81 / 101
騎士団編
81.じっかへのきかん
しおりを挟む タタっと軽い足音を立て、俺は馬車から降りる。
目の前には見慣れているが2年間離れていた家のドア。
少しばかりの懐かしさを覚えながら、俺は息を吸い込んでドアを開けた。
「あ!おかえりなさい、ルーシャス様~!」
「ルーシャス様!帰ってこられたのですね!お久しぶりです!」
「ミーナちゃん、イーナさん、ただいま!」
2人のネコ耳メイドさんたちが耳をピョコピョコさせながら出迎えてくれる。
ミーナちゃんはちょっと大人っぽくなったかな?イーナさんに似てきたみたいだ。
「もう~、2年も帰って来ないなんて聞いてませんよ~?」
「みんな寂しがってたんですよ!特にジュリア様が」
ああー、それはそうかもな。風の噂でジュリアお姉ちゃんは変態が再発したと聞いた。今は勤務中でいないようだが、帰ってきたらとんでもないことになるだろうな。
「だーれだっ?」
おっと、お姉様はいないのではなく出てくるタイミングを伺ってたのか。見習いから正式に騎士団員になったようだが、今日はお休みなのかな?バレバレの声に苦笑しつつ、俺はノってあげることにした。
「誰だろう......?俺が知らない声だ......。まさか、まだ会ったことない俺のおばあちゃん!?」
背後で盛大にガックリ首を落としているのが感覚でわかる。
すまんな、からかわれてもタダでは起きないんだ俺は。
「ちょっと酷いよルーシャスくん!お姉ちゃんの声を忘れたっていうの!?」
「ううん、分かっててノってあげたんだよ」
「もっと酷いよ!?」
俺の目を隠していた手が退けられて視界が開けると、若干涙目のお姉ちゃんが顔を出す。
「あはは、ごめんごめん。ついからかいたくなっちゃって」
「もう!ルーシャスくんったらいたずらっ子なんだから!でもそんなところもかわいい~!」
飛びついてくるお姉ちゃんを風魔法で飛び上がって躱す。
お姉ちゃんは床に向かって見事なヘッドスライディングを決めることとなった。
「ところでミーナちゃん、今日の昼ごはんは何?」
「今日はメイド特製のオムライスですよ~。ルーシャス様が帰ってくるのでいつも以上に愛情を込めました~!萌え萌えきゅんって」
「ねえルーシャスくんさっきから酷くない!?」
悲痛な叫びを上げるジュリアお姉ちゃんをちらっと横目で見てスルーし、ミーナちゃんたちに向き直る。
それにしてもメイド特製オムライスはなんかちょっとそういうカフェ的な匂いがするな。萌え萌えきゅんは完全にそれだろ。ケチャップでハートとか書いてあるんだろうか。
「ルーシャス様~、オムライスをお持ちしました~!」
ミーナちゃんが両手にオムライスを持って歩き出てくる。
ちゃんとジュリアお姉ちゃんの分もあるみたいで良かったよ。当の本人はまだ半泣きだけど。
「それではケチャップで落書きしますね~」
「ジュリア様の分は私が落書きします!」
ミーナちゃんとイーナさんは右手にケチャップを持ち、オムライスに何かを描き始める。
俺とジュリアお姉ちゃんは何が描かれているのか嬉々として覗き込むと......
「覇」
「氣」
......覇氣!?気じゃなくて氣!?いや厳つすぎるだろ!!柔道部の部室とかに書いてありそうじゃねえか!!
てかなんで日本語で書いてあんだよ!!
「わーい、なんかかっこいい!」
日本語なんて知らないお姉様は意味もわからず喜んでいる。
うん、まああれだ、多分こういう絵があるんだろう。それがたまたま日本語の漢字に似てしまっただけだ。そう思うことにしよう。
「あれ?そういえば2人は食べないの?」
「もちろん食べますよ~。今私たちの分も持ってきますので一緒に食べましょ~」
ミーナちゃんがそう言うと、一足先にキッチンへ行っていたイーナさんが2人分のオムライスを持って現れた。
メイドさんたちの分はどんな落書きがしてあるんだろうと見てみると、トランプの10・J・Q・K・Aが順番に描いてあった。
いやロイヤルストレートフラッシュじゃねえか!!しかも2つともかよ!!クオリティ高えなおい!
「それでは皆さん、いただきましょう!」
呆れていいのか感心していいのか戸惑いながら心の中でツッコミを入れる俺を他所に、イーナさんが音頭を取る。
「「「「いただきま~す」」」」
きちんと挨拶をして俺たちは食べ始める。
しかしこうしてみんなで食卓を囲むのも久しぶりだなあ。
「それにしてもルーシャスくん、なんで2年間とも帰ってこなかったの?」
「ああちょっと色々都合が悪くて......魔法陣の研究したり過去に行って人間の魔獣を倒したりしてたからさ」
「うんなんか君はお姉ちゃんが理解できない領域にいるね!?何したって!?」
驚愕の表情を浮かべるお姉ちゃんを適当にあしらいながら、俺はオムライスを味わう。
目の前ではミーナちゃんとイーナさんが笑いながら俺たちの会話を聞いている。2人とも耳がピョコピョコ動いていて楽しそうだ。
「ねえルーシャスくん聞いてる?暁の剣士もビックリのことやってるよね!?」
「ああ、その暁の剣士が俺だよ」
「え!?ちょっと待ってどういうこと!?ちゃんと説明してもらえる!?」
久しぶりの我が家は、今日も平和だ。
目の前には見慣れているが2年間離れていた家のドア。
少しばかりの懐かしさを覚えながら、俺は息を吸い込んでドアを開けた。
「あ!おかえりなさい、ルーシャス様~!」
「ルーシャス様!帰ってこられたのですね!お久しぶりです!」
「ミーナちゃん、イーナさん、ただいま!」
2人のネコ耳メイドさんたちが耳をピョコピョコさせながら出迎えてくれる。
ミーナちゃんはちょっと大人っぽくなったかな?イーナさんに似てきたみたいだ。
「もう~、2年も帰って来ないなんて聞いてませんよ~?」
「みんな寂しがってたんですよ!特にジュリア様が」
ああー、それはそうかもな。風の噂でジュリアお姉ちゃんは変態が再発したと聞いた。今は勤務中でいないようだが、帰ってきたらとんでもないことになるだろうな。
「だーれだっ?」
おっと、お姉様はいないのではなく出てくるタイミングを伺ってたのか。見習いから正式に騎士団員になったようだが、今日はお休みなのかな?バレバレの声に苦笑しつつ、俺はノってあげることにした。
「誰だろう......?俺が知らない声だ......。まさか、まだ会ったことない俺のおばあちゃん!?」
背後で盛大にガックリ首を落としているのが感覚でわかる。
すまんな、からかわれてもタダでは起きないんだ俺は。
「ちょっと酷いよルーシャスくん!お姉ちゃんの声を忘れたっていうの!?」
「ううん、分かっててノってあげたんだよ」
「もっと酷いよ!?」
俺の目を隠していた手が退けられて視界が開けると、若干涙目のお姉ちゃんが顔を出す。
「あはは、ごめんごめん。ついからかいたくなっちゃって」
「もう!ルーシャスくんったらいたずらっ子なんだから!でもそんなところもかわいい~!」
飛びついてくるお姉ちゃんを風魔法で飛び上がって躱す。
お姉ちゃんは床に向かって見事なヘッドスライディングを決めることとなった。
「ところでミーナちゃん、今日の昼ごはんは何?」
「今日はメイド特製のオムライスですよ~。ルーシャス様が帰ってくるのでいつも以上に愛情を込めました~!萌え萌えきゅんって」
「ねえルーシャスくんさっきから酷くない!?」
悲痛な叫びを上げるジュリアお姉ちゃんをちらっと横目で見てスルーし、ミーナちゃんたちに向き直る。
それにしてもメイド特製オムライスはなんかちょっとそういうカフェ的な匂いがするな。萌え萌えきゅんは完全にそれだろ。ケチャップでハートとか書いてあるんだろうか。
「ルーシャス様~、オムライスをお持ちしました~!」
ミーナちゃんが両手にオムライスを持って歩き出てくる。
ちゃんとジュリアお姉ちゃんの分もあるみたいで良かったよ。当の本人はまだ半泣きだけど。
「それではケチャップで落書きしますね~」
「ジュリア様の分は私が落書きします!」
ミーナちゃんとイーナさんは右手にケチャップを持ち、オムライスに何かを描き始める。
俺とジュリアお姉ちゃんは何が描かれているのか嬉々として覗き込むと......
「覇」
「氣」
......覇氣!?気じゃなくて氣!?いや厳つすぎるだろ!!柔道部の部室とかに書いてありそうじゃねえか!!
てかなんで日本語で書いてあんだよ!!
「わーい、なんかかっこいい!」
日本語なんて知らないお姉様は意味もわからず喜んでいる。
うん、まああれだ、多分こういう絵があるんだろう。それがたまたま日本語の漢字に似てしまっただけだ。そう思うことにしよう。
「あれ?そういえば2人は食べないの?」
「もちろん食べますよ~。今私たちの分も持ってきますので一緒に食べましょ~」
ミーナちゃんがそう言うと、一足先にキッチンへ行っていたイーナさんが2人分のオムライスを持って現れた。
メイドさんたちの分はどんな落書きがしてあるんだろうと見てみると、トランプの10・J・Q・K・Aが順番に描いてあった。
いやロイヤルストレートフラッシュじゃねえか!!しかも2つともかよ!!クオリティ高えなおい!
「それでは皆さん、いただきましょう!」
呆れていいのか感心していいのか戸惑いながら心の中でツッコミを入れる俺を他所に、イーナさんが音頭を取る。
「「「「いただきま~す」」」」
きちんと挨拶をして俺たちは食べ始める。
しかしこうしてみんなで食卓を囲むのも久しぶりだなあ。
「それにしてもルーシャスくん、なんで2年間とも帰ってこなかったの?」
「ああちょっと色々都合が悪くて......魔法陣の研究したり過去に行って人間の魔獣を倒したりしてたからさ」
「うんなんか君はお姉ちゃんが理解できない領域にいるね!?何したって!?」
驚愕の表情を浮かべるお姉ちゃんを適当にあしらいながら、俺はオムライスを味わう。
目の前ではミーナちゃんとイーナさんが笑いながら俺たちの会話を聞いている。2人とも耳がピョコピョコ動いていて楽しそうだ。
「ねえルーシャスくん聞いてる?暁の剣士もビックリのことやってるよね!?」
「ああ、その暁の剣士が俺だよ」
「え!?ちょっと待ってどういうこと!?ちゃんと説明してもらえる!?」
久しぶりの我が家は、今日も平和だ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる