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翌日、俺たちはパーティー【不滅の翼】を結成した。


「まずは活動の拠点を用意しましょう」


宿屋に毎日泊まるとなると、結構な出費になる。中古の物件でもいいから、家を買うのはどうかというセレナさんの提案に乗ることにした。


「さっそく不動産屋に行きましょう!」


冒険者ギルド経由で不動産を紹介して貰い、そこから中古の家を格安で購入した。


「ここがその家みたいだね」


不動産屋から家の鍵を受け取ってきた俺たちはその家を見に行くことにした。


「なんだかボロいね」


見た目は、少し古びた洋館だ。辺りに蔦が絡まっていて、少し不気味だ。


「でも、格安だったし文句は言えないわね」


「中に入ってみよう」


鍵を使って扉を開けるとそこは埃だらけだった。長い間放置されていたようだ。


「まずは掃除からだな……」


掃除用具は不動産屋から借りてきたので、家の中を徹底的に掃除することにする。


「お掃除♪ お掃除♪」


エステルが楽しそうに歌いながら箒で床を掃いている。


「よし、私も頑張るぞ」


セレナさんは雑巾を手に気合を入れると、壁にこびりついた汚れを落とそうとする。


「私も手伝うわ!」


ルシアも雑巾を持ってセレナさんの隣に立つ。それから数時間かけて家の中は綺麗になっていった。


「ふぅ……これでひと段落ね」


汗を拭いながら満足そうな表情を浮かべるセレナさん。彼女の足元にはゴミや汚れが山盛りになっている。


「まずは屋敷を見て回ろう」


俺たちは家の中を探検することにした。キッチンやお風呂、トイレなど一通り確認する。


「驚いたわ。お風呂の床は大理石よ。サウナまであるわ」


セレナさんが、浴槽を見て目を輝かせる。


「天蓋付きのベッドだ。ベッドはダブルサイズだよ」


ルシアが部屋の中にある大きなベッドを見つけて驚いている。


「おトイレ、凄い豪華!」


エステルがはしゃいでいる。最新式なのかウォシュレット付きの便座だった。トイレットペーパーまで備え付けてあるようだ。


「玄関に置いてあったのって……」


セレナさんが見つめる先には、紋章のついた立派な剣が置かれていた。その隣には盾も置いてある。


「これってもしかして……」


ルシアも気づいたようだ。どうやらこの家に住んでいた人物が貴族であることが伺える。


「どうしてこんな屋敷を手放したんだろうね?」


突然、家具がガタガタと動き出し、宙に浮かび上がる。


「なにっ!?」


「これは、ポルターガイストだわ!」


セレナさんが叫ぶと同時に、屋敷の中の家具が暴れだす。俺たちは戦闘態勢をとった。


「どうやらこの家は呪いの館のようね」


家具がこちらに向かって飛んでくる。俺はすかさず、結界魔法を発動させる。


「結界魔法(バリア)」


俺とセレナさんの前に透明な壁が出現して家具から身を守った。しかし、全ての家具を防ぐことはできないようだ。


「本体はどこだ?」


「カイト、床を見て」


ルシアが指さしたところを見ると、床に大きな魔法陣が描かれている。これがポルターガイストの元凶のようだ。俺は魔法陣を消すために魔力を注ぎ込んだ。


「浄化(ピュリフィケーション)」


魔法を唱えると魔法陣は消え去った。これでポルターガイストの心配はなくなっただろう。


『貴様ら! よくも我が住処を!』


すると、どこからか怒りに満ちた声が響き渡る。屋敷の中を見渡すと半透明の白い髪をした女性がいた。


『どうやらここの土地神のようだな』


「どうしてこんなことをしたんだ?」


『元々この土地は我を奉る社があった。だが、人間たちがこの洋館を建てたせいで我の社は壊されてしまったのだ!』


「なるほど、それで怒ってポルターガイストを起こしていたのか」


『そうだ! 人間どもに復讐してやる!』


「じゃあ、新しい社を作ってあげるよ。そうすれば許してくれる?」


『本当か!?』


俺たちは外に出ると、【錬金】スキルで屋敷の庭に立派な社を建てた。


『感謝するぞ、人間よ』


社を綺麗にすると、土地神は満足したようだ。


『今後はそなたの力となろう』


こうして、新たな仲間、土地神【山姫】が加わったのだった。
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