわ~~痛い、痛い。離せ、何をするのじゃ」

「あ、あ、茜様、手をお離しください。マストンは普通の老人ですので死んでしまいます」
王子があまりの事に驚きながら訴えた。

「このじいさん、怪しい! 裏でこの国を乗っ取ろうとしているんでしょ! 
  神官と宰相を兼ねてるなんて絶対悪人よ! 
  三権分立に反しているわ!!」

「茜! それは政教分離原則だろ」

「そうとも言うわね」
と、間違った事を誤魔化す茜であった。

「あ、茜ちゃん!手を離して。このおじいさんが居なかったら、こちらの世界に来れなかったのよ。
  碧さんを助けるんでしょ」

「そうだぞ、茜。今お前のやっていることは八つ当たりだぞ」

「・・・・・まぁ、そうね。おじいちゃん、ごめんね、一応、ヒール掛けておくね」

と言って私は悪くないという顔をしながらヒールを掛けるのであった。

「い、い、異世界の女子おなごはこんなにも凶暴なのか?」

「茜ちゃんだけは特別ですから・・・・・・」
と詩織は済まなさそうに答えた。

マストンはコメカミを抑えながら次の者と指示を出すのであった。


クラスメイト達が次々鏡の前に立ちステータスが明らかになっていく。
茜の順番が来ると。

鏡が光ると
文字がずらーーーーっと並び
ありとあらゆる魔法が。
高位の神官のマストンでさえ聞いた事のない魔法が。
ありとあらゆる耐性が。
ステータスのすべてが9999999。
しかしレベルだけは1。
職業は「なし」
と記載されていた。

「こ、こ、この方は・・・・・・に、に、人間なのでしょうか?」
マストンがあまりのことに尻餅をつきながら問うた。

「おじいちゃん、失礼ね。こんなに可愛いモンスターがいると思ってるの?」

「い、い、いえ、茜殿。神様が降臨されたという話ではないでしょうな」

「何言ってるのよ。私は普通の女子高生よ。女神様に特別に力を分けてもらったのよ」

クラスメイト達は思った。
あれは特別に分けてもらったのでは無い恫喝して奪い取ったのだと。

「もう、気持ちの良い女神様でこの剣とローブまでプレゼントしてくれたのよ」

と言って背中の剣を見せた。

「さすがお兄ちゃんを召喚しただけのことはある。あの女神様はきっと世界最高の女神様よ!!」

クラスメイトは思った。
あれはプレゼントとは言わない強奪だと。

「あ、あ、茜様。その剣はとローブはどういった物でしょうか?
  気になっていたのですが、我々の世界に伝わる神話に出て来る剣とローブにそっくりなのですが・・・・・」
王子は完全にビビリながら聞いた。

「あ、これ?なんか、タナの剣とロゼのローブっていうらしいの。
 うちで飼っている犬と同じ名前だと言ったら快くくれたのよ。いい女神様でしょ」

少なくとも女神様は快くプレゼントしたのでは無い。

王子も驚きのあまり尻餅をついた。
王は茜の側に素早く寄り両膝をつき頭を下げた。
それを見た騎士団も王と同じく両膝を付き顔を地面につけるのであった。

「あ、あ、茜様。何卒何卒、ハルフェルナをお救いください。
 神の化身である茜様にすがるしかありません。
 どうか、ハルフェルナの民をお救いください」

「ちょ、ちょ、ちょっと、王様まで急にどうしたの? 
 私は普通の女子高生。お兄ちゃんを探すためにきた女子高生よ」

「茜様。その剣はハルフェルナを魔神から救った神・タナ様の持っていた剣。
 ローブは女神・ロゼ様の着ていたローブで御座います。
 その二つをお持ちになっていると言うことは神か神の使いであられると思うのですが・・・・」

「だから、私は普通の女子高生ですから。 ねぇ~みんな!」

いきなり振られたクラスメイト達は

「お、おぉ~」
「あ、はい」
「そ、そうです。普通の女子高生です」
「ふ、ふ、普通です」
「JKです」

と答えたのだが・・・・・・
女神様を恫喝する女子高生がこの世にいるか?
女神様にいきなりアイアンクローを噛ます女子高生がいるか?
と誰もが思ったが否定すると次にステータスをカンストした力のアイアンクローの餌食になるのは自分だと分かっているので茜に従ったのであった。

頼まれると断れない性格の茜は、なし崩し的にハルフェルナを救うことになった。
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

前世で魔神だった男、嫁と再会して旅をします。

明石 清志郎
ファンタジー
高校二年生の神山周平は中学三年の卒業後幼馴染が失踪、失意のままに日常を過ごしていた。 ある日親友との会話が終わり教室に戻るとクラスメイトごと異世界へと召喚される。 何がなんだかわからず異世界に行かされた戸惑う勇者達……そんな中全員に能力が与えられ自身の能力を確認するととある事実に驚愕する。 な、なんじゃこりゃ~ 他のクラスメイトとは異質の能力、そして夢で見る変な記憶…… 困惑しながら毎日を過ごし迷宮へと入る。 そこでクラスメイトの手で罠に落ちるがその時記憶が蘇り自身の目的を思い出す。 こんなとこで勇者してる暇はないわ~ クラスメイトと別れ旅に出た。 かつての嫁や仲間と再会、世界を変えていく。 恐れながら第11回ファンタジー大賞応募してみました。 よろしければ応援よろしくお願いします。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

お嬢様は謙虚堅実!? ~生まれながらにカリスマが限界突破していた少女と偽神に反逆する者達~

猫野 にくきゅう
ファンタジー
 お嬢様は謙虚堅実!?   最悪な人生だった。  それ以外に、言いようのない人生が終わった。  私は高校一年生の冬に、死んだ。  そして────  転生の女神と出会い、異世界に転生する。  今度こそ、まともな人生を歩めますように……。  そう祈りながら────

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...