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翌日、私とカイトは王都の外に広がる街道から少し外れた草原に来ていた。目的はポーションを作る薬草を採取するためだ。
「はい、これ使ってください」
私はカイトに採取用のナイフを渡すと、彼も慣れた手つきで薬草を採取する。
「結構あるんだな」
「そうですよ。この量なら半日もあれば終わります」
私がそう言うと彼は面倒くさそうな表情を浮かべるが、諦めて作業に取り掛かった。黙々と薬草を採取していく様子を横目で見ながら、私はマンドラゴラを探すことにする。
(確かこのあたりにあったと思うんだけど……)
しばらく探していると、木の根元にそれらしい植物を発見した。
(あった!)
私は内心喜びながら採取していく。そしてある程度集め終わると、ガイルの元へ戻った。
「薬草は集まりましたか?」
「あぁ」
彼は麻袋に入った薬草を見せてきた。どうやら満足のいく量が集まったらしい。私はカイトからそれを受け取ると、彼に告げた。
「あと10袋お願いします」
「……まだやるのか?」
不服そうな表情を浮かべる彼に私は微笑みかけると言った。
「まだまだ足りませんよ?」
それからしばらく採取作業を続けると、私はカイトに問いかける。
「そろそろお昼にしましょう」
私がそう言うと彼はため息をついた。どうやらかなり疲れているらしい。でも休ませるつもりはなかった。彼には頑張ってもらわなければ困るからだ。なので私は昼食の入ったバスケットを手に持つと、さっさと歩き出したのだった。そして木陰を見つけてそこに座り込むと、隣をポンポン叩いて彼に座るよう促す。すると彼は渋々といった様子で隣に腰を下ろした。
「どうぞ召し上がれ」
私はそう言うとバスケットを開けて中身を彼に見せる。中にはサンドイッチが入っていた。それを見たカイトは遠慮なく手をつけると、勢いよく食べ始める。よほどお腹が空いていたのだろう。あっという間に平らげると、私に皿を返してきた。どうやらもう食べたくないらしい。私は苦笑しながら皿を受け取ると、代わりに水筒を手渡した。そして昼食を終えた私達は再び薬草を採取することにした。
「終わったぞ」
全て集め終わったのは日が暮れる寸前のことだった。私はお礼を言ってから、帰り支度を始めるとカイトに告げる。
「じゃあ帰りましょう」
こうして私達の薬草集めは終わったのだった。そして屋敷に戻ってくると、真っ先に工房室へと向かう。
「さて、それじゃあポーションを作りましょう!」
「めんどくせぇ……」
「働かざる者食うべからずですよ?」
私がそう言うと、彼は面倒くさそうな表情を浮かべるものの受け入れてくれた。そして彼に薬草を種類ごとに洗ってもらうと、私はそれを刻んですり潰す。その作業を黙々と2人でこなしていると、いつの間にか日は沈み夜になっていた。それから数時間をかけて全ての薬草をすり潰すと、いよいよ調合に入る時が来た。
「カイト、これ混ぜてください」
私は調合用の乳鉢と乾燥させたマンドラゴラの根を渡す。彼はそれを受け取って調合を始めるが、その手つきは慣れたものだった。私はその様子を見守りながら彼が混ぜ終わった液体を瓶に詰めると、蓋をして彼の前に差し出した。
「これで完成です!お疲れ様でした」
私が労いの言葉をかけると彼は疲れたような声で応える。
「あぁ」
「明日はエーテルを作りましょうね」
「……めんどくせぇ」
こうして私達は日が暮れるまでポーション作りに勤しむのだった。
「はい、これ使ってください」
私はカイトに採取用のナイフを渡すと、彼も慣れた手つきで薬草を採取する。
「結構あるんだな」
「そうですよ。この量なら半日もあれば終わります」
私がそう言うと彼は面倒くさそうな表情を浮かべるが、諦めて作業に取り掛かった。黙々と薬草を採取していく様子を横目で見ながら、私はマンドラゴラを探すことにする。
(確かこのあたりにあったと思うんだけど……)
しばらく探していると、木の根元にそれらしい植物を発見した。
(あった!)
私は内心喜びながら採取していく。そしてある程度集め終わると、ガイルの元へ戻った。
「薬草は集まりましたか?」
「あぁ」
彼は麻袋に入った薬草を見せてきた。どうやら満足のいく量が集まったらしい。私はカイトからそれを受け取ると、彼に告げた。
「あと10袋お願いします」
「……まだやるのか?」
不服そうな表情を浮かべる彼に私は微笑みかけると言った。
「まだまだ足りませんよ?」
それからしばらく採取作業を続けると、私はカイトに問いかける。
「そろそろお昼にしましょう」
私がそう言うと彼はため息をついた。どうやらかなり疲れているらしい。でも休ませるつもりはなかった。彼には頑張ってもらわなければ困るからだ。なので私は昼食の入ったバスケットを手に持つと、さっさと歩き出したのだった。そして木陰を見つけてそこに座り込むと、隣をポンポン叩いて彼に座るよう促す。すると彼は渋々といった様子で隣に腰を下ろした。
「どうぞ召し上がれ」
私はそう言うとバスケットを開けて中身を彼に見せる。中にはサンドイッチが入っていた。それを見たカイトは遠慮なく手をつけると、勢いよく食べ始める。よほどお腹が空いていたのだろう。あっという間に平らげると、私に皿を返してきた。どうやらもう食べたくないらしい。私は苦笑しながら皿を受け取ると、代わりに水筒を手渡した。そして昼食を終えた私達は再び薬草を採取することにした。
「終わったぞ」
全て集め終わったのは日が暮れる寸前のことだった。私はお礼を言ってから、帰り支度を始めるとカイトに告げる。
「じゃあ帰りましょう」
こうして私達の薬草集めは終わったのだった。そして屋敷に戻ってくると、真っ先に工房室へと向かう。
「さて、それじゃあポーションを作りましょう!」
「めんどくせぇ……」
「働かざる者食うべからずですよ?」
私がそう言うと、彼は面倒くさそうな表情を浮かべるものの受け入れてくれた。そして彼に薬草を種類ごとに洗ってもらうと、私はそれを刻んですり潰す。その作業を黙々と2人でこなしていると、いつの間にか日は沈み夜になっていた。それから数時間をかけて全ての薬草をすり潰すと、いよいよ調合に入る時が来た。
「カイト、これ混ぜてください」
私は調合用の乳鉢と乾燥させたマンドラゴラの根を渡す。彼はそれを受け取って調合を始めるが、その手つきは慣れたものだった。私はその様子を見守りながら彼が混ぜ終わった液体を瓶に詰めると、蓋をして彼の前に差し出した。
「これで完成です!お疲れ様でした」
私が労いの言葉をかけると彼は疲れたような声で応える。
「あぁ」
「明日はエーテルを作りましょうね」
「……めんどくせぇ」
こうして私達は日が暮れるまでポーション作りに勤しむのだった。
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