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第三章 王立学校
ガーフィールド王国へ
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「じゃあ行ってくるわ」
「ああ」
「頑張ってきてくださいね」
長い受験勉強期間も終わり、もうすぐ試験の日だ。ここから学校のあるガーフィールド王国まで遠いので、少し早めに出ることになった。
「うぅ……私もついて行きたい……」
「大丈夫だって、全教科満点で凱旋してきてやるよ」
そう言って俺はメアの頭を撫でる。彼女はずっと教えてきたからこそ不安なのだろう。
「行ってきます」
外には馬車が用意されていて、中にはロイドとシャロ、それにティアがいる。
試験会場は王立学校なので、流石にロイドはその途中までなのだが、護衛という形で獣人の国まで付いてきてくれる。
シャロとティアは案内役兼俺の身の回りの世話係だ。まず、王都に行くまでに5日はかかるうえ、筆記試験と実技試験が1週間離れているために滞在する必要があるのだ。
道中では獣人の国を通り、人の国へと入る。
吸血鬼の領地、そして人間の領域は互いに不干渉を決めている。貿易はおろか、人の交流さえも断絶されているらしい。獣人の国では顔を合わせることもあるのだが、その顔の下には敵意が宿っている。
獣人の国を隔てて2つの国は存在していて、吸血鬼の領域は限りなく狭い。フリード曰く、吸血鬼は人数が少ないからとの事だがそれにしても差がありすぎる。
フリードが王であり続けるのは、吸血鬼達が人間の国に侵略することを防ぐためなんだと。それを抑えられる力も凄いが、それ以上にフリードの人格者っぷりに俺は感心した。
▷▶︎▷
約5日の旅も終わりが近づいている。獣人の国でロイドと別れ、今はそこから移動しているのだが、その方法に驚いた。
なんと、鉄道が通っているのだ。獣人の国の首都と人間の国の首都を繋ぐ路線らしいが、まさかこの世界で列車を見ることになるとは思わなかった。
もしかして吸血鬼の領域って結構田舎なのか? なんて思ったりもしたが口には出さなかった。
「列車に乗ってどれくらいで着くんだ?」
「そうですねぇ……1時間くらいかと」
「結構近いんだな」
まぁそれにも納得だ。窓の外を見れば分かるが、列車が出していい速度じゃない。風景は高速で流れていき、ずっと見ていると目が回りそうだ。新幹線は一度しか乗ったことがないが、それより速い気がする。
景色を見たり駅弁を食べたりしていると、列車のアナウンスが流れる。
「終点~ガーフィールド王国です。トンネルを抜けると国中が一望できますのでぇ~初めての方は是非ご覧になってください」
「なんか粋な感じだな」
獣人の国からの観光客も多いらしい。アナウンス通りに窓の外を見ていると、光と共に世界が広がった。
「す、すげぇ……」
列車は国の上空を走っていて、全体が見渡せるようになっている。ただただ、その国の大きさに感動する。首都というだけあってかなりの発展具合だ。建物も多く、西洋の雰囲気を保った東京のようだ。
列車は駅に吸い込まれるように入っていき、ようやく到着した。
「ふぅ、やっと着いたか」
「まずは泊まるところを探さないとですねぇ」
「そうだな、できれば会場に近いところがいいんだけど……」
「アタシ、良い場所知ってるぜ?」
ドヤ顔でそう言い張るティアに連れられ、俺らは宿泊施設へと向かった。
「ああ」
「頑張ってきてくださいね」
長い受験勉強期間も終わり、もうすぐ試験の日だ。ここから学校のあるガーフィールド王国まで遠いので、少し早めに出ることになった。
「うぅ……私もついて行きたい……」
「大丈夫だって、全教科満点で凱旋してきてやるよ」
そう言って俺はメアの頭を撫でる。彼女はずっと教えてきたからこそ不安なのだろう。
「行ってきます」
外には馬車が用意されていて、中にはロイドとシャロ、それにティアがいる。
試験会場は王立学校なので、流石にロイドはその途中までなのだが、護衛という形で獣人の国まで付いてきてくれる。
シャロとティアは案内役兼俺の身の回りの世話係だ。まず、王都に行くまでに5日はかかるうえ、筆記試験と実技試験が1週間離れているために滞在する必要があるのだ。
道中では獣人の国を通り、人の国へと入る。
吸血鬼の領地、そして人間の領域は互いに不干渉を決めている。貿易はおろか、人の交流さえも断絶されているらしい。獣人の国では顔を合わせることもあるのだが、その顔の下には敵意が宿っている。
獣人の国を隔てて2つの国は存在していて、吸血鬼の領域は限りなく狭い。フリード曰く、吸血鬼は人数が少ないからとの事だがそれにしても差がありすぎる。
フリードが王であり続けるのは、吸血鬼達が人間の国に侵略することを防ぐためなんだと。それを抑えられる力も凄いが、それ以上にフリードの人格者っぷりに俺は感心した。
▷▶︎▷
約5日の旅も終わりが近づいている。獣人の国でロイドと別れ、今はそこから移動しているのだが、その方法に驚いた。
なんと、鉄道が通っているのだ。獣人の国の首都と人間の国の首都を繋ぐ路線らしいが、まさかこの世界で列車を見ることになるとは思わなかった。
もしかして吸血鬼の領域って結構田舎なのか? なんて思ったりもしたが口には出さなかった。
「列車に乗ってどれくらいで着くんだ?」
「そうですねぇ……1時間くらいかと」
「結構近いんだな」
まぁそれにも納得だ。窓の外を見れば分かるが、列車が出していい速度じゃない。風景は高速で流れていき、ずっと見ていると目が回りそうだ。新幹線は一度しか乗ったことがないが、それより速い気がする。
景色を見たり駅弁を食べたりしていると、列車のアナウンスが流れる。
「終点~ガーフィールド王国です。トンネルを抜けると国中が一望できますのでぇ~初めての方は是非ご覧になってください」
「なんか粋な感じだな」
獣人の国からの観光客も多いらしい。アナウンス通りに窓の外を見ていると、光と共に世界が広がった。
「す、すげぇ……」
列車は国の上空を走っていて、全体が見渡せるようになっている。ただただ、その国の大きさに感動する。首都というだけあってかなりの発展具合だ。建物も多く、西洋の雰囲気を保った東京のようだ。
列車は駅に吸い込まれるように入っていき、ようやく到着した。
「ふぅ、やっと着いたか」
「まずは泊まるところを探さないとですねぇ」
「そうだな、できれば会場に近いところがいいんだけど……」
「アタシ、良い場所知ってるぜ?」
ドヤ顔でそう言い張るティアに連れられ、俺らは宿泊施設へと向かった。
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