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それからダンジョンを進んでいき、ようやく地上に辿り着いた。


「久しぶりの太陽だ……」


「カイト、これからどうするのじゃ?」


「そうだな……とりあえずは冒険者ギルドに行ってみようと思う」


【収納】スキルがあれば、魔物の素材や魔石を売ってお金にすることができる。


「じゃあ行こうか」


「うむ」


こうして俺とリザは街を目指して街道を歩いていくのであった。


「どうやらこの先で、何者かが馬車を襲っているようじゃぞ」


街に向かって街道を歩いていると、リザがそんな報告をする。


「助けに行くぞ!」


「うむ」


俺たちは急いで現場に向かう。すると馬車と、武装している男達が揉めていた。


「おい! 早くその馬車にある金目の物を出しやがれ!」


「む、無理です! これは大事な商品なんです!」


どうやら商人の馬車を盗賊が襲撃しているようだ。男の一人は剣を振りかざして、商人を脅しつけている。


「ならこの荷物を貰っていくぜ?」


「それだけはおやめください!」


その時、俺のドロップキックが盗賊の後頭部を捉える。盗賊は凄い勢いですっ飛んでいく。


「な、なんだてめぇらは!」


「通りすがりの冒険者だ」


「ただの通りすがりの冒険者がドロップキックなんてするか!」


男は俺に剣を向ける。


「てめぇら! こいつらを殺せ!」


すると馬車を囲んでいた盗賊たちが、一斉に襲いかかってくる。


「縮地」


俺は盗賊たちの攻撃を躱し、盗賊たちの背後に回る。そして、盗賊たちの首筋に手刀を叩き込み気絶させた。


「なっ!?」


あっという間に盗賊たちは全滅し、商人は驚く。


「大丈夫ですか?」


「え、ええ……ありがとうございます」


俺は商人に声をかける。どうやらこの盗賊たちは、最近街で話題になっている人攫いのようだ。


「私はバーンズと申します。このたびは危ないところを助けていただきありがとうございました」


「俺はカイト、こっちは仲間のリザだ」


俺たちは自己紹介をする。


「よろしければアーガスにある私の屋敷まで来てください。そのお礼もしたいので」


「では、お言葉に甘えて」


こうして俺たちはバーンズさんの馬車に乗って、アーガスの街に向かうのであった。





アーガスの街に到着した俺たちはバーンズさんと一緒に屋敷に向かった。


「お帰りなさいませ旦那様!」


屋敷に入ると、メイドが出迎える。


「この方たちは盗賊から私を救ってくれたのだ。丁重にもてなすように」


「畏まりました」


執事に案内されて客間に通される。


「ではごゆっくりどうぞ」


そう言って執事は部屋を出て行った。


「改めて、カイト様。この度は私の命を助けて頂き、誠にありがとうございました」


バーンズさんは頭を下げてお礼を言った。


「いえ、気にしないでください」


「困った人を助けるのは当然のことじゃ」


俺たちは頭を下げるバーンズさんに頭を上げるよう促す。


「それでお二人は今日はどうされるのですか?」


「実は俺たち冒険者でして……この街の冒険者ギルドに登録しようと思ってます」


「そうですか、ではこの街で困ったことがあればいつでもおっしゃってください」


「ありがとうございます。なにかあれば頼りにさせてもらいますよ」


それからバーンズさんと夕飯を食べることになった。


「遠慮無く食べてください。この街で一番のシェフに作らせた料理です」


「では、遠慮なく」


俺たちは料理を口にする。


「美味い!」


俺は思わず声をあげてしまった。今まで食べたことがないくらい美味しい!


「おにぎりの方がよほど美味いぞ」


「何ですかな。そのおにぎりというのは?」


「俺が作った料理です。よろしければ食べますか?」


俺はおにぎりを地球から取り寄せ、バーンズさんに差し出す。


「これはどうやって食べるのですかな?」


俺はおにぎりの食べ方を説明した。


「なるほど……では頂きます」


バーンズさんは一口食べると、驚いたように目を見開いた。


「こ、これは美味い!」


「お口にあったようで良かったです」


「よろしければこの食べ物を我が商会で取り扱わせていただきたい! 儲けは折半で如何でしょうか?」


「ええ、構いませんよ」


思わぬところで臨時収入が入ってしまった。


「では、今日はこのへんでお開きにしましょう。部屋は用意させていますので、そちらでお休みください」


「何から何まですみません」


「いえいえ、お二人には命を救って頂いた恩がございますので」


俺たちは客間に案内される。そして俺はベッドに横になった。するとリザが俺のベッドに潜り込んできた。


「どうした? もう寝るのか?」


「うむ……今日は疲れたのじゃ……」


「そうか……おやすみ」


こうして俺たちは眠りにつくのであった。
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