上 下
15 / 20

15

しおりを挟む
悪魔教団が壊滅してから数週間後、私たちは冒険者ギルドで依頼を受ける日々を送りました。あの恐ろしい森での戦いは、私たちにとって忘れられない経験でした。しかし同時に、私たちの絆も深まったように感じます。リディアさんやエドワードさんと共に冒険できることを嬉しく思っています。

「さて、次の依頼は何にする?」とエドワードさんが尋ねます。


私は考え込みましたが……ふとあることを思い出しました。


「……そういえば、最近この辺りに『幽霊屋敷』と呼ばれる場所があるらしいですよ」と私は言いました。


するとリディアさんも興味津々といった様子で身を乗り出してきます。「幽霊屋敷か……面白そうね」


私たちはさっそくその場所へ行ってみることにしました。道中で様々なモンスターと戦いながら進んでいきますが、特に苦戦することなく目的地へとたどり着きました。そこには古びた洋館のような建物がありました。


「これが『幽霊屋敷』か……」とエドワードさんが呟きます。


私はゆっくりと扉を開きました。すると中は薄暗く、埃っぽい臭いが立ち込めていました。一歩足を踏み入れた瞬間から、背筋がゾクッとするような感覚に襲われました……。


「これは……かなり不気味だな……」とエドワードさんが呟きました。


私たちは慎重に進み始めました。すると突然、目の前に大きな鏡が現れました。全身が映るほどの大きさで、まるで私たちの姿を映しているかのようです。しかし次の瞬間、その鏡に映っていたはずの私たちの姿が消えてしまったのです!驚いて振り返ると、そこにも同じ姿の私たちが立っていました。


私は混乱してしまいましたが、すぐに冷静を取り戻しました。どうやらこの屋敷は幻影を見せる魔法が使われているようです。おそらく悪魔教団が使っていたものでしょう。


「気をつけるんだ」とエドワードさんが言いました。


私は頷き、慎重に進んでいきます。すると突然、目の前に一人の女性が現れました……その姿はまるで幽霊のようでした。女性は悲しげな表情を浮かべながらこちらを見つめています。


「あなたは……?」と私が尋ねると、彼女は静かに語り始めました。


「私はこの館の主です……」と言ってから彼女は再び口を閉ざしました。しかし彼女の目は何かを訴えかけているように見えました。


「何か言いたいことがあるんですか?」と私は尋ねました。


「はい……」女性はそう答えると、ゆっくりと語り始めました。「この館には呪いがかけられています……そのせいで何人もの人々が犠牲になっています」


私たちは彼女の話を聞いて驚きを隠せませんでした。まさかそんな恐ろしいものがこの館にあったなんて……。


「どうすればその呪いを解くことができるのですか?」と私が尋ねると、彼女は悲しげに答えました。


「それは私にもわかりません……しかし一つだけ方法があるのです」


「それは……?」


「この館には地下迷宮があります……その奥に生息するカース・フェンリルを倒すことができれば、呪いを解くことができるかもしれません」


私は思わず息を飲みました。まさかそんな化け物がいるとは思いもしなかったからです。しかしやるしかありません……そうしなければこの館にかけられた呪いは解けないのですから。


私たちは決意を固めると、地下迷宮へと向かうことにしました。その道中で様々なモンスターとの戦いがありましたが、特に苦戦することもなく目的地へとたどり着きました。そこは大きな扉のある部屋でした。おそらくこの先には恐ろしい怪物が待ち構えているのでしょう……緊張が高まります。

「行くぞ」とエドワードさんが呟きました。私たちはゆっくりと扉を開け、中へと入っていきます。するとそこには巨大なドラゴンが待ち構えていました。鋭い牙と爪を持ち、こちらを睨みつけています。


「こいつがカース・フェンリルか……」とエドワードさんが呟きます。「かなり強そうだな……」


私は剣を構えながら一歩前に進み出ました。すると突然、カース・フェンリルが口を開き、炎の球を吐き出してきました!私は慌てて回避しましたが、その衝撃で吹き飛ばされてしまいました。「大丈夫か!?」とエドワードさんが叫びます。


私は立ち上がり、再び剣を構えました。そしてカース・フェンリルに向かって突撃しました!しかし今度は爪による攻撃が襲いかかってきました。私はその攻撃を何とか避けましたが、今度は鋭い牙で噛みつかれそうになりました。


「危ない!」と言ってリディアさんが魔法を唱えました。彼女の杖から光の矢が放たれ、カース・フェンリルの体に突き刺さります。すると一瞬動きが鈍った隙をついて、私は剣を振り下ろしました。カース・フェンリルの体に大きな傷をつけましたが、致命傷には至りませんでした……しかしそれでもかなりのダメージを与えたようです。


私たちは一旦後退し、態勢を整えます。そして再び攻撃を再開しました。今度はリディアさんの魔法と私の剣技を組み合わせたコンビネーション攻撃です!彼女の魔法で動きを鈍らせ、その隙に私が攻撃を仕掛けるのです。


「これで終わりだ!」と言ってエドワードさんが飛びかかります。彼の剣がカース・フェンリルの首を斬り落としました。


カース・フェンリルは断末魔の叫びを上げ、倒れ込みました……そしてそのまま動かなくなりました。


「やった!」


すると屋敷全体が光に包まれ、呪いが解けていくのを感じました。どうやら呪いを解くことができたようです!


「ありがとう。あなたたちのおかげで呪いを解くことができました」


女性は私たちにお礼を言うと、ゆっくりと姿を消していきました。


「これでもう大丈夫だ」とエドワードさんは言いました。


「ええ、そうね……」リディアさんも安堵の表情を浮かべました。


私たちは館を出て、帰路につきました……そしてこれからも冒険を続ける決意を新たにしました。この屋敷での経験は決して忘れませんし、これからもっと強くなっていこうと思っています。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな
恋愛
 何度生まれ変わっても、私の未来には死しかない。  死んで異世界転生したら、旦那に虐げられる侯爵夫人だった。  死んだ後、再び転生を果たしたら、今度は親に虐げられる伯爵令嬢だった。  三度目は、婚約者に婚約破棄された挙句に国外追放され夜盗に殺される公爵令嬢。  四度目は、聖女だと偽ったと冤罪をかけられ処刑される平民。  さすがにもう許せないと神様に猛抗議しました。  こんな結末しかない転生なら、もう転生しなくていいとまで言いました。  こんな転生なら、いっそ亀の方が何倍もいいくらいです。  私の怒りに、神様は言いました。 次こそは誰にも虐げられない未来を、とー

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

処理中です...