1 / 333
迷子になりました
1
しおりを挟むよく周囲から『動じないな』とか『肝すわってんな』とかはたまた『無関心かよ』って言われたけどいやいやいや、流石に生まれてこのかた最大にパニックに陥ってます。
半年前高校を卒業して仕事に就いた。
同時にそれまでお世話になった養護施設を出て、職場から近い安アパートで一人暮らしも始めた。
勉強も好きだったので大学に進学する同級生を羨ましく思うこともあったけれど上司や同僚にも恵まれ、生まれて初めて誰にも遠慮することのない生活を楽しんでいた。
………はずだった。
これ夢かな?俺いつ寝たっけ。そんなに疲れてたかな?
いやいやいや、今日は仕事もお休みでさっきまで昼飯作ってた。
途中、片栗粉を切らしてるのに気付いて『給料入ったばっかだしついでにお高めのスイーツでも買っちゃうかな。』なんて思いながら近くのスーパーまで買い出しに行く途中だったのになんで迷子になってんの俺!
もうかれこれ1時間位歩き回ってるのにアパートにも行こうとしてたスーパーにもたどり着けない。それどころか今いるのは見慣れない橋の上だったりする。
スマホはうっかり置いてきてしまったから現在地の確認もできやしない。
「も~どこだよ此処〰〰うちの近くに川なんてあった?」
ぼやきながらその場にしゃがみこんだ。
大きな溜息をひとつついてしばらく流れゆく川面を眺めているとなんとなく感じていた違和感に改めて気付いた。
アスファルトだったはずの足元が石畳になっていてそれをなんとなく掌で撫でてみる。
スーパーに辿り着けずあせってキョロキョロしていたため乗り物酔いに似た感覚になっていたけどこうして落ち着いてゆっくり辺りを見廻してると建物も見慣れたものとは違っている。
建物のほとんどが煉瓦造りで扉や窓は木でできていた。
お洒落カフェがいっぱい……なんだろうか……
……うん、違うなコレ。
道行く人はまばらだけれどみんなコスプレみたいな格好をしている。
冷えた頭が再びパニックを起こすのはこまるので、とりあえず両手をほっぺたにもってくるとギュッっと摘んでみた。
「──夢なら醒めないかな。」
だめだ。普通に痛いなぁ。でも早く目を醒まさなくちゃ。
何度もほっぺたをぎゅうぎゅう握ってみたけれど変わらぬ景色に2度目の大きな溜息をついた。
……………迷子にも程がある。
240
お気に入りに追加
6,442
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
烏木の使いと守護騎士の誓いを破るなんてとんでもない
時雨
BL
いつもの通勤中に猫を助ける為に車道に飛び出し車に轢かれて死んでしまったオレは、気が付けば見知らぬ異世界の道の真ん中に大の字で寝ていた。
通りがかりの騎士風のコスプレをしたお兄さんに偶然助けてもらうが、言葉は全く通じない様子。
黒い髪も瞳もこの世界では珍しいらしいが、なんとか目立たず安心して暮らせる場所を探しつつ、助けてくれた騎士へ恩返しもしたい。
騎士が失踪した大切な女性を捜している道中と知り、手伝いたい……けど、この”恩返し”という名の”人捜し”結構ハードモードじゃない?
◇ブロマンス寄りのふんわりBLです。メインCPは騎士×転移主人公です。
◇異世界転移・騎士・西洋風ファンタジーと好きな物を詰め込んでいます。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる