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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

100万円札

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ギルドを出たときネーナさんからお願いをされた。

「この足で商業ギルドまで来ていただけませんか?
 お渡したい物がありますので」

俺たちは顔を見合わせて頷きあった。
ネーナさんと一緒に商業ギルドへ行き支部長室へ入るとアレックスさんが椅子に座っていた。
アレックスさんは椅子から立ち上がり綺麗なお辞儀をしてくれる。
良家の子女様は物腰からして違う。
今日はいつもの作業着ではなく令嬢ルックだった。

「みなさん、この度はありがとうございました。みなさんのおかげでナミラーは救われました」
アレックスさんが礼を言ってくれた。

「つきましてはマイソール家とアルファンブラ家から金一封を贈らせていただきます」

「アレックスさん、それは何故です? 別に両家から特別感謝されるようなことは無いと思うのですが」
智弘が尋ねると。

「マイソール、アルファンブラ両家にとってナミラーは首都リーパスと並ぶ重要な土地なのです。
 私のマイソール家は学問の家柄と言われていますが多くの特許商品を製造し、アルファンブラ家に販売をしてもらっています。
 リーパスで生産した物をナミラーに運び、ここから他の国へ輸出しています。
 ナミラーには多くの倉庫があり、もしナミラーの町に被害が及べば損失は10億20億では済みません。
 少ないですがマイソール、アルファンブラ両家から500万円ずつ合計1000万円を贈呈させていただきます」

「えええええ」
「えっ!」
「え、え、えーーーーーーーーー」

俺たちは驚きの声を上げた。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。あまりにも急な話で・・・・」
思わず声に詰まってしまった。
つい先ほど1000万円オリタリア国から貰ったばかりなのに。

「ネ、ネ、ネーナさん。いいんですか?」

「少ないですがお受け取りください」

「少ないなんてとんでもない!」

「私たちの一存で用意できる最高額を用意しました。
 時間さえあれば本家に赴きもっと用意できるのですが、明日にでもセキジョー・ダンジョンへ行ってしまわれるので急いで用意しました」

「そんなことありません。我々はオリタリアから報奨金を頂いているので充分ですよ。
 高校生の俺たちからすれば、こんな大金見たこともないですよ」」

「私は命まで救っていただいたにも拘らず、このような少額で恥ずかしい限りです」
とアレックスさんは頭を下げてくれた。


俺たちは相談の上、有りがたく頂戴する事にした。

「ネーナさん、お願いがあるのですが100万円札って今ありますか?」

「100万円札で10枚御用意いたしましょうか」

「いえ、1枚だけ100万円札でお願いできませんか?」
俺たちの世界には無い100万円札。
国の決済や大商人以外は使うことがないので俺たちはまだ見た事はなかった。
何故、見たかったかというと100万円札の肖像画は『勇者・茜様』だからだ。

ネーナさんが部下に頼んで100万円札を用意させ持ってきてくれた。

「何故、100万円札なのですか? 一般的には使いにくくて嫌われていますけど」

「『勇者・茜様』を見てみたくて」

ネーナさんは100万円札をテーブルに置き見せてくれた。

みんな一斉に集まりお札を見つめる。

少し斜めを向いたウェーブがかった赤い髪の少女がそこにはいた。
似ているような、似ていないような。

「う~~~ん 似ていると言えば似ているよな、でも似ていないような気もする」
と俺が答えると。

「確かに似てはいるが、なんか違うんだよな。将太はどう思う」

「う~~~ん、別人のように見える。茜ちゃんの目つきはもう少し鋭いと思う」

「あ~~~確かに目が柔らかいか。茜さまはもっと鋭い目をしていたな」

「おい、お前ら、俺の可愛い妹の悪口はその辺にしておいてもらおうか!!  妹が性格悪いみたいじゃないか!!」

「性格・・・・」
「性格ねぇ~・・・・・」

おい、将太、智弘、何故そこで黙る!!

「みなさん、どうしたのですか?」
ネーナさんとアレックスさんが不思議そうに俺たちの事を見る。

「ここだけの話にしておいてくださいね。絶対、誰にも言わないでくださいよ」
俺は強く強く念押しした。

「『勇者・茜様』と俺の妹が同一人物なのではないかという疑惑がありまして」

「えええええ」
「え!」
ネーナさんとアレックスさんは驚きの声を上げた。

「人物は色々と一致する点があるんのですが、時間が理屈に合わないんですよ」

「????」 「?????」
二人の顔には明らかに?が浮かんでいた。

「俺たちがハルフェルナに来たときには妹の茜は現代日本に居ました。
 だけど、俺たちがハルフェルナに来たときには『勇者・茜様』の伝説が築かれていた。
 矛盾するのですよ。
 俺が知らない間に妹の茜がハルフェルナに来ていた可能性もあるのですが・・・・・
 妹の性格からいって俺に黙っているということは考えづらくて」

「えっ、碧さんが『勇者・茜様』のお兄さんなのですか?」

「その可能性があると言うことで確定したわけではありません。
 それを確かめるためにセキジョー・ダンジョンへ行って銃を確かめようということになったのです」

「成る程、だからセキジョー・ダンジョンへ行くと。
 確かにあそこには『勇者・茜様』の銃が置いてありますからね。
 実は私もあの銃を触ろうとした事があるのです」

「エッ、本当ですか!アレックスさん!!」

「はい。銃は確かにそこにあるのですが触れませんでした。
 一緒に行った誰もが触ることが出来ませんでした」

「言い伝えは本当なのですね」



「碧さん、私もセキジョー・ダンジョンに連れて行っていただけませんか?」
アレックスさんがいきなり切り出した。

「え? 何、言っているのですか。危ない目に遭って逃げてきたばかりでしょ。
 ハルフェルナでも有名な名家のお嬢様を危ないところに連れて行けませんよ」

「向学のため、みなさんと旅をすれば色々勉強になると思います。
 これでも色々と便利な魔法を使えるのですよ」

「ちょっと、アレックス何言っているの。
 今、イズモニアは戦争状態なんでしょ。そんな危険なところ行かせる訳には行かないでしょ!」

「そうそう、ネーナさんの言うとおりです。お連れするわけにはいきません!!」

「私、セキジョー・ダンジョンに行ったことがあるんですよ。
 銃のあるところまで何度も行ったことがあるんですよ。
 私が居ればダンジョン内部迷わないで済みますよ。秘密の通路があるんですよ」
とウインクをしてくれた。

「危なくなれば空を飛んで逃げること出来ますから」

「とは言ってもですね~」

「アレックス!! あなたにもしものことがあったら、おじ様に顔向けできないわ!」

「ネーナ! 目の前に異世界人がいるのよ。もしかしたら勇者・茜様のお兄さんかもしれない人が居るのよ!!
 パパも同じ研究者だから分かってくれる。いいえ、一緒に旅しなかったことを叱られるわ。
 こんな凄い研究対象を見過ごすなんてマイソールの血が許さないわ!!」

・・・・・俺たちはどうする?という顔をしながら見合った。

「みなさんに断られても後から付いていきます!!」

「アレックス!!」

ネーナさんが諌めるが絶対に付いていくというアレックスさん。


「なぁ、どうする?・・・・・・なぁ、智弘」

「俺かよ!」

「そりゃこういう時は我がパーティーの頭脳担当だからな」

みんなで智弘の顔を見ると、う~~~んと唸り出した。
多分、みんなも同じ事を考えているだろう。
一人で後を付いてきて何かあったときの事を考えると拒絶するのは得策では無い。
上流階級のお嬢様が馬車で長距離移動なんて可能なのだろうか?

「アレックスさん。俺や将太、則之は女の成りしていますが中身は男ですよ。その辺分かっています?」

「はい、大丈夫です。発掘調査など全員で雑魚寝ですから」

「旅の馬車もアレックさんの実家にあるような高級馬車じゃないですよ。長距離移動は尻が痛くなりますよ」

「大丈夫です。飛空魔法で宙に浮くようにします」
なんという飛空魔法の無駄遣い。


「で、碧はガチで男でエロエロなヤツですよ。身の危険は感じませんか?」

おい、智弘!それは無いだろう。もう少しオブラートに包もうよ。

「問題ありません。『勇者・茜様』のお兄さんの子種なら喜んで身篭ります!」

「アレックスさん何言っているんですか。まだ決ったわけじゃないですから」
俺は突然の発言で目を剥いて驚くのであった。

「え、ちょ、ちょっと、アレックス何言っているの!」
ネーナさんは半分怒りながら。

「ア、ア、ア、レック、ス、さん。な、な、に言ってるんですか」
将太はドモリながら。

「▼ ~ ○^ □ +× ● ■ 」
七海は何を言っているのか分からなかった。
則之はあまりの発言にずっこけた。

「ちょっと、ちょっと、冷静に成りましょう。まだ、俺が『勇者・茜様』の兄と決った訳じゃないですからね。
 で、俺なんか平凡な学生ですからね。
 たとえ兄だったとしてもその辺いる子供と変わりませんからね」

「お願いですから連れて行ってください!! こんなチャンスは二度とないんです!!
 必ずみなさんのお役に立ちます。ダンジョン内の案内なら任せてください」
必死に懇願してくるのであった。

全員の顔を見ると諦めの表情が見て取れた。

「分かりました。アレックスさんを連れて行く事にします。
 ただ、智弘の指示に絶対に従ってくださいね。
 この約束が守れなかったら連れて行くことはできません!」

「はい、分かりました。智弘さんの指示に従います」

「碧さんは智弘さんのこと信頼しているのですね」
ネーナさんが聞いてきた。

「今はチンチクリンですけど頭脳はピカイチなんですよ。まぁ男に戻ったらヘンタイですけど」

ボクンッ

幼女が俺の腹にパンチをいれた。

「チンチクリンは余計だ!」
とヘンタイのほうは認めたようだ。


こうしてアレックさんは俺たちの旅に同行する事になった。
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