転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

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昨日の一件から、エミリーとは一言も喋っていない。それどころか目も合わせないようにしていたせいか、彼女は明らかに不機嫌そうな表情を浮かべていたように思える……。しかしそれでも構わずに過ごしていたのだが、昼休みになると突然彼女の方から話しかけてきたのだった……！


「ねぇクロエちゃん」


その声にビクッとなった私は恐る恐る振り向くとそこには笑顔を浮かべているエミリーの姿があったのである。その表情を見た瞬間嫌な予感を感じたのだが逃げるわけにもいかずに返事をすることにしたのだ。すると案の定と言うべきかやはりと言うべきか予想通りの言葉が出てきたのである……。


「……なに？」


私が聞き返すと彼女は笑顔で言ったのである……。


「今日の放課後、屋上に来てくれない？」


その言葉に私は思わず絶句してしまったのだが、それでもなんとか平静を装って聞き返したのだ……。するとエミリーは満面の笑みを浮かべながら答えたのである。


「もちろん来てくれるよね？」


その言葉を聞いた瞬間、私は背筋が凍り付くような感覚に襲われたのだがそれでも断ることができなかったため渋々了承することにしたのだった。そして放課後になると言われた通り屋上へと向かったのだがそこには既に彼女が待っていたようだった……。


「クロエちゃん！待ってたよ！」


そう言ってこちらに駆け寄ってきた彼女の表情はいつも通りの明るいものだったため少しだけ安心することができたのだが、それでもまだ不安が残っていることは確かだったので思い切って聞いてみることにしたのだった。


「それで話って何？」


そう尋ねると彼女は少し考える素振りを見せた後で答えたのである……。それは私にとって予想外の言葉だった……！


「これからリチャードがここに来るわ」


その言葉に一瞬何を言っているのか理解できなかったのだが、すぐに我に帰ると慌てて止めに入ったのだった！しかし彼女は全く聞く耳を持ってくれなかったため仕方なく承諾するしかなかったのである……。そしてしばらくするとリチャードが現れたのだ……！


「待たせたな」


私は緊張してしまい言葉が出てこなかったのだがそんな私に代わってエミリーが口を開いたのである……！


「リチャードさん、あなたに伝えたいことがあるの」


その言葉に彼は不思議そうな顔をしていたが特に気にする様子もなく続きを促したのだ。すると彼女は意を決したように口を開いたのである……！


「実は私……あなたのことが好きなの……！」


それを聞いた瞬間、私は思わず声を上げそうになってしまったのだが何とか堪えることに成功したようだ……。しかしそれでも心臓の鼓動が激しくなっていることだけははっきりと自覚できたのである……！ そんな私とは対照的にエミリーは全く動じることなく続けたのだった……。


「だからお願い！ 私と付き合ってください！！」


そんな彼女の言葉に対してリチャードは少し戸惑った様子を見せていたがやがて答えたのである。


「ありがとうエミリー、気持ちは嬉しいけどごめん……その気持ちには応えられないよ……」


それを聞いた途端、エミリーの表情が悲しげに曇ったような気がしたがそれでも諦めずに食い下がろうとしていたのだった……！ しかしそんな彼女の様子を察してかリチャードは続けて言ったのだ。それは意外な言葉だった……。


「俺が好きなのはクロエだ」


その言葉にエミリーはショックを受けていたようだが、それでもまだ諦めきれないといった様子だったのである……！ そんな彼女に対してリチャードはさらに続けたのだった。


「それにお前とは友達以上になるつもりはないからな」


そんな彼の言葉を聞いた瞬間、エミリーの表情が絶望の色に染まったように見えたのだがそれでも必死に取り繕おうとしていたようだ……。そして遂に耐えきれなくなったのかその場から走り去ってしまったのだが、私はそれを呆然と見つめることしかできなかったのである……。


「 これで良かったのか？」


そう尋ねてきたリチャードに対して私は何も答えることができなかった……。ただ黙って俯くことしかできなかったのである……。そんな私の態度を見た彼はそれ以上何も言わずにその場を後にしてしまったのだった。そして残された私はしばらくの間、その場から動くことができなかったのだ……。


（どうしてこんなことになったんだろう……？）


そんなことを考えていたせいか自然と涙が溢れ出してきたがそれを拭う気力すら残っていなかったようだ……。その後の授業は全く頭に入らなかったし食事もほとんど喉を通らなかったほどだった……。そして夜になっても全く寝付けずに悶々とした時間を過ごしていたのだ……。