84 / 304
第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?
エピローグ
しおりを挟む「さぁ~勇者・赤城よ。最後に言い残すことは無いか?」
異世界から来た少年は鎖に縛られガルメニア城下の広場に引きずり出された。
余がガルメニアの城に戻って最初にする事は、出来損ないの勇者・赤城の処刑だ。
皮肉なものだ。
まさか、余が魔王になってしまうとはな。
あれほど魔族を憎み嫌ってきたのに。
これも多くの民を殺してきた業なのか。
神々の天罰なのか。
が、後悔は無い。
魔王フェルナンドがハルフェルナを統治すればいいだけの話だ。
魔王になってから体から力がみなぎる。
確実に人間であった頃より強くなっているのが分かる。
剣技など人間だった頃と比べ切れ味が増している。
ただ問題なのは余の剣技に剣がついてこれないのだ。
並みの剣では簡単に折れてしまう。
異世界人の持ってきた武具を使うとしよう。
今の余なら神剣・タナの剣でさえ使いこなせるだろう。
今まで使うことが出来なかった魔法、火の魔法が使えるようになったではないか。
最大級のヘルフレイムが使えるようになったのはありがたい。
軍を指揮する能力、民を支配する能力が上がったのがはっきりと分かる。
命令を強制させることもできる。
なんて素晴らしい能力だ。
やはり、これは余が『世界を支配しろ』というお告げなのだろう。
「フフフフフ 踊りなさい」
イズモニアを征服した今、今後はどうするべきか。
当初の予定通りオリタリアを攻略するべきか。
まさかルホストがあんな状態になるとは。
オリタリアには優秀な魔道師がいるようだ。
気をつけなくてはならないな。
ルホストが前線基地として使えなくなったのは誤算だがイズモニアが丸々手に入ったのなら充分な黒字だ。
イラークに拠点を移し南から再度攻めるか、ワセンからオリタリアの東へ侵攻するべきか。
それともワイハルトがリピンと争っている後背を突くか。
密偵からの知らせによるとリピン攻略に手間取っている様子だ。
クリムゾン魔国がリピンに援軍を出しているようだから仕方が無いといことか。
よもやクリムゾンとリピンが内通しているとは思ってもいなかったがな。
余も魔王になったから紅姫と決着をつけるのに丁度良いではないか。
ハハハハハハ
さぁ、どちらを選ぶか。
「お前は最初から使い物にならない勇者だったな。いや、その方が余にとっては都合が良いか。ハハハハハハハ
お前がいなければ余を倒す者は、この世界に誰もいないということだからな。ハハハハハハ」
「黙れ!! フェルナンド!! 必ず俺の仲間がお前を倒す!」
「勇者無しでどうやってた余を倒すのだ?」
「それでも、俺の仲間たちは必ずお前を倒す!」
「ハハハハハハハ、愚か者め! 魔王は魔王で無いと倒せないのだ!」
「それでも!それでもだ!! 俺の仲間たちはお前を絶対に許さない!!」
「逃げ出したガキがか?」
「それでもだ!!」
フェルナンドはしばらく考えた。
「それならお前に楯になってもらおうか。
スライムの冠を持って来い!」
スライムの冠、それはイフリートの仮面と同じように装備者に呪いを掛けるアイテムの一つ。
徐々にスライムと化してしまう。
フェルナンドはスライムの冠を手にすると鎖につながれ跪いている赤城の頭に被せた。
「止めろ!!」
「この冠は装備すると徐々にスライムになるのだよ。ハハハハハ!!」
フェルナンドの冷たい笑い声が辺りに響く。
「止めろ!! フェルナンド」
「ハハハハハ! どうだ?最強であるはずの勇者が最弱のスライムになる気分は」
「グワーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
城下の広場に赤城の絶叫が響き渡った。
「フフフフフ 踊りなさい フェルナンド 踊りなさい」
^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^
俺たちはナミラーに戻ってきた。
帰りは戦利品・・・・・いや、放置されていたコリレシア軍の装甲車を使って帰ってきた。
当然、免許書は無い!が、ここは日本では無いので問題ないだろう。
一応、人目につかないように街道を避けるように走った。
それでも速いし快適だ。
さすがは現代兵器。
智弘、則之は冒険者ギルドへ、将太、七海はアイゼー大将の居る騎士団の詰め所へ
俺とアレックスさんは商業ギルドへ赴いた。
商業ギルドへ入りネーナさんとの面会を申し込むと、ネーナさんが支部長室から飛び出てアレックスさんを抱きしめていた。
ヤッパリ、この二人、怪しいよね。
俺の子種とか言っていたけど、この二人絶対・・・・・百合だよね。
「もう、ネーナ、大袈裟なんだから。碧さんたちが居るから大丈夫よ」
「碧さんたちが居ても心配だったんだから!」
「まぁ、俺はたいしたこと無いですけど、則之や七海がいればたいていの事はね」
「それで、勇者・茜様とは・・・・・・・・」
ネーナさんは言葉を濁した。
俺はマシンガンを取り出しネーナさんに見せると表情が変わった。
「この通りです。勇者・茜様は俺の妹のようです」
「えっ・・・・・・・・・・ なんて言って良いのか言葉が見つかりません」
と、ポツリと言った。
「何れ、朱殷城に行って紅姫に真相を尋ねないといけませんね。
紅姫にゲートもあることだし、丁度良いのかもしれませんね」
しばしの沈黙の後、アレックスさんが旅での事を話し始めた。
「碧さんはドSなのよ。聖女様にお小水を強要して・・・・・・」
「碧さん、酷い。聖女さまにも容赦しないのですね・・・・」
「オークのゾンビが・・・・・・」
「え、そうなの・・・・・」
「ヴァンパイアが・・・・・」
「本当・・・・」
話が弾んできたようなのでこの辺で退散するとしよう。
集合場所の冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルド内は何か色々と騒々しかった。
智弘、則之に合流しこの喧騒の訳を聞くとイズモニアがガルメニアに占領されたようだ。
イズモニアのダニアス皇王を初めとする皇王家の者、全員が処刑されたと言うことだ。
皇王家には女子供いたようだが情け容赦なく全員皆殺しだそうだ。
そして、なんとフェルナンドが魔王になったと。
あまりの話に俺はぶっ飛んだ。
「おいおい、人間も魔王になるのかよ!」
「思い出せ、女神様が『人間も魔王になる』って言っていただろう」
さすが、智弘だ。ヘンタイだが頭も良く記憶力も良い。
あのフェルナンドは最初から魔王だったのではないかと思うくらい残酷で残忍で残虐な男だった。
「フェルナンド自身で皇王に手をかけたそうでゴザルよ」
「普通は皇王は幽閉しておくものだけどな。で、毒殺したりして病死として公表するのがよくあるパターンだけどな。
ハルフェルナは情け容赦が無いのか、フェルナンドが残虐なのか・・・・・・」
智弘が解説してくれた。
狂ってやがる。フェルナンドはやはり狂っている。
だからこそ、魔王になったのかもしれない。
そこへ将太と七海も合流した。
「アオ君たち聞いた?ガルメニアのこと。ワイハルト帝国のこと」
「ガルメニアは知ってるがワイハルトは知らないが何かあったのか?」
「クリムゾン魔国とリピン国の連合軍がワイハルト帝国と戦っているって」
「え?どういうことだ将太!」
智弘があまりの話しに驚いた。
「ワイハルトの侵略に対してクリムゾンとリピンが協力しているんだって」
「エ!! クリムゾンと言えば魔族だろ!! その魔族が何故リピンに協力しているんだと言うことだよ!!」
あまりの事に大声を上げてしまった。
「トモ君、そんなに怒鳴らないでよ。アイゼー将軍でさえも分からないって言ってたよ」
「人類と魔族が手を結んでいると言うことだぞ」
「魔族と和解できたと言うことかでゴザルか?」
「いや、そうとも言い切れない。
どの国に野心があるのかということで話が変わってくる。
ワイハルトに野心があった場合、クリムゾン魔国とリピン国で信頼関係が築かれたということになり人類と共存を望んでいるのかもしれない。
クリムゾンに野心があった場合、リピンを傀儡としてワイハルトに攻め入り人類滅亡を考えているのかもしれない。
リピンに野心があった場合、クリムゾンを利用して・・・・と考えているかもしれない。
すべての国が邪な野心を持っている場合もあるからな」
「おいおい、結局何も分からないといっているのと同じだぞ。智弘」
「他にも偶発的な遭遇戦で戦果が大きくなってリピンがクリムゾンに助けを求めたのかもしれないが・・・・・・情報が少なすぎるな。
色々考えられるが重要なのはクリムゾンが敵か味方かということだろうな」
「俺から見ればクリムゾンは敵でしか無いがな」
そうなのだ、茜ちゃんを殺した紅姫は殺すべき敵にしか見えない。
「私・・・・・ガルメニアに行くべきだと思うの。みんなを助けに行きたいと思うの」
「そうだな、赤城たちも心配だ。七海は仲の良い井原たちが心配だろうし・・・・・フェルナンドに仕返しがしたいしな」
「碧、フェルナンドは魔王になったようだから仕返しと言っても簡単じゃないぞ。
山中たちと争うのは得策じゃないと思うのだが」
「赤城を救出してフェルナンドを封印してもらえればザマーなんだがな」
「赤木君たちを救出するべきだと思う」
「将太殿の言うとおりでゴザル」
「智弘、赤城たちが心配だよ。赤城は俺たちの切り札なのだからガルメニアに行って他の奴らを奪還した後、細かい事は考えるようにしたらどうだ?」
「多数決だよ、トモ君。渋っているのはトモ君だけだから」
「とは言うがな~・・・・・・」
智弘は腕を組んで色々と思案していた。
「将太、俺は多数決には反対だ」
「え?なぜ? アオ君だって赤木君たちを助けたいと思っているでしょ」
「思ってはいる。思ってはいるが、俺は自分の意思や多数決より智弘の判断を信じる。
智弘だって助けに行きたいに決っている。それを渋っているという事は様々なリスクを考慮しているからだ。
智弘はヘンタイだけど一番賢いし狡賢い。一番冷静で冷徹な判断を下せる。
自分たちに利益のためならどんな汚い手でも平気で使う。
今まで智弘の判断に従って失敗した記憶はほとんどない。
だから俺は智弘の判断を一番信じる」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て、碧。お前、それ半分誉めてないよな。ほとんど悪口にしか聞こえないぞ」
「悪口でも智弘の判断に従う!!」
と俺は強く言い切った。
「何だか誤魔化されてるような気がするのだが・・・・・・分かった。
俺もガルメニアに行くべきだと思う。
赤城を救い出せばフェルナンドに対してもアドバンテージを得ることができるだろうし、
他の奴らの協力があればもっと有利に立ち回れるかもしれないしな。
ただ、基本的にガルメニア軍との戦闘は避ける。
逃げて逃げて逃げ回る。
後の事は合流後、考える。
この案でどうだ?」
「異議なし!」
と俺は強く言い切った。
「アオ君が納得するのなら僕も賛成する」
「無駄な戦いはしないほうが良いに決まってるでゴザルな」
「私もみんなを助けられるなら」
「よし、これでいこう。智弘、救出作戦を頼むぞ」
「はいはい」
と智弘は肩をすくめるポーズを取った。
が、俺たちはこの時、赤城がもう俺たちの知っている赤城ではないという事を知らなかった。
0
お気に入りに追加
781
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜
ニゲル
ファンタジー
ダンジョン配信×変身ヒーロー×学園ラブコメで送る物語!
低身長であることにコンプレックスを抱える少年寄元生人はヒーローに憧れていた。
ダンジョン配信というコンテンツで活躍しながら人気を得て、みんなのヒーローになるべく日々配信をする。
そんな中でダンジョンオブザーバー、通称DOという正義の組織に所属してダンジョンから現れる異形の怪物サタンを倒すことを任せられる。
そこで社長令嬢である峰山寧々と出会い、共に学園に通いたくさんの時間を共にしていくこととなる。
数多の欲望が渦巻きその中でヒーローなるべく、主人公生人の戦いは幕を開け始める……!!
おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~
月白ヤトヒコ
ファンタジー
教皇ロマンシス。歴代教皇の中でも八十九歳という最高齢で就任。
前任の教皇が急逝後、教皇選定の儀にて有力候補二名が不慮の死を遂げ、混乱に陥った教会で年功序列の精神に従い、選出された教皇。
元からの候補ではなく、支持者もおらず、穏健派であることと健康であることから選ばれた。故に、就任直後はぽっと出教皇や漁夫の利教皇と揶揄されることもあった。
しかし、教皇就任後に教会内でも声を上げることなく、密やかにその資格を有していた聖者や聖女を見抜き、要職へと抜擢。
教皇ロマンシスの時代は歴代の教皇のどの時代よりも数多くの聖者、聖女の聖人が在籍し、世の安寧に尽力したと言われ、豊作の時代とされている。
また、教皇ロマンシスの口癖は「わしよりも教皇の座に相応しいものがおる」と、非常に謙虚な人柄であった。口の悪い子供に「徘徊老人」などと言われても、「よいよい、元気な子じゃのぅ」と笑って済ませるなど、穏やかな好々爺であったとも言われている。
その実態は……「わしゃ、さっさと隠居して子供達と戯れたいんじゃ~っ!?」という、ロマ爺の日常。
短編『わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……』を連載してみました。不定期更新。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる