世界最強の大魔王は人間に転生し、世界最強の冒険者を目指す

18

数日後、俺たちは王砂結晶を使って新しい武器を作ることにした。


「さて、どんな形にしようか……」


俺は思案しながら加工用の道具を用意する。アンナも一緒になって考えてくれるようだ。


「まずは大きさを決めないといけませんよね」


アンナの言葉に頷く。確かにその通りである。大きすぎると扱いづらいだろうし、小さすぎると戦力として心許ないかもしれない。


「そうだな……とりあえずこれくらいでいいか？」


俺は適当なサイズを決めると早速作業に取り掛かったのだった……。


「ふぅ……やっと終わったな」


数時間後、ついに王砂結晶を使った武器が完成した。見た目はシンプルだが、その性能には期待できそうだ。


「早速試してみるか？」


俺が言うと、二人は大きく首を縦に振った。そして俺たちは第6階層へと降りていったのだった……。


「よし、この辺りでいいだろう」


第6階層は森林エリアだ。ここでは動物型の魔物が多く生息している。その中でも特に危険とされているのが……


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ！！！！！！！！！」


雄叫びを上げながら現れたのは巨大な熊だった！その大きさは通常の個体をはるかに上回っており、まさに王者と呼ぶにふさわしい威容を誇っていたのだ。


「あれは……クリスタル・ベア！」


アンナが緊張した面持ちで言う。そう、目の前にいる魔物こそ第6階層の支配者なのだ！


「こいつは強いぞ。油断するなよ？」


俺が言うと、二人は大きく頷いた。そして慎重に距離を詰めていく……するとクリスタル・ベアが動き始めた！巨体に似合わない俊敏な動きで突進してくる！


「クッ……！ 速い！」


咄嵯に身をかわすが、完全には避けきれずダメージを負ってしまう。しかしここで引くわけにはいかないのだ！ 俺は剣を構えると再び立ち向かった！


「神速剣術・瞬閃！」


俺の得意技。通常の剣士なら一度に一つの斬撃しか繰り出せないが、俺なら千の斬撃を同時に放つことができる！


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ！！！！！！！！！」


クリスタル・ベアが悲鳴を上げる。全ての斬撃が急所を的確に捉えていた。


「これでトドメだ！」


俺はとどめの一撃を放った！すると……なんとクリスタル・ベアが真っ二つに割れたのだ！


「す、すごい……」


アンナが驚いている。無理もないだろう。一撃であの巨大な魔物を倒してしまったのだから……。


「次は七階層のボスだな」


俺はそう呟くと、第7階層へと降りていくのだった……。


第7階は湖エリアだ。ここでは水棲系の魔物が多く生息しており、中には巨大な龍なども確認されている。しかし今回は目的が違うので無視することにした。


「さて、次は何が出てくるかな……」


俺が言うと、二人は緊張した面持ちで辺りを見回している。するとその時だった！ 巨大な水柱が上がったかと思うと中から何かが出てきたのだ！ それは全長10メートルを超えるほどの巨大な蛇であった！ しかもその頭部には王冠のようなものが見える。つまりこいつは……


「水龍、アクオス・サーペントか！」


アンナが震える声で呟く。そう、こいつは第7階層のボスだったのだ！


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ！！！！！！！！！」


咆哮を上げながら襲い掛かってくるアクオス・サーペント。その巨体はまさに圧巻だ！


「くっ……！ なんて迫力なんだ……！」


俺は思わず後ずさった。だがここで逃げるわけにはいかない！ 覚悟を決めて剣を構えた瞬間、アクオス・サーペントが口から水流を吐き出した！


「遅い！」


俺はそれを難なく躱すと、一気に距離を詰めた！ そしてそのまま渾身の一撃を放つ！


「神速剣術・一閃！！」


アクオス・サーペントの巨体が二つに割れ、崩れ落ちる。


「ふぅ……」


なんとか倒すことができたようだ。だがまだ終わってはいない。俺は息を整えると次の階層へと向かったのだった……。