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カーテンから差し込む朝日に照らされて、目覚ましのアラームが鳴る前に、私は自然と目を覚ました。


「うーん……もう朝か……」


朝食を食べて身支度を整え、家を出る。いつも通りの日常の始まりだ。通学路を歩いていると後ろから声をかけられる。


「おはよう! クロエ」


振り返るとそこにはエミリーがいた。彼女は私の親友で、いつも一緒にいることが多い。今日もこうして一緒に学校に向かっているところだ。


「おはよー! 今日のテスト自信ある?」と私が聞くと、彼女は笑顔で答えた。


「全然ダメかも……昨日遅くまで勉強してたのに……」と言ってため息をつく彼女に私は苦笑しつつ励ましの言葉を送った。


そんなやり取りをしている内に学校に着いた。下駄箱で上履きに履き替えていると、ラインハルト様が抱き着いてくる。


「おはようクロエ。今日も可愛いな」


「ちょ、ちょっとラインハルト様! 離れて下さい!」と私は抗議するが彼は全く聞く耳を持たない。それどころか更に強く抱きしめられてしまう始末だ。


「いいじゃないか。減るもんじゃないだろう?」と言って彼は私の頬に軽く口づけをした。


その瞬間、周囲から黄色い歓声が上がる。恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。しかし同時に胸が高鳴るのを抑えられなかった。


「全く……朝から騒々しいですね」とエミリーがため息をつく。彼女は私とラインハルト様を引き剥がすと、そのまま手を引いて教室まで連れて行ってくれた。


授業が始まるまでの間、私は教科書を読み返すことにした。すると隣の席に座るエミリーが話しかけてきた。


「クロエって本当に勉強熱心だよねー」と言うと、彼女は感心した様子で私を見つめた。


「そんなことないよ。ただ苦手な教科を無くしたいだけ」と答える私にエミリーは微笑みながら言う。


「でも偉いと思うよ? 私なんて全然やる気出ないもん」と言って肩をすくめる彼女を見ていると思わず笑みがこぼれてしまった。


エミリーと一緒に過ごす時間は私にとって何よりも大切なものだった。彼女の優しさに触れ、彼女との友情を深める度に、私はますます彼女に惹かれていったのだ。


「ねえクロエ、今度一緒にショッピング行かない?」とエミリーが言うので、私は喜んで了承した。


そして当日、私たちは街へ出かけた。まずは洋服を見に行くことにした。二人で色々なお店を見て回るうちにあっという間に時間が過ぎていく。そして最後に立ち寄ったカフェで休憩することにした。


「ふぅ……結構歩いたねー」と言いながらエミリーが椅子に腰掛ける。私も隣に座りながら答えた。


「そうだね。でも楽しかったよ!」と言って微笑む私を見て、彼女も嬉しそうな表情を浮かべた。


そうやってお喋りしていると、数人の男たちがこちらに近づいてくる。


「よう姉ちゃんたち! 俺たちと一緒に遊ばない?」と言って一人の男が話しかけてきた。スキンヘッドの大柄な男だ。その周りには取り巻きらしき男たちもいる。


「いえ結構です!」とエミリーが即答すると同時に、男たちは大声で笑い出した。そしてそのまま私たちの前に立って立ち塞がる。


「そんなこと言わずにさぁ……ちょっとくらい付き合えよ」と言う男の口調には有無を言わせぬ迫力があった。


「やめろ!」


その時、後ろから強い声が響いた。振り返ると、そこにはラインハルト様が立っていた。彼の目は鋭く、まるで獲物を狙う猛禽のようだった。


「彼女たちに迷惑をかけるな。さっさと消え失せろ」


ラインハルト様の冷たい声に男たちは一瞬ひるんだが、スキンヘッドの男が不敵に笑う。


「お前が何者だか知らねぇが、俺たちに指図すんじゃねぇよ」


その瞬間、ラインハルト様が一歩前に出た。その動きは驚くほど素早く、力強かった。男たちの一人が何かを言おうとしたが、次の瞬間にはラインハルト様の拳が彼の顔面に炸裂していた。スキンヘッドの男が倒れると、残りの男たちは慌てて逃げ出した。


「大丈夫か?」ラインハルト様は私たちに優しく問いかけた。


「う、うん。ありがとう、ラインハルト様」と私は震えながら答えた。


「本当に助かったよ。ありがとう、ラインハルト様」とエミリーも感謝の言葉を述べた。


「気にするな。君たちが無事で良かった」と言ってラインハルト様は微笑んだ。その笑顔に、私の胸の高鳴りは一層強くなった。


その後、カフェでの緊張が解けた私たちは、気まずさを感じることなく再び談笑を始めた。


「ねえクロエ、びっくりしたね。でも本当にラインハルト様が来てくれて良かった」とエミリーが言った。


「うん、あの人って本当に頼りになるよね」と答えながら、私の心は少しずつ落ち着きを取り戻していた。


「それにしても、クロエは人気者だね。ラインハルト様もあんなに真剣に君のことを守ってくれるなんて」とエミリーがからかうように言うと、私は顔を赤らめてしまった。


「そんなことないよ……ラインハルト様はただの親切な友達だよ」と言い訳する私に、エミリーはにやりと笑った。


「本当に? それなら良いけど。でも、もし彼に特別な感情を持っているなら、ちゃんと伝えた方がいいんじゃない?」


エミリーの言葉に、私は少し驚いた。彼女の言うことは正しいかもしれない。自分の気持ちに正直になるべきだろう。でも、それがどれだけ怖いことかも知っていた。


「エミリー、ありがとう。少し考えてみる」と答えた私に、彼女は優しく微笑んだ。


その日の夕方、家に帰ってからも、ラインハルト様のことが頭から離れなかった。彼の笑顔や優しい声、そして今日の勇敢な姿が何度も思い出された。


「どうしよう……やっぱり私はラインハルト様のことが好きなんだ」と自分に正直になる決意をした。


翌日、学校に行くと、ラインハルト様がいつもの場所で私を待っていた。彼の姿を見て、私の心は一層早く鼓動を打った。


「おはよう、クロエ。昨日は大丈夫だった?」と彼が心配そうに聞いてきた。


「うん、ありがとう。ラインハルト様のおかげで無事だったよ」と私は微笑んで答えた。


「それなら良かった」と彼は安堵の表情を浮かべた。


その時、私は意を決して彼に話しかけた。


「ラインハルト様、少し話したいことがあるんだけど……放課後、時間あるかな?」


彼は少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。


「もちろん、何でも話してくれ」と答える彼の言葉に、私は胸の中に溢れる感情を抑えきれなくなった。


放課後、学校の裏庭で待ち合わせた私たちは、静かな場所で向かい合った。私は深呼吸をして、自分の気持ちを素直に伝える準備をした。


「ラインハルト様、実は……」と話し始めると、彼は真剣な表情で私を見つめた。


「私は……ラインハルト様のことが好きです。ずっと前から……あなたに恋をしていました」と告白した瞬間、彼の目が驚きと喜びで輝いた。


「クロエ……君の気持ちを聞けて本当に嬉しいよ。実は、私も君のことがずっと好きだった」と彼は優しく微笑んだ。


その言葉を聞いた瞬間、私の心は喜びで満たされた。私たちはお互いの気持ちを確かめ合い、手を取り合って新しい未来に向かって歩み始めた。
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