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スカーレットが降伏した後、俺たちは廃墟を後にし、彼女をギルドに引き渡すことになった。しかし、その道中、スカーレットは終始不敵な笑みを浮かべ、意味深な言葉を漏らし続けていた。


「あなたの結界術、まさかあの術式に通じるものだったとはね……」


「あの術式?」俺は眉をひそめた。


スカーレットはわざとらしく肩をすくめる。「知らないの? まあ、あなたがそれを完全に理解していないなら、それはそれで幸いかもしれないわ」


「どういう意味だ?」


俺の問いに答えず、彼女は静かに口を閉ざした。その沈黙が何か不吉なものを予感させる。エルザも気づいているのか、険しい表情を浮かべていた。





ギルドに到着した俺たちは、スカーレットを拘束するための特殊な魔道具を使用した。彼女の強大な魔力を封じるには、この街でも最上級の結界が必要だった。


「これで一安心ですね」エルザがほっと息をついたとき、スカーレットは小さく笑った。


「ふふ……本当にそう思う?」


その言葉と同時に、空気が一変した。ギルドの建物全体に異様な圧力がかかり、魔力の嵐が巻き起こる。


「な、なんだ!?」フィーナが驚きの声を上げる。


「おそらく、彼女の仕掛けた何かだ」俺は瞬時に結界を展開し、周囲を保護した。しかし、この魔力の波動はただの魔法ではない。スカーレットは拘束されたまま、楽しげに笑っていた。


「私を捕らえることができたからといって、全てが終わったわけではないわ。この都市にはまだ多くの秘密が眠っている。そして、それらの一部は……あなた自身にも関係しているのよ、カイト」


「俺に関係している?」


スカーレットは頷いた。「あなたの結界術、その力はこの都市が隠している『古代魔道』と密接に関わっている。それを知ったとき、あなたは自分の本当の役割を知ることになるでしょうね」


エルザが慌てた様子で声を上げる。「古代魔道……そんなものはただの伝説のはず! それが本当に存在するというのですか?」


「信じるかどうかはあなた次第よ。ただ、カイトの力がそれを証明する鍵になる……」


そう言い残し、スカーレットは再び沈黙した。だが彼女が語った言葉は、俺の胸に重く響いた。





その夜、俺は一人で宿の部屋の中で考え込んでいた。スカーレットの言葉が頭から離れない。俺の結界術が古代魔道に関わっているというのなら、その真相を突き止める必要がある。


「……カイト、大丈夫?」


部屋のドアがノックされ、フィーナが顔を覗かせた。心配そうな表情をしている。


「ああ、大丈夫だよ。少し考え事をしていただけだ」


俺は微笑んで見せたが、フィーナは納得していないようだった。「無理しないでね。何かあったら相談して」


「ありがとう、フィーナ」


フィーナが出て行った後、俺は窓の外を見つめた。この街の秘密と、俺の力の真実。俺はそれを知るために動く覚悟を決めた。
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