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それから数日後、俺は執務に勤しんでいた……リリアナとリーゼロッテも手伝ってくれているが、やはり俺が一番仕事をこなせるからな。今日も朝から書類の山を片付けている……するとリリアナが声をかけてきた。


「アベルさん、今日の仕事はもう終わりましたよ」


どうやら全部終わらせてくれたようだな、助かるよ。俺は礼を言いながら彼女を見る……スカートが少し捲れていてパンツが見えてしまっていたな……しかし彼女は全く気にしていない様子だ。俺がじっと見ていると彼女もその視線に気づいたようだ。顔を赤くして慌ててスカートを整える……


「ア、アベルさん……あんまり見ないでくださいよ……」


恥ずかしそうにもじもじとする姿がとても可愛かったので、俺は思わず笑ってしまった。するとリリアナはさらに顔を赤くしながら頬を膨らませた。そんなやり取りをしているとリーゼロッテが戻ってきた……手には書類を持っているな?彼女は机の上に書類を置くと俺に話しかけてきた。


「アベル様、次は何をしましょうか?」


そうだな……また二人で書類の整理でもしてもらおうかな?俺がそう提案してみると二人は快諾してくれたのでさっそく取り掛かってもらうことにした。


「終わったら教えてくれ」


俺がそう伝えると二人は頷き書類の整理を始めた。俺はそれを眺めながら今後のことを考えることにした……今、この国は非常に危うい状況にある。もし内乱が起きたりすれば大変なことになるだろうな……ただでさえ貴族同士の争いが続いているというのに……早く戦争を終わらせる必要があるな。そのためには色々と準備が必要だがまずは国内の安定だな……

そんなことを考えながら作業を続けていると、いつの間にか一時間ほどが経過していたようだ。二人を呼ぶとすでに書類整理が終わっていたようだな、さすがだな……俺は二人に礼を言うと、彼女たちを連れて部屋を出た。今日は久しぶりに三人で出かけるか……俺がそう提案すると二人は嬉しそうに頷いた。


「どこに行きますか?」


リリアナが尋ねてくるので俺は考え込んだ……ふむ、どうしようかな?せっかくだし買い物に付き合ってもらおうかな?俺がそう提案すると二人は笑顔で頷いてくれた。決まりだな……俺たちは街へ出ると店を見て回ることにした。特にこれといって目的があるわけではないから適当に歩くことにしようかな……そんなことを考えながら歩いているとリーゼロッテが俺の袖を引っ張った。


「アベル様、あの店に行きたいです」


彼女が指さしたほうを見るとアクセサリーの店があった。そういえば最近はあまり買い物をしていなかったな……せっかくだから何か買っていくことにしようか。俺は二人を連れて店の中に入ることにした。店内には様々な装飾品が並んでいるな……どれがいいだろうか?俺が悩んでいるとリリアナが声をかけてきた。


「アベルさん、これなんかどうでしょう?」


彼女が手に持っているのはピアスだった。綺麗な宝石がついているが一体いくらするのだろうか?値段を確認すると結構高いな……でもせっかくリリアナが勧めてくれたのだから買っていくか。俺が買う意思を示すと彼女は嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとうございます!」


リーゼロッテのほうはペンダントを選んでいたようだ……小さな宝石がついた可愛らしいデザインだな……彼女はそれを買うことにしたらしい。


「ありがとうございます……」


彼女も喜んでいるようだな、よかったよ。さてそろそろ店を出ようかと思い外に出ると、ちょうどリリアナが俺に声をかけてきた。


「アベルさん、少し休憩しませんか?」


そうだな……少し疲れたし休憩するか……俺が頷くと、三人は近くにあったカフェに入った。店内は落ち着いた雰囲気で過ごしやすいな。俺たちはそれぞれ飲み物を注文して席に座ると一息ついた。


「このパンケーキ美味しいですね!」


リリアナが幸せそうな表情を浮かべているな。確かにこのパンケーキは美味しい……リーゼロッテのほうを見ると彼女も美味しそうに食べていた。そんな二人を見ているとなんだか幸せな気分になるな……しばらくゆっくりとした後、俺たちはカフェを後にした。その後は街をぶらぶらと散策したりして楽しんだ。


「楽しかったですね!」


リリアナが満足そうな表情で話しかけてくる。リーゼロッテも笑顔で頷いているな……二人とも楽しんでくれたようで何よりだな……その後も俺たちは街で過ごした後、屋敷に戻ることにしたのだった。屋敷に戻ったあと夕食の時間までは少し時間があったので、俺は自分の部屋で休むことにした……ベッドの上に寝転ぶとすぐに睡魔がやってきたので俺は抗うことなく眠りに落ちていった……
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