「武器屋があるからお前など必要ない」と追放された鍛冶師は伝説の武器を作り、無双する～今更俺の武器が必要だと土下座したところでもう遅い～

7

翌日、俺たちは村人たちに見送られながら村を後にすると、街道を進んでいた。


「アーク様、次はどこに行きましょうか？」


ノエルが尋ねてきた。


「そうだな……せっかくだし、このまま港町に行ってみないか？」


俺が提案すると、二人は賛成してくれた。俺たちは海を目指して進んでいく……。港町に着いた俺たちを出迎えたのは色とりどりの魚介類だった。魚市場には多くの人々が集まり賑わいを見せている。ノエルは目を輝かせながらそれらを眺めていた。そんな彼女を微笑ましく見つめていると、不意に声をかけられた。


「おや、アークさん！」


振り返るとそこにいたのはガナード伯爵だった。彼の背後には執事のセバスンもいる。


「こんなところで会えるとは奇遇ですね！ どうです、私と一緒に食事でもしながら話をしませんか？」


ガナード伯爵の提案に俺は頷いた。せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらおう……。こうして俺たちはガナード伯爵と共に食事をすることになったのである……。食事の席では俺たちはお互いの近況を語り合ったり、それぞれの旅の思い出について語り合ったりした。特に俺とノエルの旅の話はガナード伯爵にとってかなり興味深い話だったようだ。


「いやあ、実に興味深い話でしたよ」


食事を終えるとガナード伯爵が嬉しそうに言った。


「ところでぜひ君に受けてもらいたい仕事があるのですが」


「仕事？」


「はい。実はとある遺跡の調査をしてほしいのです」


ガナード伯爵はそう言うと、地図を取り出した。そこには確かに小さな遺跡が描かれていた。


「この近くに古い遺跡があるのですが、最近になって魔物が住み着いてしまったようなのです」


「なるほど……」


俺は頷くと、少し考えてから言った。


「分かりました。その依頼引き受けます！」


こうして俺たちは新たな依頼を受けることになったのだった……。


◇


俺たちは目的地である古い遺跡へと向かった。その道中では多くの魔物が現れたが、俺とノエルの力をもってすれば何のことはない相手だった。そして日が暮れる前に俺たちは目的地へと辿り着く。そこは深い森の奥にある洞窟だった。入り口から中を覗き込んでみるが、真っ暗で何も見えない。


「アーク様、どうしますか？」


ノエルが尋ねてきた。俺は少し考えてから答えることにした。


「とりあえず俺が先に中に入ってみるよ」


そう言うと、俺は【暗視】のスキルを発動させる。そしてそのまま中に足を踏み入れた……すると周囲の暗闇に順応して視界が鮮明になっていくのが分かった。これなら問題なく進めるだろう……そう判断した俺はノエルたちに合図を送った。


「よし、大丈夫そうだ。皆も俺についてきてくれ」


俺は仲間たちと共に遺跡の中へと足を踏み入れた……。中に入ると、そこは広い空間になっていた。壁や天井には古代の文明のものと思われる文字が刻まれている。そして正面の壁には巨大な扉があった。恐らくこの先に地下へと続く階段があるのだろう……。俺は慎重に歩き始めた。するとその時、急にノエルが大声を上げた。


「アーク様！ あそこに何かいます！」


ノエルの視線の先には巨大なムカデのような魔物がいた。その体は漆黒で、無数の足が蠢いているのが見えた……。奴はこちらを威嚇するように睨みつけてくる。


「アーク様、ここは私が……」


ノエルは一歩前に出ると、魔力を高め始めた。そして一気に魔法を解き放つ……。凄まじい爆発が魔物を襲ったが、それでもまだ生きていたようだ。


「アーク様！ トドメをお願いします！」


「分かった！ 任せてくれ」


俺は剣を構えると一気に駆け出した……！そして跳躍するとそのまま剣を振り下ろす……。ズシャッという音と共に魔物の頭が真っ二つに割れたのだった……。次の瞬間に魔物の身体は煙のように消滅したのだった……。


「ふう……」


ノエルは小さく息をつくと、こちらを振り返った。


「アーク様、お疲れ様でした」


「ああ、ノエルもお疲れ様」


俺たちは遺跡を出ると、ガナード伯爵に報告をするため港町に戻るのだった。ガナード伯爵は俺たちの話を聞くと、満足そうに頷いた。


「ありがとうございます、アークさん。これでまた一つ遺跡の謎が解明されました」


ガナード伯爵はそう言うと、俺に報酬の入った袋を手渡してきた。ずっしりと重い……どうやらかなりの大金が入っているようだ。


「それとこれは私からの感謝の気持ちです」


そう言って彼は小さな宝石箱を取り出して開いた。中には美しい指輪が入っていた。


「これは……？」


俺が尋ねると、ガナード伯爵は微笑みながら答えた。


「それは【魔道具】と呼ばれるものでして、身に着けると魔力を上昇させる効果があります」


その後、俺たちはガナード伯爵たちに別れを告げると次の目的地へと向かうことにした……。