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ある日のこと。俺たちは新しく発見されたダンジョン【竜の墓】にやってきた。このダンジョンは地下100階まであり、最下層には財宝が眠っていると言われている。


「今回は探索が目的だから、無理して下に降りる必要はないからな」


「はい!」


「分かったわ」


エステルとルシアが元気よく返事をする。このダンジョンは下層に行くにつれて難易度が上がっていくため、慎重に進まなければならない。そのため今回はダンジョン探索を優先するつもりだ。


「ギギィ!」


早速、スケルトンの群れが姿を現す。俺たちは戦闘態勢に入った。


「まずは私が行くわ」


セレナさんが剣を抜いて飛び出す。すると彼女の体が輝き始めた。どうやら魔力で身体強化をしているようだ。そのまま一気に加速すると、剣を振り下ろす。斬撃を受けたスケルトンたちは粉々に砕け散った。


「凄い威力だ……」


俺はセレナさんの剣技に驚く。彼女の剣の腕は俺以上かもしれない。


「私も負けてられない!」


エステルも杖を構えると、呪文を唱えた。すると光の玉が出現してスケルトンたちを包み込む。次の瞬間、光の玉が炸裂し、スケルトンたちを消滅させた。


「二人ともやるじゃないか」


俺も負けじとスキルを発動する。不死鳥の力で炎を生み出すと、それを刀に纏わせた。


「炎刃(えんじん)」


刀を振るうと、炎の斬撃がスケルトンたちを切り裂く。そしてそのまま奥まで続く廊下を駆け抜けた。


「どんどん行きましょう!」


エステルが元気よく言う。俺たちはさらに奥を目指した。


「はぁ……はぁ……」


途中でセレナさんが息を切らし始めた。どうやら魔力を使いすぎたみたいだ。そんな彼女をエステルが支える。


「ちょっと休もうよ」


エステルの提案で、俺たちは一旦休憩することにした。しばらく休んでいるとセレナさんの体力も回復してきたようだ。


「ごめんなさい。足を引っ張っちゃって」


「気にしないでいいよ」


俺たちは再び歩き出すと、分かれ道に差し掛かった。どちらに進むべきか迷っていると、突然地震が起こる。そして目の前に巨大なドラゴンが現れた。その大きさは5メートル以上はあるだろう。


「ここは私が!」


エステルが前に出ると、杖を掲げる。すると杖の先端が光り輝き始めた。


「水砲(ウォーターキャノン)!」


杖から水の弾丸が発射される。それはドラゴンに命中した。しかし、あまり効いていないようだ。ドラゴンは雄叫びを上げると口から火炎を吐き出した。


「防御結界(プロテクション)」


エステルの前に魔力の壁が現れ、炎から守ってくれる。だがこのままでは埒が明かないな……


「浄化の炎(ピュリフィケーション)」


俺は不死鳥の力で作り出した浄化の炎でドラゴンを焼くことにした。すると徐々にだがダメージを負っていくのが分かる。このまま押し切れそうだ。


「水氷槍(アイスランス)!」


「風刃(ウインドカッター)!」


エステルとルシアも魔法で攻撃していく。するとドラゴンの動きが鈍くなり始めた。このままいけば倒せそうだと思ったその時、突然ドラゴンの口からレーザーのようなものが出てきて俺たちを襲った。咄嗟に結界魔法を発動して防ぐものの、威力が強く体が吹き飛ばされる。


「くっ……なんだ今のは……」


ダメージは受けたが、不死鳥の力で回復させる。その間にドラゴンはさらに攻撃を仕掛けてくる。今度は爪で引っ掻いてきた。


「うぉ!?」


俺はギリギリで避けたが、結界魔法にヒビが入り始める。このままでは破られてしまいそうだ。どうすればいいんだ……そうだ! 俺はあることを思い出した。このダンジョンに入る前に市場で買った【身代わりのお札】のことを思い出すと、ポケットから取り出して使用する。すると光り輝くお札がドラゴンの攻撃を防ぐ結界を展開した。


「なにこれ!?」


「すごい!」


お札から放たれた結界はドラゴンの攻撃を弾いていた。どうやらこのお札は使用者が受けたダメージを代わりに引き受けてくれるらしい。これで心置きなく攻撃できるぞ!


「炎刃(えんじん)」


お札の力を付与した炎の斬撃でドラゴンにダメージを与えていく。そしてエステルたちも魔法で援護してくれたおかげで、ついにドラゴンを倒すことに成功したのだった。


「やったね!」


エステルが嬉しそうに抱きついてくる。俺は優しく彼女を受け止めた。


「よく頑張ったな」


「えへへ……」


頭を撫でてあげると、彼女は照れ臭そうに笑うのだった。


「もう! いつまでイチャイチャしているのよ!」


「そうよ。早く行きましょうよ」


ルシアとセレナさんが急かしてくるので、俺たちは先に進むことにした。その後も探索を続けていき、最下層へと辿り着く。


「財宝はこの先にあるはずだ」


「楽しみね!」


俺たちは期待しながら先へ進んだ。すると巨大な扉が現れる。どうやらこの先に財宝が隠されているようだ。俺はそっと扉を開けた。


「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


その瞬間、部屋の中から大きな咆哮が聞こえてきた。慌てて部屋の中を覗き込むと、そこには巨大なドラゴンの姿があった。


「まさかこのドラゴンが財宝を守っているのか?」


「そうみたいね……」


セレナさんが剣を構えながら呟く。


「こいつを倒して財宝は私たちが頂くわよ!」


エステルが杖を構える。するとドラゴンは雄叫びを上げてブレスを吐いた。その威力は凄まじく、あたり一面が焼け野原になるほどだった。


「防御結界(プロテクション)」


セレナさんが結界を張って攻撃を防いでくれる。その間に俺たちはドラゴンに攻撃した。しかし、その硬い鱗と硬い皮膚の前にはなかなかダメージを与えることができないでいた。


「水砲(ウォーターキャノン)!」


エステルが水弾を放つが、ドラゴンの魔法障壁によって防がれてしまう。


「闇雲に攻撃しても駄目だ。魔法防御の高いあの障壁をなんとかしないと……」


俺は考えた。どうすればあの強固な魔法防御を突破できるのか……そこでふとあることを思い出す。そうだ! お札の力を使えばいいんだ! 俺は不死鳥の羽を使ってお札を作り出して使用すると、目の前に光り輝く結界が現れた。これならいけるかもしれない!


「みんな! 攻撃を止めてくれ!」


俺の声を聞いて、三人が攻撃をやめる。ドラゴンは魔法障壁を張りながら尻尾を振り回してきた。俺は【時止め】で攻撃を止めると、お札の力を付与した炎の斬撃でドラゴンの障壁を破壊したのだった。


「今だ!!」


俺が合図すると、エステルたちが一斉攻撃を仕掛ける。三人の総攻撃を受けて、ついにドラゴンは倒れたのだった。


「やったぞ!」


俺たちは手を取り合って喜ぶと、財宝の回収を始めた。そこには数多くの金銀財宝と、美しい剣や盾などが入っていた。俺はその中から一本の剣を回収する。


「この剣は?」


「おそらく魔法剣だと思うわ」


セレナさん曰く、魔力の込められた特殊な力を持った武器らしい。これがあればさらに戦闘が楽になるかもしれないな……そんなことを考えていると、エステルがあることに気づいたようだ。


「ねぇ……この宝の山から一つだけ持っていくことにしない? 独り占めすると良くない気がする……」


たしかにそれもそうだと思った俺は仲間たちと相談して、一つだけ選ぶことにした。その結果、俺が選んだのは【聖剣デュランダル】だった。


「わぁ……綺麗な剣……」


エステルがうっとりとした表情でデュランダルを眺めている。俺は彼女に渡してあげた。すると彼女は嬉しそうに抱きついてきた。


「ありがとう!」


どうやら喜んでくれたようだ。その後俺たちは帰るために魔法陣に乗って地上に戻った。こうして俺たちのダンジョン探索は無事に終わったのだった……
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