前世と今世の幸せ

夕香里

文字の大きさ
上 下
52 / 92
彼女の今世

episode44

しおりを挟む
 自分がどのような謝罪文を書こうか数日悩んでいる間に、先にアルバート殿下から手紙が届いた。

 見慣れた、忘れることの無い美しい手蹟で綴られていたのは、驚かせ、怯えさせてしまったことへの謝罪だった。私は見た瞬間、当日と同じように罪悪感と慚愧ざんきの念に駆られた。

 今の彼は悪くないのにやってしまった。おまけに謝らせてしまった。きっとアルバート殿下だっていきなり拒絶を示されて、傷ついたに違いないのに。

 しかも、届けられたのは手紙だけではなかった。皇宮からの使者は、小さな白い箱も私に手渡した。

 丁寧に梱包された包みを受け取り、蓋を開ける。中から出てきたのは真新しいリボンだった。色は日向のような温かみのある黄色。

──君のをダメにしてしまったから。嫌だったら捨ててくれ。

 最後にそう書かれ、手紙は締めくくられていた。

 前世では最初で最後の贈り物として栞を貰った。それがどうやら今世ではリボンらしい。どちらも小さな、それほど豪華なものではない。日常で見るような、使うような、些細なものだ。

──ありがとうございます。

 使者にそれだけ書いた淡い蒼色の一筆箋を渡した。大切に使わせていただきます。とか、書けばよかったのだろうけれど、あいにく己の心情的に書けそうにもなかった。

 今後髪に付ける可能性はほとんどない。栞の時のように何度も眺めることやお守り代わりにすることもないだろう。むしろ捨ててしまう可能性の方がとても高い。

 最後、ビリビリに破いてしまった栞。空中に散らばりながらゴミ箱に吸い込まれていった。あの後、主を亡くした部屋は掃除され、数少ない私物と一緒に捨てられたのだろうか。

 いつの間にか前世のことを考えていた私は、意識を目の前に戻した。

 手の中にある物。それに今はまだ向き合う覚悟も捨てる勇気も出なくて、白い箱に綺麗につめ直した後、普段開けないような衣装部屋の奥の方に隠すように片付けた。

 アナベルはそんな私を見ても、何も言わず佇んでいた。少し残念そうにしながら。

 きっと皇子からお詫びの品──プレゼントをいただけたのに、片付けてしまうことが勿体ないとか思っているのだろう。

 彼女は皇宮で何かが起こったのだと勘づいている。多分……だけど。それでも何も聞いてこない。話すよう催促しない。

 その心遣いが嬉しかった。私の口からは話したくなかったから。

 そんなアナベルは私の髪を梳かしている。髪は梳かせば梳かすほど絹のように滑らかな手触りになる。だから彼女は毎日一生懸命に私の髪を梳かしてくれていた。おかげで周りに自慢出来るくらい艶やかだ。手で触れればいい匂いがする。

 鏡の中に映る自分を見る。服装は青のチェックスカートに赤いフード付きローブ。一学期とは色合いが異なる。

 今日は二学期の始まりだ。大祝祭のこともあるし、一学期よりも忙しくなるだろう。授業だって難しくなる。予習復習を怠ることは出来ない。

(悩むのは終わり。また次、同じことをしなかったらそれでいい)  

「お嬢様、支度が終わりました」

 どうやら今日は後ろでお団子みたい。朱のリボンとピンできっちり止められている。最後にいつもの耳飾りを付ければあとは馬車に乗るだけだ。

「いつもありがとうアナベル」

「──どういたしまして」

 鏡を通して、微笑む彼女が見えた。



◇◇◇



「御機嫌ようリーティア様」
 
「御機嫌よう」

 クラスメイトに軽く挨拶をして自席に座る。皆、久しぶりの再会だからかいつにもまして教室内は活気があった。

「リーティア様今日はお団子なのですね! 似合ってます」 

 声をかけてきたのはキャサリン様だった。

「ありがとう」

「だけど残念です。リボンはローズピンクじゃないのですね。お茶会の際、とってもお似合いでしたのに」

 キャサリン様は自分の事のように悲しそうに目じりを下げた。

「…………あの日、王宮に片方置いてきてしまったようなの。気が付いて探しに戻っても出てこないからなくしてしまったらしいわ」

 言っておいてだが、置いてきたのでは無い。捨ててきたのだ。

「まあ! リボンを落としたとなると、軽いですから既に飛ばされてしまったのかもしれませんね」

「そうですね。次から気をつけようと思ってます」

 授業で使う教材を整理する。トントンと教科書を整えて、最初の授業で使わない物は机の中に入れた。

「あっ! では私がプレゼントしても?」

 突然の申し出に驚く。というかまだそこにいたのか。てっきり自席に戻ったのかと思った。

 彼女の肩にはちょこんとルクスが乗っている。羽をパタパタと動かし、今にも飛び立ってしまいそう。

 そういえば……アリアは何処にいるのだろう? 妖精は気分屋なので同じ場所に留まらない。夏季休暇の間もよく傍を離れて、どこかに行くことが多かった。避暑にも、召喚魔法で呼ばなきゃ来なかったし……。

(何か問題を起こしてなければいいのだけれど)

 不安でしかない。数ヶ月一緒に過ごして段々彼女の性格が分かってきた。アリアは他の妖精に比べて落ち着きがないのだ。この間だってアリアの身体よりも大きい花瓶の水を変えようとして、落として割っていたし──

 キョロキョロと一応教室の中にアリアがいないか私は視線を動かす。しかし、彼女がいるはずもなかった。いたら声で気がつくはずだ。あの子は黙っていることができないから。

「リーティア様、ご迷惑でしたか?」

 視線を戻せば彼女は私の表情を窺っていた。

「あっ、いえ。とても嬉しいです」

 考えずに答えてしまった。プレゼントなんて断ればよかっただろうか。貰ったらお返しをしなければならない。

「とっておきの! 探してみます!」

 嬉しそうなのでそのままにしておくことにした。水を差すこともできたが、そこまでして断るのもどうかと思ったのだ。

 そのあとも他愛もない会話をキャサリン様としていれば、アリアが戻って来る前に、先にヘレナ先生が教室に入ってくる。

「今日の午前中は、通常授業の時間割を変更して宝探しをしようと思います。契約した精霊と一緒に頑張ってください」

 正面に構内の地図を浮かび上がらせ、ヘレナ先生は説明を続ける。

「構内の至る所にこの宝石──スヴァータを隠しました」

 手を前に出して、物体を出現させる。ひとつではなくて、葉っぱやキノコ、虫の形などの形をしている。どうやら本物を真似て作ったホログラムらしい。透き通っているので、奥にある黒板が微かに見える。

「見ての通り形が変わっていますし、探索魔法を使っても見つからない細工を施していますよ?」

 楽をしようとしていたらしい子息達から落胆の声が漏れ、ヘレナ先生は笑う。

「これを見つける一番の近道は契約した精霊と協力することです。信頼と普段仲良くしているかが鍵です」

「ヘレナ先生、何故精霊が鍵なのですか?」

 元気よく手を上げたのはフローレンス様だった。

「それは、人間が持ってなくて、精霊達が持っているモノが活躍するからですよ。それが何なのかは最初から言ってしまうと面白くないので秘密です」

 ウィンクをしながら口に手を当ててシーっという仕草をした。

 パッと思いつくのは空を飛べること。空から見ると見つけやすいのだろうか。

「では、皆さんファイトです~! 一番多く見つけた人にはご褒美をあげます」

 やる気に満ちた人達は一目散に教室から出ていった。

 そんな中で私の視界を横切ったのはエレン様。彼女はアーネに急き立てられるように飛び出して行った。

「まずはアリアを呼び出さなくちゃね」

 手の中に魔力を集めるよう意識する。

「おいで、アリア」

 一学期で使役している契約精霊を呼び出すくらいならば、無詠唱で召喚魔法が使えるようになった。だから呼びかける必要もないのだが、ついつい言ってしまう。

 光が手の中に満ちて、収束する。

「あ、リーリー! こんな時間に珍しいねー!」

 珍しいと言ったのは、普段は彼女がしている事の邪魔をしたくなくて、極力呼び出さないようにしているからだろう。
 ちょこんと座りながら出現したアリアは、朝もしたばかりなのにチュッとキスをしてくれた。彼女からのキスは少しだけこそばゆい。

「出てきてくれてありがとう。午前中だけ私に付き合ってくれる?」

「リーリーの頼みならなんでも聞くよ!」

 即答だった。頬にアリアがすり寄ってくるのでされるがままになる。これで第一関門突破だ。

 クラスメイトの中には精霊が召喚魔法を拒否して応じてくれない人がいた。今のところアリアは私が呼ぶと直ぐに現れてくれる。それが彼女と親しく、仲がいいと実感出来てとても嬉しい。

「アリアは何をすればいいの? 水で何かを押し流す? 金槌振り回す? それともほかの精霊と喧嘩?」

「そんな物騒なことさせないわ。宝探しをするのよ」

 どうしたらそんな考えにいたるのだろうか。おかしくて笑ってしまう。

「探すのは苦手だよ? 頑張るけど役に立ちそうにない……」

「ヘレナ先生は精霊なら全員役に立つと仰っていたわ。人間が持ってなくて、精霊には持っているモノを使うらしいの。お宝はあれと同じ宝石」

 ヘレナ先生が机の上に置いたホログラムを指さす。

「名前、分かる?」

「スヴァータと言っていたけれど……」

 身近なガーネットやダイヤモンドとかそういう類の宝石ではないのは確かだった。宝飾品で使われる物でなければ、魔力が込められた魔法石に属する物だろう。

(それにしても聞いたことない名前なのよねぇ)

 アリアはホログラムの所へ飛んで行った。

「あー! これかぁ!」

 しばらく眺めたあと、アリアはその場で一回転する。

「見つけられる?」

「うん。簡単簡単。2つも目があればね。これならアリアも役に立てる!」

 宝探し~! と言いながらアリアは廊下に出ていったので、私は慌てて追いかけたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

ゼラニウムの花束をあなたに

ごろごろみかん。
恋愛
リリネリア・ブライシフィックは八歳のあの日に死んだ。死んだこととされたのだ。リリネリアであった彼女はあの絶望を忘れはしない。 じわじわと壊れていったリリネリアはある日、自身の元婚約者だった王太子レジナルド・リームヴと再会した。 レジナルドは少し前に隣国の王女を娶ったと聞く。だけどもうリリネリアには何も関係の無い話だ。何もかもがどうでもいい。リリネリアは何も期待していない。誰にも、何にも。 二人は知らない。 国王夫妻と公爵夫妻が、良かれと思ってしたことがリリネリアを追い詰めたことに。レジナルドを絶望させたことを、彼らは知らない。 彼らが偶然再会したのは運命のいたずらなのか、ただ単純に偶然なのか。だけどリリネリアは何一つ望んでいなかったし、レジナルドは何一つ知らなかった。ただそれだけなのである。 ※タイトル変更しました

愛する貴方の愛する彼女の愛する人から愛されています

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「ユスティーナ様、ごめんなさい。今日はレナードとお茶をしたい気分だからお借りしますね」 先に彼とお茶の約束していたのは私なのに……。 「ジュディットがどうしても二人きりが良いと聞かなくてな」「すまない」貴方はそう言って、婚約者の私ではなく、何時も彼女を優先させる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 公爵令嬢のユスティーナには愛する婚約者の第二王子であるレナードがいる。 だがレナードには、恋慕する女性がいた。その女性は侯爵令嬢のジュディット。絶世の美女と呼ばれている彼女は、彼の兄である王太子のヴォルフラムの婚約者だった。 そんなジュディットは、事ある事にレナードの元を訪れてはユスティーナとレナードとの仲を邪魔してくる。だがレナードは彼女を諌めるどころか、彼女を庇い彼女を何時も優先させる。例えユスティーナがレナードと先に約束をしていたとしても、ジュディットが一言言えば彼は彼女の言いなりだ。だがそんなジュディットは、実は自分の婚約者のヴォルフラムにぞっこんだった。だがしかし、ヴォルフラムはジュディットに全く関心がないようで、相手にされていない。どうやらヴォルフラムにも別に想う女性がいるようで……。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

家出した伯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。 番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています 6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております

どうぞご勝手になさってくださいまし

志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。 辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。 やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。 アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。 風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。 しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。 ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。 ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。 ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。 果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか…… 他サイトでも公開しています。 R15は保険です。 表紙は写真ACより転載しています。

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。

待鳥園子
恋愛
婚約者が病弱な妹を見掛けて一目惚れし、私と婚約者を交換できないかと両親に聞いたらしい。 妹は清楚で可愛くて、しかも性格も良くて素直で可愛い。私が男でも、私よりもあの子が良いと、きっと思ってしまうはず。 ……これは、二人は悪くない。仕方ないこと。 けど、二人の邪魔者になるくらいなら、私が家出します! 自覚のない純粋培養貴族令嬢が腹黒策士な護衛騎士に囚われて何があっても抜け出せないほどに溺愛される話。

処理中です...