迷子の僕の異世界生活

クローナ

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迷子になりました

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よく周囲から『動じないな』とか『肝すわってんな』とかはたまた『無関心かよ』って言われたけどいやいやいや、流石に生まれてこのかた最大にパニックに陥ってます。


半年前高校を卒業して仕事に就いた。

同時にそれまでお世話になった養護施設を出て、職場から近い安アパートで一人暮らしも始めた。

勉強も好きだったので大学に進学する同級生を羨ましく思うこともあったけれど上司や同僚にも恵まれ、生まれて初めて誰にも遠慮することのない生活を楽しんでいた。

………はずだった。


これ夢かな?俺いつ寝たっけ。そんなに疲れてたかな?
いやいやいや、今日は仕事もお休みでさっきまで昼飯作ってた。
途中、片栗粉を切らしてるのに気付いて『給料入ったばっかだしついでにお高めのスイーツでも買っちゃうかな。』なんて思いながら近くのスーパーまで買い出しに行く途中だったのになんで迷子になってんの俺!

もうかれこれ1時間位歩き回ってるのにアパートにも行こうとしてたスーパーにもたどり着けない。それどころか今いるのは見慣れない橋の上だったりする。
スマホはうっかり置いてきてしまったから現在地の確認もできやしない。

「も~どこだよ此処〰〰うちの近くに川なんてあった?」

ぼやきながらその場にしゃがみこんだ。

大きな溜息をひとつついてしばらく流れゆく川面を眺めているとなんとなく感じていた違和感に改めて気付いた。

アスファルトだったはずの足元が石畳になっていてそれをなんとなく掌で撫でてみる。

スーパーに辿り着けずあせってキョロキョロしていたため乗り物酔いに似た感覚になっていたけどこうして落ち着いてゆっくり辺りを見廻してると建物も見慣れたものとは違っている。

建物のほとんどが煉瓦造りで扉や窓は木でできていた。

お洒落カフェがいっぱい……なんだろうか……

……うん、違うなコレ。

道行く人はまばらだけれどみんなコスプレみたいな格好をしている。

冷えた頭が再びパニックを起こすのはこまるので、とりあえず両手をほっぺたにもってくるとギュッっと摘んでみた。

「──夢なら醒めないかな。」

だめだ。普通に痛いなぁ。でも早く目を醒まさなくちゃ。

何度もほっぺたをぎゅうぎゅう握ってみたけれど変わらぬ景色に2度目の大きな溜息をついた。

……………迷子にも程がある。






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