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第64話 俺、vsアンノウン

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「無茶だ! アーサーに扱える訳がない! しかもこいつには弾数制限があるんだぞ!」
「しかし、これが最も確実にアンノウンを倒せる方法かと」
「ぐぬぬ」

 俺は、インベントリから銃身に赤い宝石の様な物が一列にくっ付いているライフル銃を取り出す。

「アーサー! お前にこいつを託す!」

 俺はギガンティック・マナ・ブレイカー 神威をアーサーの側に落とす。

「な、何ですか!? この黒くて長いものは!?」
「いいか! 説明してる隙がない! よく聞け! 俺が合図したらそいつをあいつに向かってぶっ放せ! そいつはレーザーライフルって武器で弾数制限があってだな。2発だ! 2発まで撃てる。おまけに撃つのにチャージする必要がある。銃身に付いてる赤い玉が全部緑になったら撃つことが出来る! 正直言って欠点だらけの武器だ! でも、あいつを一撃で倒すにはこいつを使うしかない!」
「で、でも! 僕こんな武器、見たことも使ったこともありません!」
「んな事はわかってる! でも、頼めるのがお前しかいねぇんだ! 大丈夫だ、俺がお前を守る! 指一本触れさせないと約束する!」

 アーサーは恐る恐る、ギガンティック・マナ・ブレイカー 神威を手に取るとアンノウンに向かって構えた。

「勝てたら……新しい技教えて下さいね」
「――いいとも! 技だろうがなんだろうが教えてやる。さっきも言ったが、赤い玉が緑になったら指に掛かっているボタンみたいなのを押せ」
「も、もし撃ちつくしたら――」
「そん時は二人仲良くあの世行きだ。頼んだぞ」

 ギガンティック・マナ・ブレイカー 神威
 ハガセンには、レーザーライフルもしくはレーザー銃という武器がある。
 このレーザーライフル銃は一言で言ってしまえば原子破壊レーザー銃であり、
 撃たれた対象は一定時間の後、原子分解が始まる。という、設定の武器である。

 幾多のレーザーライフル系統において、最悪のクソ武器と言われているのが、ギガンティック・マナ・ブレイカー 神威
 略してギマカである。俗称は文鎮。
 ギマカが何故、最悪のクソ武器と言われているのか? それは偏にデメリットの多さに他ならない。
 まず、レーザー故のMPの消費率の高さからくる弾数制限。ギマガに至っては50%を消費するためMP全開の状態で2発しか撃つことが出来ない。
 そして、最大のデメリットは撃つのにチャージが必要な事。チャージ中は一切の行動が不可能となり、ただの的と化す。
 しかし、そんなクソ武器ギマカだが、当たりさえすればどんなボスでもほぼ一撃で屠る事が出来る。
 勝てば官軍負ければ賊軍を体現した武器、それがギガンティック・マナ・ブレイカー 神威である。

閑話休題。

「行くぞォ! 笑い袋野郎コラァ! 化け物なら容赦はしねぇ! ウエポンセレクト! パイルバンカー黄龍ホアンロン! 弱点がわからねぇならなら全て叩き込むのみ!」

 俺が叫びながら右腕を天に掲げると、右手にワイヤーフレームが生成され、金色の龍を模り虹色に輝く杭のパイルバンカーが生成される。
 こいつの杭は7つ全ての属性を宿している為、弱点がわからない敵に対してこれ以上ないほど有効なのだ。

「ぎゃはははハハあああアアアアア!」

 俺が右腕の換装を済ませたと同時に、アンノウンが腕をムチのように腕を振り回し、俺の首に巻き付いてきた。
 巻き付いた腕は徐々にアンノウンの方へと近づいているようだった。

「まるでB級映画のエイリアンみてぇな攻撃してきやがって!。そんなに近づいて欲しいならお望み通り近づいてやるよ!」

 俺は手刀で腕を切り落とし、ブースターを起動させ勢いそのままに杭を土手っ腹にぶち込んだ。
 虹色の杭が発射され、後ろの壁に打ち付けられたアンノウンはもがき苦しんでいる。

「あはああああああああ!??」

 アンノウンが叫ぶと足から凍り始め、パキパキという音を立てつつ完全に氷の彫像と化した。

「こいつは水属性が弱点だったのか。やはりウィークポイントがわからん的には黄龍ホアンロンに限る。アーサーすまん。それ要らなかったみたい――」

 俺が気を緩めた瞬間、バギっ! という音が聞こえ俺は前に向き直る。

「黄龍ホアンロンの杭を打ち込まれたのにまだ生きてんのか!? マジかよ、とんでもねぇ硬さだ。アーサー! まだか!」
「すいません! 初めてで勝手がよくわからなくて! 赤いのが緑にはなったんですがど、どうすれば良いんでしたっけ!?」
「トリガーを引けええええええええええ!!」

 バギバギっ! という音を立てながら氷がひび割れ、再び出てきたアンノウンは、腹部から緑色の仮面の様なものをした黒い物体が這い出ており、そいつが俺を取り込もうと布状になった瞬間、後ろからバゴン! という音が聞こえ、俺がとっさに伏せると蒼い閃光が疾走り、アンノウンの体がバラバラに砕け散った。
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