上 下
12 / 30

12

しおりを挟む
翌日、俺たちは冒険者ギルドに向かう途中、魔物の反応を察知する。


『主よ。誰かが魔物と戦っているようだ』


「分かった。すぐに向かうよ」


そこには、3人の冒険者らしきパーティーがいた。赤い鎧を着た剣士の少女に、杖を持った魔法使いの少女と、修道服を着た僧侶の少女。彼女たちの前には、巨大な蛇の魔物がいた。


「あれは……ヒュドラか?」


見たところ、彼女たちの戦力ではヒュドラには敵わないだろう……。俺はすぐに駆け出すと、少女たちと魔物の間に割って入った。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」


ヒュドラは雄叫びを上げると、毒液を吐き出した。俺は魔法障壁を展開すると、それを防いだ。


「はあっ!」


剣を軽く振ると、ヒュドラはサイコロステーキのように細切れになった。俺は少女たちの方を振り返る。


「大丈夫か?」


俺が尋ねると、彼女たちは安堵の表情を浮かべた。そして俺の前に跪くと頭を下げる。


「助けていただきありがとうございました」


「気にしないでいいよ。それより怪我はない?」


俺が尋ねると、彼女たちは首を横に振る。


「いえ、大丈夫です」


どうやら問題ないようだ……。良かった……。しかし、念のために治癒魔法をかけておこうかな? 俺は少女たちに手をかざすと、治癒魔法をかけた。すると彼女たちの傷が癒えていく……。


「これは……」


魔法使いの少女が驚くような表情を浮かべる。僧侶の少女も驚いていたが、すぐに嬉しそうな表情を見せた。


「すごいです! 傷が治りました!!」


「じゃあ、これで」


「ま、待ってください!」


俺が立ち去ろうとすると、魔法使いの少女が呼び止めてきた。


「どうした?」


「あの……私たちを鍛えていただけませんか?」


「え?」


突然の申し出に俺は驚いた。この子たちは一体何を言い出すんだ……?


「私たちは冒険者になってからまだ日が浅く、ランクも低いです……。ですが、このまま弱いままでは駄目なんです!」


彼女は真剣な眼差しで見つめてくる。その目には強い意志が感じられた。


(そうか……この子たちは強くなりたいんだな……)


その気持ちは痛いほど分かった。俺だってアルシャや仲間たちを守るために強くなりたいと思っていたから……。だから、彼女たちの気持ちは痛いほど分かる……。


「分かった。俺で良ければ力になろう」


俺が答えると、少女たちの顔が明るくなった。


「ありがとうございます!」


さっそく彼女たちを屋敷に招待することにした。


「さあ、ついてきてくれ」


「はい!」


彼女たちは元気よく返事をすると、俺の後についてくる……。その表情はとても嬉しそうだった。

屋敷に到着すると、少女たちを応接室に案内する。ソファーに座るよう促すと、お茶を用意した。


「まずは自己紹介しようか」


「はい! 私はソフィアです! よろしくお願いします!」


魔法使いの少女が元気よく名乗る。ソフィアは金髪碧眼で美しい顔立ちをしている。年齢はアルシャと同じくらいだろうか?


「私はロゼです」


剣士の少女が答える。ロゼは銀髪碧眼で落ち着いた雰囲気を漂わせていた。彼女もソフィアと同じく美少女である。年齢は17歳くらいだろう……。


「私はアニーと申します」


3人目は、修道服を着た少女だ。金髪碧眼で少しおどおどしているように見える。年齢は14歳くらいだろう……。


「よろしくね。それで、どうして強くなりたいと思ったの?」


「はい……私たち3人は幼馴染なんです」


ソフィアが説明してくれる。彼女たちは幼い頃に出会い、ずっと仲良く過ごしてきたそうだ。そして冒険者になってからも、3人でパーティーを組んで活動しているという。


「でも、最近思うんです……。私たちはまだ弱いって」


ソフィアは悔しそうな表情で言う。他の2人も同意見のようだ……。確かに彼女たちの言う通りかもしれない。これからもっと強くなれる可能性はあるが、今のままでは限界があるだろう……。


「だからお願いします! 私たちを強くしてください!」


ソフィアたちは頭を下げてお願いする。俺はしばらく考え込んだ後、答えた。


「事情は分かったよ。俺でどれだけ力になれるか分からないけど、協力させてもらうよ」


俺がそう言うと、三人とも嬉しそうな表情を浮かべる


「ありがとうございます!!!」


彼女たちは感謝の言葉を口にすると、深々と頭を下げた……。


「まずはこの本を読んでくれ」


俺は魔法書を取り出すと、ソフィアたちに渡す。彼女たちは興味津々といった様子で受け取った。


「この本を読むだけで、魔法やスキルが使えるようになるんですか!?」


ソフィアが驚きの声を上げる。他の二人も目を見開いていた。


「ああ、そうだよ。協力な魔法やスキルが使えるようになれば、冒険者としてのランクも上がるはずだ」


「ほ、本当ですか!?」


ソフィアたちは興奮気味に聞いてくる。俺は笑顔で頷いた。


「本当だよ。それじゃあ早速読んでみて」


「はい!」


三人は元気よく返事をすると、魔法書を読み始めた。





「フレイムボルケーノ!」


「ストームスラッシュ!」


「ホーリーライトニング!」


数時間後、三人はヒュドラを倒せるまで成長していた。


「凄い……こんな簡単に……」


ソフィアは自分の両手を見つめ、呆然としている。他の二人も同じような表情だ。


「ソフィアたちが優秀だからだよ」


俺が褒めると、三人は照れたように笑う。そして俺に駆け寄ってくると、一斉に抱きついた。


「ナオトさんのおかげです!」


「ありがとうございます!」


「感謝します!」


3人は笑顔でお礼を言う。俺は微笑むと、3人の頭を撫でた。


「君たちはこれからもっと強くなるよ」


「はい!」


3人は元気よく返事をした。彼女たちの笑顔を見ていると、俺も嬉しくなってくる……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜

平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。 26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。 最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。 レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...