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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

則之の決断

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あまりにも衝撃的な話だった。
俺たちは一つの町の住民の犠牲の上に成り立っている・・・・・

将太と七海と合流したが誰もしゃべる気にはなれなかった。
1人を召喚するために100人が犠牲になっているという事実が俺たちの心に圧し掛かってきた。
事の重大さ、重さに押しつぶされそうになる。

七海が心配だったが、リッチになってから感情の起伏が少なくなっているから心配しなくても良いとのことだった。
俺はもう3人も人を殺しているので良心の呵責は少ない。何よりフェルナンドがいっそう許せなくなった。

智弘は「これが異世界転移というヤツだ。理不尽な世界だ・・・・・」と自分に言い聞かせるように語った。

則之は一段と無口になった。というより深刻に何かを考えているように見えた。

将太の落ち込みは酷く半分魂が無いような空虚な表情をしていたかと思うと急に髪の毛を掻き毟りだしたり落ち着きが無い様子だった。。
精神が安定していなかった。

今夜の宿を取り比較的精神が安定している俺、智弘、七海の3人で話し合いをした。
軍事基地になっているルホストの町に寄るのは危険なのでは無いかと。
そして何より、あんな話を聞いてしまってはとてもではないが町に寄ることは出来そうになかった。
幸いマジックバッグもあるので1週間分の食糧を買い込み、
一足飛びにナミラーの町を目指した方が安全だという結論になった。
不安定な将太と則之は智弘に任せ、俺と七海でオリタリア最南端の町ナミラーの町まで行けるの食材の調達をしに行った。


調達の帰り道、

「私、今の自分が嫌・・・・・私のせいで100人の人が亡くなっているのに動揺していないなんて・・・・・」
七海がポツリと語った。

「もう、私は『人間では無い』んだと思ってしまう。骸骨の醜い姿より『人間』らしい心を失った自分の方が辛い。
もう私は『人間では無い』・・・・・化け物なんだ・・・・・」



「そんなこと無いよ。将太の事を心配してくれたし、今だった犠牲になった人たちのことを偲べるんだから。
『人間の心』は失われていないよ。今の七海だって学校の頃の誰にでも優しい七海だよ。何一つ変わってないから安心して」

こんな安い言葉で七海の傷ついた心が癒されるとは思わないが俺の嘘、偽りの無い本心だ。

「ありがとう」

その後、特に会話はしなかったが七海の手を握って宿まで歩いた。



翌朝、イラークの町を馬車で出ることにした。
御者のおじいさんには申し訳ないが馬車のおかげで俺たちの旅は順調にいっている。

ルホストへ向かう街道沿いには休憩ポイントのような箇所が今までよりも大きく数も多かった。
これはルホストが大きな町、重要な交易地ということの証だろう。
あまり人と出会いたくないので小さな休憩場所を選び昼食を取る事にした。
手軽に素早く作れる豚汁と黒パン、野菜サラダにした。
案の定、俺はレベルが上がりHP、体力など肉体系のステータスが10上がった。
料理スキルも2に上がり、うどんのレシピを覚えた。

今回はそれに加え塩を購入出来るようになった。
頭に塩をイメージすると様々な種類の塩が浮かんだ。
よくスーパーなどで売っている安い値段の精製塩、天日干しの海水塩、岩塩、湖塩、藻塩。
しかも様々なメーカーが頭の中に浮かぶ。
夕飯用のオークステーキに使うための塩を購入してみようとするとA社の岩塩Cが頭の中に浮かんだ。
おそるべし!!料理スキル!!
これでオークステーキが一段と上手くなる!!
試しに購入してみるとマジックランドセルの中に入ったようだ。

元気の無い将太と則之の分は七海が作ってくれた。
将太は席を外し、みんなから離れて1人になった。
七海が将太の分を持って隣へ行って何やら話し込んでいるようだ。
やっぱり七海はリッチではなく優しい女の子なのだ。

則之がいきなり膝を叩いて

「決めたでゴザル!! 我輩もこれからは碧殿に料理を作ってもらうでゴザル!!」

「え、女体化が進むと女になってしまうかもしれないんだぞ! 止めておいた方がいいぞ」

「則之、お前が女になったら洒落にならないぞ!」

おい、智弘! ヘンタイルックのお前がそれを言うか?
と、口に出しては言わず則之の説得に当たった。

「いや、決めたでゴザル!! 生贄となった人たちの事を考えると、このまま日本には帰れないでゴザル。
仇とは言わないでゴザルが、我輩もフェルナンド王を許せないでゴザル!!
そのためには女になろうと構わないでゴザル!!」

そう、そうなのだ。則之は正義感が強く熱い奴だったのだ。
剣道で鍛えたのは腕だけでは無い。先輩、後輩からも信頼が厚い男なのだ。
こいつは筋の通らないことは認めないヤツなのだ。

「と、決めたからには残りがあれば早速、頂くでゴザル!」

残っていた豚汁を飲みだした。

「やっぱり碧殿の作った料理は一味も二味も違うでゴザルな。これを食べることが出来ないのは損でゴザルな!!」
則之は美味しそうにすべての豚汁を飲み干した。

俺は早速、いつでも食べられるようにうどんを仕込んでおいた。
その後、休憩ポイントを出立し、次の休憩地点&就寝地点を目指し馬車を進めた。



^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^-^



夜の休憩地点は大きめなところにした。
夜は危険が多いので人が多いところのほうが安全だろうと。
やはり、他の商隊や1人で旅をしている者も大きなポイントを選ぶようだ。
半径100mほどの中に200人くらいはいるようだ。
ここで商談を始める者も数多くいた。
俺のオークステーキに臭いに釣られ近くのソロの冒険者が寄ってきた。
・・・・・・・わざわざ、寄ってこられると追い返すわけにも行かないので、
日本人特有の「おもてなし精神」が発揮されてしまう。
仕方ないので日本から購入した岩塩で焼いた特上ステーキをプレゼントした。
年は30過ぎBランクの軽いノリの魔法剣士だそうだ。

魔法剣士は人数が少なくハルフェルナ全土でも100人いないそうだ。
戦士なんて何人いるか分からないそうだから剣職の中では勇者、剣聖の次に少ないということだ。
その勇者、剣聖も成りたくて成れるものではなく、勇者は天啓を与えられた特別職。
剣聖は剣の達人の中から選ばれる名誉職のようなものだそうだ。

「なぁ~智弘、剣聖っていたか?」
小声で智弘に記憶があるか聞いてみた。

「いや、記憶にないな・・・・誰かいたような気もするけど・・・・
ズガーンダムとワレトラマンのインパクトが強かったから」

そりゃ、そうだ。その二つに比べれば印象なんて無いも同然。

他にも色々な事を教えてもらった。
長旅のとき、多くの冒険者はマジックバッグなど持っていないからモンスターを捕まえ自分で解体して調理するのだそうだ。
大小の剣とは別に3本ほど解体用の包丁、ナイフを持ち歩いているそうだ。
解体スキルがあれば、どんなモンスターでも簡単に解体することが出来るそうだ。
が、一番大変なのは血抜き。
小さいサイズのモンスターなら問題ないが1mを超えるモンスターは人間で血が抜け切るまで持っていることは困難なため木などに括りつけるそうだ。
その作業もまた重労働だと言うことだ。
確かに自分達で解体できればマジックバッグに頼らずとも食材の調達も容易になり長距離の旅も可能になる。

解体スキルと解体用の包丁も欲しいな。
ナミラーの町で探してみることにしよう。

そして、ルホストは軍事拠点化しており、入るどころか付近を通りかかるだけでも厳しい尋問があるそうだ。
ルホストに用がなければ、森の手前の分かれ道を右へ迂回していく旅人が多いそうだ。。
俺たちも情報を元に迂回路を行くことにした。

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