美容魔法で美の女神になる

麗月

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プロローグ

え、何してくれてんの?

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 美女幽霊が叫んだ瞬間、景色が切り替わり。
私は、星を散りばめたようなキラキラした空間に立っていた。
 ふ・ざ・け・ん・な。てめぇ、私をどこにつれてきやがった!

 そう怒鳴り散らそうと振り返ると、そこには羽根を生やしてこちらを見やる先程の超絶美女幽霊。心なしか後光がさしているように見える。

「あ……。う、そ……。ホントに女神様なの?」

呆然と立ち尽くす私に盛大な溜め息をプレゼントしてくれた女神様?

「まぁ、突然現れた私も悪いけれど、初対面の私に対して些か礼儀を欠きすぎていたのではなくて?」

じとーっとした視線を私に送る女神様?

「すみませんでしたーーー!!!」

秘技、ジャンピング土下座をかましましたわよ。えぇ、そうですとも。

「ふん。素直に謝る度量はあるのね。見直したわ」

そんな私を鼻で嗤いながら、腕組みをした女神様は。一度深く息を吸い込んだ。

「さて、本題に入るわ。その格好間抜けで愉快だから私は好きだけど話を聞くには不向きな体勢ね。もう立って良いわ」

「かしこまりましたー!」

すかさず立ち上がる私。

「あなたの魂の質はね、私の管理する世界の質に対して非常に近しいの。そして尚且つ地球という上位世界で磨かれた魂は私の世界を変化させるほどの輝きをもつのよ」

「はぁ…」

気のない返事を返すわたし。だって意味がわからなさすぎてついていけない。

「うーん。噛み砕いて言うと。ちょっとあなた私の世界に来てマンネリ化した世界に刺激を与えてくれないかしら?ということよ。おわかり?」

「あー!なるほど納得」

ぽんっと手を打つ私。え?リアクションが古い?ほっとけ!

「ふふ。理解が早くて助かるわ。で、あなたどうする?来てくれる?まぁ、無理と言われても地球でのあなたの存在はすでに抹消させてもらったんだけど」

えー!!なにそれ、選択肢ないじゃん!

「し、仕方ありませんね。地球にはもう居場所がないのであれば、そちらの世界に行くしか道はないのでしょう?」

「ま、そういうことね」

てめぇ、このアマ。さらっと言ってくれる。

「ま、当然。こんな強行突破をかましてくださったのなら何かしら特典を下さるんですよね?」

漫画なら額に青筋を立てているであろう私の迫力満点の笑顔に、若干引き気味の女神様。

「え、えぇ。もちろん。向こうで生きて行くにあたって苦労しないようにはするわ」

「は?何言ってんですか。苦労しないように?当たり前!それ以上の保障をするのが筋ってもんじゃないの!?」

突然キレはじめる私にキョドる女神様。

「ちょ、ちょっと!何よそんなに怒らなくてもいいじゃない!」

「いいや、怒りますね。あなた私をいきなり殺したのと同じですよ?地球には家族もいた、親友も。そして、好きな人もいた。なのにもう逢えないのよ!!あなたのっ……せいで!」

そこまで言って、私は堪えきれず涙が出た。明日、彼と付き合って2年目の記念日だったのに。大事な話があるって言われてたのに。

女神様はそんな私を悲しそうな目で見て肩にポンと手をのせた。

「ごめんなさい。あなたのこと、そこまで深く考えずにこんなことをしてしまって。わかった。あなたの願いを言ってみて?私に叶えられるものならそれを叶えてみせるわ」

「地球にもど「ごめんなさいそれは本当に無理なの」……ですよね」

「質問です。女神様の管理する世界とはどういった世界なのですか?危険なモンスターがいたりする?」

「いるわね。多くの力あるものは冒険者としてモンスターの間引きや街の防衛を担っている。そして、魔法が存在し。そのせいで科学力は成長していないわ」

「魔法の属性やその特性は?」

「魔法の属性は火、水、風、土、光、闇、無の7属性よ。特性としては、基本の4属性は自然魔法。光と闇は精霊魔法。無属性は固有魔法と属性によって扱い方が変わるわ。普通の人間は基本の4属性のうち1属性を宿して生を受け、それを磨いていく。光と闇は精霊と波長があい、なおかつ精霊と親密になれれば契約して扱うことが出来るけれど本当にごくまれね。無属性は発現する者としない者がいて、発現した者によってその能力が異なるわ。こんなところかしらね」

ふむ。なるほど。

「でしたら、私に基本の4属性全ての最高のスキルレベルの付与と光の精霊の加護を。光の魔法は回復魔法を含みますか?」

「回復魔法は水の最上級魔法と、光の初期魔法~最上級魔法で扱うことが出来るわ。まれに無属性で回復魔法を扱うことが出来る者がいるみたいだけれど」

「なら、やはり光の精霊の加護を。あと、無属性魔法で無限収納インベントリ美容魔法エステマジックを下さい」

美容魔法エステマジックとは何かしら?」

「私が思い描くメイクをメイク道具なしで自動的に施したり、お肌の調子を整えたり、シミや皺をなくしたりするものです。女の夢です」

「へー。おもしろそうね良いわよ」

あれやこれや、と注文をつけてようやくすりあわせが終わった。

「さて、まだ心の傷は癒えないけど。そろそろ女神様の世界に行きますかね」

「う、本当に悪かったわよ。私の世界で素敵な恋が見つかることを祈っているわ。ほんの気休めだけれど私の加護を授けるわ。困ったことがあれば、神殿に寄りなさい。私の力の一部が発現できるようになるからそこで相談にのるわ」

なんだかんだ言って強引だけど、面倒見はいいんだなこの女神様。

「ありがとうございます。必ず伺いますね!」

「あなたの人生に幸多からんことを!」

女神様がそう言うと私の身体が発光し、やがて意識が遠のいていった……。


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