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第7話 俺、ギルドマスターと決闘する

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 裏にあるという空き地は結構な広さだ。一対一のデュエルならお誂え向きだろう。

「これよりギルド公認のデュエルを開始します! 禁止事項は3つ! ひとつ! 相手を殺害する事! ふたつ! 範囲攻撃や、魔法スキルの使用! みっつ! 仲間による援護や乱入! これらの行動を禁止とします! 今回勝利条件は特に設定されていないので、相手を屈服させるか武器の破壊及び自らの手から武器が離れた瞬間とします!」

ハキハキとしたウェンディさんの声で決闘のルールが説明される。

「では、始め!」
「いくぞ! 新入りーッ!瞬双雷斬しゅんそうらいざん!!」
「……ッ!」

 始まるやいなや、ヴァルガスは戦士スキルで攻撃してきた。
 凄まじいスピードで、雷を帯びた左右の横薙2連続の斬撃が、俺に迫る。

 俺は上半身を反らし、それを難なく回避する。
 (少なくとも、あの村で出会った世紀末よりはずっと強いようだだな)

「おい、あいつマスターのスキルを避けやがったぞ……」

 外野が何やら驚いているが、俺は努めて無視しヴァルガスの次の行動に注視する。
 俺が本気を出せば、一瞬で間合いを詰めヴァルガスの持っている剣を握り潰せばそれで終いだろう。

 俺には気になる事があった。

 ヒーローのジョブには手加減というスキルがあり、どんな攻撃スキルで相手を攻撃しようがHP10残るというものだ。
 このスキルを起動させ、ヴァルガスを攻撃した場合どうなるのか、知りたいと思ってしまった。

 それにヴァルガスが今は放ったスキルはハガセンで戦士ジョブがレベル30程度で覚えるスキルだ。

「やっぱりな、この世界ハガセンと何か関係がありそうだ」
「ちょこまかと! 避けやがって!」

 ヴァルガスが剣を乱雑に振り、俺はそれを最低限の動作でもって避け続ける。
 乱雑に剣を振っていたヴァルガスが動きを止め、後ろへとさがった。

剛身ごうしん! 流水花りゅうすいか!」
(あれは戦士ジョブ初期のバフで攻撃力と素早さを上げるスキルか……何か、大技が来るっぽいな)
「これで最後だ新入りッ!阿修羅八連斬しゅらはちれんざん!!」

 俺はヴァルガスの発動させた攻撃スキルを見届けつつ、手加減を発動させ前屈みになる。

「なんだぁ? 諦めたのか? だがもう、遅ぇぞ!」
「ガイドウ流剣術奥義 神羅・弐ノ形しんらにのかた
「な――!? 新入りの姿が消えッ」

 バギン! という音と共に、ヴァルガスの持っていた剣の刀身が縦に折れ、左腕が吹き飛び血飛沫をあげつつ、そのまま垂直に吹っ飛ぶ。

 俺が放った技は剣を前屈みになりつつ敵の攻撃がヒットした瞬間、懐に一瞬で移動、死角から上方向に向かって逆袈裟斬りをかますというスキルである。カウンター技だが、予備動作が異常に短い為見てからの回避はほぼ不可能。ダメージソースとして優秀な技の1つだ。

「ぐわああぁ!」
「――しょ、勝者ゲイン!」
「んな事言ってる場合か! おい、ヴァルガス大丈夫か! やりすぎた! 今すぐ治してやるから! エクストラヒール!」

 俺はすぐさまうめき声を唸りながら、倒れているヴァルガスの傷を癒やす。

「騎士がヒールだと……」
「最後のありゃなんだよ……騎士のにーちゃんの姿が一瞬ブレたか思うと、マスターが吹っ飛びやがった……」
「クソ! 死ぬかと思ったぞ! 手加減しろ!」

 いや、手加減なら使ったっつーの!

「お前やっぱ只もんじゃねーな……、今すぐ俺の部屋に来い話がある」
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