96 / 131
第三章 王立学校
交友関係
しおりを挟む
「じゃ、今日の魔法実践はここまで。怪我した人は遠慮なく言ってね」
それぞれが二試合ずつ出て、授業が終わった。俺個人の戦績は一勝と一分けだから上々だろう。
「健一君すごいなぁ、まさか負けるなんて」
「ん、編入試験を通ったのも納得」
「そういえば、健一は誰かに戦いを教わっているのかい?」
「あー……えっと……」
ここは何て言うのが正解だ?
口が裂けても吸血鬼の王だとは言えない。おなじく、ロイドと言う訳にもいかないな。
「基本は独学……だな。本読むのとか好きだし」
魔法の根幹は想像力だ。それを補うために、本を読む人が多いらしい。俺の場合は漫画とかがベースだがな。
「おっ、お前らも終わったのか! どうだったー?」
教室に向かって歩いていると、別の会場へと行かされていたキリヤが合流する。
「僕は一勝一敗。まぁまぁだね」
「俺は全勝だぜ! あたりまえだけどな!」
「別に戦いがすべてじゃないから。キリヤはもっとちゃんと勉強した方がいいよ?」
「うるさい! 俺は軍人になるからいいし!」
「学力試験もあるのになぁ」
グラントはそう呟くが、都合の悪いことは聞こえないのか、キリヤはそれをガン無視する。
「は、ハナビはどうだったんだ?」
少し上ずった声でキリヤはハナビに話しかける。この反応……もしかして……
「私はねぇ~、一勝一敗だった。なんとこの健一君に負けてしまったのです!」
「そ、そうなんだー! ケンイチって強いんだなぁー!」
やはりキリヤがおかしい。なんといか、リアクションがわざとらしいというか。
「キリヤはね、彼女のことが好きなんだ」
グラントは小声で俺にそう伝えてくる。
いや、まぁなんとなく想像通りだけど、それにしたって分かりやすすぎないか?
「ん、でもハナビ、気づいてない。そういう子だから」
「キリヤ……頑張れよ」
天然な子相手は難易度が高いかもしれないが勝算はあるはずだ。密かに応援してやろう。
「そうだ、レインって子って分かるか?」
昨日の事があったし、情報収集をと思って話題に出したのだが、途端にグラントの顔が曇る。
「……彼女と何かあったのかい?」
「あ、いや、何か勘違いされてるっぽくて……その」
「恋人だと思われている、と」
「なんで分かった!?」
俺の悩みをピタリと当て、心を読んでいるのではと錯覚する。
「僕も一時期そう思われてたからね。なんというか、こう、話が嚙み合わないだろ」
「そう、そうなんだよ!」
まさかここにも被害者がいるとは。一時期ということから、今は平気っぽいな。
「どうやって分かってもらったんだ?」
「時間経過」
「え?」
「ただただ、彼女が諦めるまで待つしかない」
あまりにお先真っ暗な返答が返ってくる。
「なっ、そんな。でもちゃんと話せば———」
「ボクも色々試みたさ。でも、どんなに嫌われることをしても、彼女はそれを妄想で好意的に受け取るんだ。全部裏目に出て、かえって執着が強くなっちゃうんだよ」
「おいおい、まじかよ……」
「僕は一か月くらいで解放されたけど、ある人は半年かかったらしいからね」
「他にも被害者が……」
これはかなりの長期戦になりそうだ。シャロ達のためにもいち早く止めてもらいたいが、どうしよう。
「ま、彼女は基本言葉が通じないって思った方がいいよ。あれは重症だ」
今すぐに付きまとうのをやめさせるのは無理ということか。だが、俺が接触する前にそれが知れて良かった。
やんわり避けるようにしよう。
「はいはーい! 提案! 今から皆でお昼食べない?」
「さ、賛成だ! ほら、お前らも行くぞ!」
こうして、この日から五人で昼食を取るようになった。ひとまず、学校生活でグループに属することはできた。
それぞれが二試合ずつ出て、授業が終わった。俺個人の戦績は一勝と一分けだから上々だろう。
「健一君すごいなぁ、まさか負けるなんて」
「ん、編入試験を通ったのも納得」
「そういえば、健一は誰かに戦いを教わっているのかい?」
「あー……えっと……」
ここは何て言うのが正解だ?
口が裂けても吸血鬼の王だとは言えない。おなじく、ロイドと言う訳にもいかないな。
「基本は独学……だな。本読むのとか好きだし」
魔法の根幹は想像力だ。それを補うために、本を読む人が多いらしい。俺の場合は漫画とかがベースだがな。
「おっ、お前らも終わったのか! どうだったー?」
教室に向かって歩いていると、別の会場へと行かされていたキリヤが合流する。
「僕は一勝一敗。まぁまぁだね」
「俺は全勝だぜ! あたりまえだけどな!」
「別に戦いがすべてじゃないから。キリヤはもっとちゃんと勉強した方がいいよ?」
「うるさい! 俺は軍人になるからいいし!」
「学力試験もあるのになぁ」
グラントはそう呟くが、都合の悪いことは聞こえないのか、キリヤはそれをガン無視する。
「は、ハナビはどうだったんだ?」
少し上ずった声でキリヤはハナビに話しかける。この反応……もしかして……
「私はねぇ~、一勝一敗だった。なんとこの健一君に負けてしまったのです!」
「そ、そうなんだー! ケンイチって強いんだなぁー!」
やはりキリヤがおかしい。なんといか、リアクションがわざとらしいというか。
「キリヤはね、彼女のことが好きなんだ」
グラントは小声で俺にそう伝えてくる。
いや、まぁなんとなく想像通りだけど、それにしたって分かりやすすぎないか?
「ん、でもハナビ、気づいてない。そういう子だから」
「キリヤ……頑張れよ」
天然な子相手は難易度が高いかもしれないが勝算はあるはずだ。密かに応援してやろう。
「そうだ、レインって子って分かるか?」
昨日の事があったし、情報収集をと思って話題に出したのだが、途端にグラントの顔が曇る。
「……彼女と何かあったのかい?」
「あ、いや、何か勘違いされてるっぽくて……その」
「恋人だと思われている、と」
「なんで分かった!?」
俺の悩みをピタリと当て、心を読んでいるのではと錯覚する。
「僕も一時期そう思われてたからね。なんというか、こう、話が嚙み合わないだろ」
「そう、そうなんだよ!」
まさかここにも被害者がいるとは。一時期ということから、今は平気っぽいな。
「どうやって分かってもらったんだ?」
「時間経過」
「え?」
「ただただ、彼女が諦めるまで待つしかない」
あまりにお先真っ暗な返答が返ってくる。
「なっ、そんな。でもちゃんと話せば———」
「ボクも色々試みたさ。でも、どんなに嫌われることをしても、彼女はそれを妄想で好意的に受け取るんだ。全部裏目に出て、かえって執着が強くなっちゃうんだよ」
「おいおい、まじかよ……」
「僕は一か月くらいで解放されたけど、ある人は半年かかったらしいからね」
「他にも被害者が……」
これはかなりの長期戦になりそうだ。シャロ達のためにもいち早く止めてもらいたいが、どうしよう。
「ま、彼女は基本言葉が通じないって思った方がいいよ。あれは重症だ」
今すぐに付きまとうのをやめさせるのは無理ということか。だが、俺が接触する前にそれが知れて良かった。
やんわり避けるようにしよう。
「はいはーい! 提案! 今から皆でお昼食べない?」
「さ、賛成だ! ほら、お前らも行くぞ!」
こうして、この日から五人で昼食を取るようになった。ひとまず、学校生活でグループに属することはできた。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~
新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」
多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。
ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。
その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。
彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。
これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。
~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~
黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》
Siranui
ファンタジー
そこは現代であり、剣や魔法が存在する――歪みきった世界。
遥か昔、恋人のエレイナ諸共神々が住む天界を焼き尽くし、厄災竜と呼ばれたヤマタノオロチは死後天罰として記憶を持ったまま現代の人間に転生した。そこで英雄と称えられるものの、ある日突如現れた少女二人によってその命の灯火を消された。
二度の死と英雄としての屈辱を味わい、宿命に弄ばれている事の絶望を悟ったオロチは、死後の世界で謎の少女アカネとの出会いをきっかけに再び人間として生まれ変わる事を決意する。
しかしそこは本来存在しないはずの未来……英雄と呼ばれた時代に誰もオロチに殺されていない世界線、即ち『歪みきった世界』であった。
そんな嘘偽りの世界で、オロチは今度こそエレイナを……大切な存在が生き続ける未来を取り戻すため、『死の宿命』との戦いに足を踏み入れる。
全ては過去の現実を変えるために――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる