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16 薬草
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なんか最近、勇者のせいで余計な仕事が増えとるな・・・
グラスを磨きながらふと思う・・・
「ハルさま、おそうじおわりました~」
「ん、お疲れ、お客様来るまで休憩でいいよ」
そう言ってジュースとクッキーを出す
働く子だよなぁ・・・もう少し我儘でもいいと思うんだが・・・
美味しそうにおやつを食べてるハンティーを見ながらそう思う。
ちなみに兄貴の方は工房でポーション作ってる。
昨日作ってた奴の仕上げって言ってた。
まぁ、本人もやる気だし俺が口を挟む必要もないな・・・
俺の方は、久しぶりにオリジナルカクテルの研究の予定だ。
こっちに来てからやってなかったし、こっちの素材も面白い物が多いからなぁ~
どんな物を作るか思案する・・・
最近熱くなってきたし、涼しい奴で・・・
「そういえば・・・」
ふと前に採集してた薬草を思い出しインベントリから取り出す。
おもむろにちぎって口の中に・・・
薬草・・・って一括りにしてるが、正式名称は『フォンテル草』
爽やかなミントっぽい風味と香りを持つ草だ
「ふむ・・・ミントジュレップを異世界仕様で作ってみるか・・・」
タンブラーにフォンテル草の葉を3枚、水を少し入れてマッシャーで押し付ける。
完全に磨り潰すのではなく水に香りを移す程度、葉の原型は残ってるくらい・・・
そこに砂糖を適量・・・ティースプーンで1~2杯お好みで、俺は大体一杯半入れる。
そして取り出したのはこっちの火酒、おおよそ60ml
砕いた氷を入れて水を適量で満たす。
こっちだと炭酸水は極端に好みが分かれるから水を選択
ストローを2本刺し飾りつけにフォンテル草の葉を飾る。
フォンテルジュレップと命名・・・安直でスマン
オリジナルって言うには少々問題があるかな・・・
まぁ、こっちでカクテル作る奴は俺くらいだろうから・・・まぁOK!
一口飲んでみる・・・
爽やかな風味と飲みやすくなった火酒がいい感じだな・・・
本式のバーボンに比べて雑味が強いが、フォンテル草との相性は悪くない。
ミントの代わりに薬草が使える事がわかりちょっと満足な俺・・・
ダンジョンピープルから買う分の中から俺のもキープしよう・・・
とりあえず他の人の意見も聞きたい・・・
「フィリアン、こいつの味見をしてみて」
グラスをフィリアンに渡す・・・
「これ、飲みやすいですね、女性にもウケると思いますよ。」
氷も少し溶けて薄くなってるからかな?
「後味がスッキリしてる所が私は好きです。」
ともあれ、女性視点でも高評価!
強めのフォンテル水と火酒をあらかじめ合わせたものを用意して、氷を入れて注ぐだけにしておけば屋台でも流行りそうだな・・・
「試飲も兼ねて出してみるか・・・」
バーテンダーらしい事ができて嬉しかったです・・・
最近本業から離れてたもんで・・・
勇者のせいなんだが・・・
そんな感じでなかなかフォンテルジュレップを出す機会に恵まれなかったが、この日、チャンスに恵まれた。
・・・いわゆる貴族のボンボンってイメージがピッタリの男2人の女性を連れて来店したんだ
「この店で一番高級な酒を、彼女達には飲みやすい酒を!金に糸目はつけんから一番いいのを頼むぞ」
「さすがハインデル様ですわ!」「頼もしいですわね!」・・・
お貴族様め・・・
ちょっと心に来るものはあったが・・・いい度胸だ・・・
「かしこまりました」
爽やかな作り笑顔で対応します・・・これでもプロなんで・・・接客スキルも上がってるんで・・・
そして、こんな事もあろうかと仕入れて見せ棚に並べてた奴を出す
知ってる人もいるだろうか?
ホストクラブで頼んだら末端で2000万コース、4000万で出た店もあったらしいあの酒だ
『コニャック ペルフェクション』
王金貨で搾り取ったろうじゃねーか
お貴族様が踏み倒したりしないだろ・・・こっちは勇者の後ろ盾がある!
メッチャ強気の商売だ
「こちらはコニャック ペルフェクション、100年以上熟成された幻の酒と言われてる希少な物です。当店最高額、当店秘蔵の最高のお酒でごさいます。」
ハインデル様は満面の笑みを浮かべる・・・値段を聞いて態度変えんなよ・・・
「素晴らしい!まさに私の為にあるような酒だな!」
「はい!その通りでございます。さすがに王金貨3枚などそうそう買えるお客様もおりませんし、なかなか仕入れもできませんので・・・」
え・・・?嘘だろ?値段を聞いても顔色一つ変えないぞ・・・
「うむ、早く飲ませるのだ」
俺も腹をくくった・・・お得意様になってもらおう・・・
バカラのブランデーグラスに注ぎお出しする・・・
熟成されたコニャックの香りが店内に広がる・・・
「ふむ、気品のある素晴らしい香りだ・・・」
しばらく香りを楽しみ舐めるように口をつける
目を閉じ、じっくり味わうハインデル様・・・
その様子から察するに、ご満足いただけたようだ・・・
出したくて仕方がなかった俺は、すぐにフォンテルジュレップを作り始める。
・
・
・
「こちら、新作のカクテル『フォンテルジュレップ』でございます。」
女性2人にグラスを出す
「まぁ!奇麗な飲み物ね」「とてもお洒落ですわ」
キャイキャイ言いながらストローに口をつける
「「とても美味しいですわ!!」」
ハインデル様は女性に出されたフォンテルジュレップをチラリと見る
「ふむ、店主よ、それを私にも出すのだ」
言われた通りに出す俺・・・
「うむ、これはこれで美味いな・・・私はこちらの方が好みだが・・・」
フォンテルジュレップを飲んだ後、ペルフェクションに戻る。
女性の方もお酒の味を楽しんでる・・・
これだよ!これこそがバーの醍醐味なんですよ!
俺は声を大にして言いたい・・・言わないが・・・
「店主よフォンテルという事はあの風味は薬草か?」
俺はにこりと微笑み肯定する。
「そうか・・・薬草を酒のアクセントに使うとは・・・」
言葉少なく嬉しそうにペルフェクションを飲む。
女性達と談笑しながら時間が過ぎていく・・・
小一時間くらい飲んでたであろうハインデル様
「店主、気に入ったぞ、私の屋敷に来るつもりは無いか?」
唐突なお誘いである・・・が、まっぴら御免である。
「とても嬉しいお誘いではありますが、この店でお客様にお酒をお出しするのがとても楽しいのです。」
・・・と柔らかくお断りする。
「そうか、無理強いはすまい、見た所客の入りも少ないようだが・・・」
「そうですね、まだ無名のお店ですから、それでも常連のお客様もおりますよ」
そう笑いながら返す
少し考えてる感じのハインデル様・・・
「友人達にも教えておこう、ただペルフェクションは私の為にだけ仕入れるのだぞ!他の者に出してはならん!」
いや・・・こんな酒ホイホイ買える客なんて初めて会いましたから心配いらないだろ・・・
そう思いつつもニッコリ笑って
「かしこまりました、ハインデル様の為に仕入れておきましょう」
うむっと満足そうに頷くと懐から袋を出す。
「私もこの者達も非常に満足させてもらった!とても気に入ったぞ!」
無造作に一掴み袋から取り出し俺の手に乗せる
「釣りはいらん、また来させてもらう」
無造作に王金貨8枚・・・8000万・・・こいつヤベェ・・・
嬉しそうに店を出ようとする、俺は慌てて見送りをする・・・店外まで・・・
「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております。」
深々と礼をする
ハインデル様は片手を挙げて颯爽と馬車に乗り込み帰っていった
あぁ・・・アレはカッコイイわ・・・モテるだろうな・・・
実際モテてるが・・・
後に勇者から聞いた話
ハインデル:クラウ:フォーセリア
この国の領主の弟であるフォーセリア公爵の跡取りで、
すでに実務もしている中、自分でも事業をやってる有能な方のようだ・・・
そして、かなり食道楽の美食家だそうだ・・・
それを聞いた俺はペルフェクションをできるだけ買い集めた・・・ってのは言うまでもない・・・
あの時来た女性の口コミで貴族階級のお嬢様もちょくちょく来店してくれるようになった。
フォンテルジュレップしか注文しないのはなんだかなぁ・・・って思うが、
もう少し距離が縮まったら色々おススメしてみようと心に決めた。
本業が上手くいって喜びに溢れるハルヒトだった・・・
余談だが、フォーセリア公爵家の方でフォンテル草の大量購入があったという・・・
グラスを磨きながらふと思う・・・
「ハルさま、おそうじおわりました~」
「ん、お疲れ、お客様来るまで休憩でいいよ」
そう言ってジュースとクッキーを出す
働く子だよなぁ・・・もう少し我儘でもいいと思うんだが・・・
美味しそうにおやつを食べてるハンティーを見ながらそう思う。
ちなみに兄貴の方は工房でポーション作ってる。
昨日作ってた奴の仕上げって言ってた。
まぁ、本人もやる気だし俺が口を挟む必要もないな・・・
俺の方は、久しぶりにオリジナルカクテルの研究の予定だ。
こっちに来てからやってなかったし、こっちの素材も面白い物が多いからなぁ~
どんな物を作るか思案する・・・
最近熱くなってきたし、涼しい奴で・・・
「そういえば・・・」
ふと前に採集してた薬草を思い出しインベントリから取り出す。
おもむろにちぎって口の中に・・・
薬草・・・って一括りにしてるが、正式名称は『フォンテル草』
爽やかなミントっぽい風味と香りを持つ草だ
「ふむ・・・ミントジュレップを異世界仕様で作ってみるか・・・」
タンブラーにフォンテル草の葉を3枚、水を少し入れてマッシャーで押し付ける。
完全に磨り潰すのではなく水に香りを移す程度、葉の原型は残ってるくらい・・・
そこに砂糖を適量・・・ティースプーンで1~2杯お好みで、俺は大体一杯半入れる。
そして取り出したのはこっちの火酒、おおよそ60ml
砕いた氷を入れて水を適量で満たす。
こっちだと炭酸水は極端に好みが分かれるから水を選択
ストローを2本刺し飾りつけにフォンテル草の葉を飾る。
フォンテルジュレップと命名・・・安直でスマン
オリジナルって言うには少々問題があるかな・・・
まぁ、こっちでカクテル作る奴は俺くらいだろうから・・・まぁOK!
一口飲んでみる・・・
爽やかな風味と飲みやすくなった火酒がいい感じだな・・・
本式のバーボンに比べて雑味が強いが、フォンテル草との相性は悪くない。
ミントの代わりに薬草が使える事がわかりちょっと満足な俺・・・
ダンジョンピープルから買う分の中から俺のもキープしよう・・・
とりあえず他の人の意見も聞きたい・・・
「フィリアン、こいつの味見をしてみて」
グラスをフィリアンに渡す・・・
「これ、飲みやすいですね、女性にもウケると思いますよ。」
氷も少し溶けて薄くなってるからかな?
「後味がスッキリしてる所が私は好きです。」
ともあれ、女性視点でも高評価!
強めのフォンテル水と火酒をあらかじめ合わせたものを用意して、氷を入れて注ぐだけにしておけば屋台でも流行りそうだな・・・
「試飲も兼ねて出してみるか・・・」
バーテンダーらしい事ができて嬉しかったです・・・
最近本業から離れてたもんで・・・
勇者のせいなんだが・・・
そんな感じでなかなかフォンテルジュレップを出す機会に恵まれなかったが、この日、チャンスに恵まれた。
・・・いわゆる貴族のボンボンってイメージがピッタリの男2人の女性を連れて来店したんだ
「この店で一番高級な酒を、彼女達には飲みやすい酒を!金に糸目はつけんから一番いいのを頼むぞ」
「さすがハインデル様ですわ!」「頼もしいですわね!」・・・
お貴族様め・・・
ちょっと心に来るものはあったが・・・いい度胸だ・・・
「かしこまりました」
爽やかな作り笑顔で対応します・・・これでもプロなんで・・・接客スキルも上がってるんで・・・
そして、こんな事もあろうかと仕入れて見せ棚に並べてた奴を出す
知ってる人もいるだろうか?
ホストクラブで頼んだら末端で2000万コース、4000万で出た店もあったらしいあの酒だ
『コニャック ペルフェクション』
王金貨で搾り取ったろうじゃねーか
お貴族様が踏み倒したりしないだろ・・・こっちは勇者の後ろ盾がある!
メッチャ強気の商売だ
「こちらはコニャック ペルフェクション、100年以上熟成された幻の酒と言われてる希少な物です。当店最高額、当店秘蔵の最高のお酒でごさいます。」
ハインデル様は満面の笑みを浮かべる・・・値段を聞いて態度変えんなよ・・・
「素晴らしい!まさに私の為にあるような酒だな!」
「はい!その通りでございます。さすがに王金貨3枚などそうそう買えるお客様もおりませんし、なかなか仕入れもできませんので・・・」
え・・・?嘘だろ?値段を聞いても顔色一つ変えないぞ・・・
「うむ、早く飲ませるのだ」
俺も腹をくくった・・・お得意様になってもらおう・・・
バカラのブランデーグラスに注ぎお出しする・・・
熟成されたコニャックの香りが店内に広がる・・・
「ふむ、気品のある素晴らしい香りだ・・・」
しばらく香りを楽しみ舐めるように口をつける
目を閉じ、じっくり味わうハインデル様・・・
その様子から察するに、ご満足いただけたようだ・・・
出したくて仕方がなかった俺は、すぐにフォンテルジュレップを作り始める。
・
・
・
「こちら、新作のカクテル『フォンテルジュレップ』でございます。」
女性2人にグラスを出す
「まぁ!奇麗な飲み物ね」「とてもお洒落ですわ」
キャイキャイ言いながらストローに口をつける
「「とても美味しいですわ!!」」
ハインデル様は女性に出されたフォンテルジュレップをチラリと見る
「ふむ、店主よ、それを私にも出すのだ」
言われた通りに出す俺・・・
「うむ、これはこれで美味いな・・・私はこちらの方が好みだが・・・」
フォンテルジュレップを飲んだ後、ペルフェクションに戻る。
女性の方もお酒の味を楽しんでる・・・
これだよ!これこそがバーの醍醐味なんですよ!
俺は声を大にして言いたい・・・言わないが・・・
「店主よフォンテルという事はあの風味は薬草か?」
俺はにこりと微笑み肯定する。
「そうか・・・薬草を酒のアクセントに使うとは・・・」
言葉少なく嬉しそうにペルフェクションを飲む。
女性達と談笑しながら時間が過ぎていく・・・
小一時間くらい飲んでたであろうハインデル様
「店主、気に入ったぞ、私の屋敷に来るつもりは無いか?」
唐突なお誘いである・・・が、まっぴら御免である。
「とても嬉しいお誘いではありますが、この店でお客様にお酒をお出しするのがとても楽しいのです。」
・・・と柔らかくお断りする。
「そうか、無理強いはすまい、見た所客の入りも少ないようだが・・・」
「そうですね、まだ無名のお店ですから、それでも常連のお客様もおりますよ」
そう笑いながら返す
少し考えてる感じのハインデル様・・・
「友人達にも教えておこう、ただペルフェクションは私の為にだけ仕入れるのだぞ!他の者に出してはならん!」
いや・・・こんな酒ホイホイ買える客なんて初めて会いましたから心配いらないだろ・・・
そう思いつつもニッコリ笑って
「かしこまりました、ハインデル様の為に仕入れておきましょう」
うむっと満足そうに頷くと懐から袋を出す。
「私もこの者達も非常に満足させてもらった!とても気に入ったぞ!」
無造作に一掴み袋から取り出し俺の手に乗せる
「釣りはいらん、また来させてもらう」
無造作に王金貨8枚・・・8000万・・・こいつヤベェ・・・
嬉しそうに店を出ようとする、俺は慌てて見送りをする・・・店外まで・・・
「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております。」
深々と礼をする
ハインデル様は片手を挙げて颯爽と馬車に乗り込み帰っていった
あぁ・・・アレはカッコイイわ・・・モテるだろうな・・・
実際モテてるが・・・
後に勇者から聞いた話
ハインデル:クラウ:フォーセリア
この国の領主の弟であるフォーセリア公爵の跡取りで、
すでに実務もしている中、自分でも事業をやってる有能な方のようだ・・・
そして、かなり食道楽の美食家だそうだ・・・
それを聞いた俺はペルフェクションをできるだけ買い集めた・・・ってのは言うまでもない・・・
あの時来た女性の口コミで貴族階級のお嬢様もちょくちょく来店してくれるようになった。
フォンテルジュレップしか注文しないのはなんだかなぁ・・・って思うが、
もう少し距離が縮まったら色々おススメしてみようと心に決めた。
本業が上手くいって喜びに溢れるハルヒトだった・・・
余談だが、フォーセリア公爵家の方でフォンテル草の大量購入があったという・・・
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