転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

20

次の日、私は生徒会から呼び出しを受けました。生徒会室に入ると、ラインハルト様の姿がありました。


「やあ、クロエ、よく来てくれたね」


「こんにちは、ラインハルト様。どのようなご用件でしょうか？」


すると彼は真剣な表情になり、こう言いました。


「実は……君に大事な話があるんだ……」


「大事な話？」


「生徒会に入ってくれないかな？ クロエと一緒に働きたいと思ったんだ」


突然の申し出に驚きながらも、私は考え込みました。確かに生徒会の仕事に興味はあるけれど、私に務まるかどうか心配です。するとフィーナ様が入ってきました。


「クロエちゃんならきっとできるわよ。私からもお願いするわ」


そう言って私の手を握ってくれたのです。そして他の役員も集まり始めました。みんなは私のことを認めてくれているようで嬉しくなります。ラインハルト様が再度尋ねます。


「どうかな？ 入ってくれるかい？」


私は決意を固め、答えを出しました。


「はい！ よろしくお願いします！」


こうして私は生徒会の一員となり、新たな活動に胸を躍らせていたのでした。


「最初の仕事として、この資料をまとめてもらいたいんだ」


ラインハルト様が書類の束を机に置きました。私はそれを手に取りながら尋ねます。


「どのような内容でしょうか？」


「生徒会の活動記録だよ。これから定期的に発行する予定だから、しっかり目を通しておいてくれ」


「分かりました！」


こうして私は初めての仕事に取り組み始めたのです。最初は戸惑いもありましたが、次第に慣れてくると楽しくなってきました。


「大変だ！」


簿記のエドワードさんが突然生徒会室に駆け込んできました。


「どうしたんですか、エドワードさん？」


「予算が足りなくなったんだ。このままだと活動に支障が出るかもしれない」


私たちは頭を抱えました。このままでは生徒会の活動ができなくなるかもしれません。


「どうすればいいんだ？」


ラインハルト様が焦っています。その時、フィーナ様が提案しました。


「予算を集めるために、バザーを開きましょう！」


フィーナ様の提案に皆が目を見張りました。バザーは学内外から多くの人々を引き付けることができるイベントであり、生徒会の活動資金を集めるためには最適かもしれません。


「バザーですか……確かにそれなら資金を集めることができるかもしれませんね」と私は同意しました。


「賛成だ！」とラインハルト様が力強く頷きます。「では、早速準備に取り掛かろう。クロエ、君にはバザーの企画と運営を任せたい。フィーナと一緒にやってもらえるかい？」


「はい、ラインハルト様！ 頑張ります！」と私は意気込みを見せました。


翌日から、フィーナ様と私はバザーの企画を進めました。ブースの配置や出展者の募集、さらには宣伝活動まで、やるべきことは山ほどありましたが、フィーナ様のリーダーシップと私の実行力で順調に進めることができました。


「準備が整ったわね、クロエちゃん。あとは当日を待つだけね」とフィーナ様が満足げに微笑みました。


「本当にありがとうございました、フィーナ様。これも皆さんの協力のおかげです」と私は感謝の気持ちを述べました。


そして、バザー当日。校庭は色とりどりのブースで賑わい、多くの人々が訪れていました。出展者たちもそれぞれの特技を生かした商品を並べ、活気に満ちていました。


「クロエ、どうだい？ バザーは成功しそうか？」とラインハルト様が声をかけてきました。


「はい、皆さんのおかげで大成功です！ お客様もたくさん来てくださってます」と私は笑顔で応えました。


その時、一人の女性がブースを訪れました。彼女は落ち着いた雰囲気を持ち、目立たないがどこか特別な存在感を放っていました。


「こちらの商品は手作りですか？」と彼女が尋ねてきました。


「はい、そうです。学生たちが心を込めて作ったものばかりです」と私は答えました。


「とても素敵ですね。購入させていただきます」と彼女が微笑みました。


その後もバザーは盛況のまま進み、無事に終了しました。結果的に予算を大幅に上回る収益を上げることができ、生徒会の活動資金は安泰となりました。


「クロエ、素晴らしい仕事だった。君の努力がなければ、この成功はなかったよ」とラインハルト様が感謝の意を伝えました。


「ありがとうございます、ラインハルト様。でも、これは皆さんのおかげです。皆の協力があってこそ、成功できたんです」と私は謙虚に答えました。


そして、私たちはバザーの成功を祝して、夜の学園で乾杯を交わしました。フィーナ様や他のメンバーたちとの絆がさらに深まった一日となりました……。


「バザーが成功したのはクロエのおかげだよ」とエドワードさんが笑顔で言いました。


「いやいや、みんなの協力があったからこそです」と私は照れながら答えました。


その夜、私たちは学園の中庭でささやかな祝賀会を開きました。ライトアップされた木々の下で、皆が楽しそうに話し、笑い合っていました。


「クロエ、ちょっといいか？」ラインハルト様が私に近づいてきました。「少し話がしたいんだ」


「はい、ラインハルト様」と私は答え、二人で少し離れたベンチに座りました。


「今日のバザー、本当に素晴らしかった。君のリーダーシップと努力に感謝しているよ」とラインハルト様が言いました。


「ありがとうございます。でも、本当に皆の協力があってこそです」と私は再び答えました。


「そうだな。でも、君が生徒会に入ってくれて本当に良かった。これからも一緒に頑張っていこう」と彼は優しく微笑みました。


「はい、ラインハルト様」と私は心から答えました。


その時、遠くからフィーナ様の声が聞こえてきました。「クロエちゃん、ラインハルト様、こちらにいらして！みんなで写真を撮りましょう！」


私たちは立ち上がり、皆の元へと戻りました。カメラの前に立ち、フィーナ様がシャッターを押す瞬間、私は新しい日々に向けての決意を新たにしました。これからも、生徒会の一員として、仲間たちと共に学園生活を盛り上げていこうと心に誓ったのでした。