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翌日、俺たちはオーリンさんや港の人たちに別れを告げ、街を後にした。そして再び旅を続けるのだった。


「ねえナオト! 次はどこに行きたい?」


フィーナは笑顔で問いかける。俺は少し考えてから答えた。


「ストービーに行ってみたいな」


「ストービー?」


「グラントニアからみて西に位置する国だ。主に獣人たちが暮らしている、緑豊かな国らしいぞ」


「そうなんだ! じゃあそこに行ってみよう!」


こうして俺たちは獣人国へと向かうことにした。新たな出会いや冒険が待っているかもしれないと思うと胸が高鳴るのだった……。


「ナオト様」


「どうした、リリィ?」


「ここより10キロ先から叫び声が聞こえてきました。恐らく誰かが魔物に襲われているのだと思います」


「分かった! 助けに行くぞ!」


俺はリリィと共に走り出した。しばらく走ると、前方に獣人の少女を襲おうとする魔物の姿が見えてきた。あれは……オーガだ! しかも1体だけじゃない、10体はいるぞ……!


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


1体のオーガが雄叫びを上げながら棍棒を振り回す。その風圧で周囲の木々がなぎ倒された。


「リリィ! 行くぞ!」


「はい、ナオト様!!」


俺とリリィは剣を抜き放ち、オーガの群れに突撃する!


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


1体のオーガが俺に向かって棍棒を振り下ろしてきた。それを紙一重でかわし、カウンターを放つ!


「くらえっ!」


俺の攻撃は見事命中し、オーガは倒れた。しかし他のオーガたちも一斉に襲いかかってくる。俺はそれらを全て切り裂いていった。


「まだだ!」


2体目のオーガが背後から襲い掛かってきた。だがその攻撃を読んでいた俺は、振り向きざまに剣で斬り裂いた! そして最後の一体をリリィが仕留める。これで全てのオーガを倒したようだ。


「ふぅ……終わったな」


「お疲れ様です、ナオト様」


「ああ、ありがとう」


俺は傷付いた少女の元へ向かう。


「ステータスオープン」


ララ:Lv2

HP:1/10

MP:10/10

攻撃:5

防御:4

魔攻:4

魔防:3

素早さ:3


状態

・瀕死


「このままではこの子は死んでしまいます!」


俺はスキル【プログラミング】を発動する。ポイントを消費することでステータスを書き換えることが可能なスキルだ。


「スキル発動」


俺は10万ポイントを消費して、状態異常を直す。すると少女の怪我が一瞬で治った。


「す、すごすぎます! こんな状態になったら、普通はエリクサーが必要ですよ! 流石ですナオト様!」


リリィが驚きと賞賛の声を上げる。やがて、少女が目を覚ます。


「あれ……? あたし……死んだんじゃ……?」


彼女は自分が生きてることに、驚いてるようだ。


「大丈夫だ。魔物は俺が殲滅した。君の怪我は俺が治しておいたよ」


俺がそう言うと、女の子はぽろぽろと涙を零し始めた。


「怖かった……死ぬかと思った……」


「もう大丈夫だよ」


俺が優しく声をかけると、女の子は俺にしがみついて泣き出した。俺はその小さな身体を抱き寄せて頭を撫でてやる。しばらくそうしていると落ち着いたようだ。


「あ、あの……ありがとうございます! あなた様のおかげで命拾いしました!」


女の子は涙を拭いながらお礼を言ってきた。


「気にしないでくれ。それより君の名前は?」


俺が尋ねると、女の子は答えた。


「私はララといいます。猫族のララです!」


ララと名乗る獣人の女の子は、元気を取り戻したようだ。俺はララに事情を尋ねた。彼女は近くの村に住む少女で、今日は薬草を探しに森に入ったそうだ。そして運悪くオーガに襲われてしまったという訳か……


「ナオト様、この子を村まで送ってあげましょう」


リリィの提案に賛成し、俺たちはララの村に向かうことにした。


「私の村は【パルス村】といいます」


「確かストービーの南西にある村だったな」


「実は今、大変なことになってて……」


馬車が森を抜けると、猛烈な熱気が襲ってきた。まるでサウナの中にいるようだ。


「【スノーウィンド】!」


冷気の風で暑さを和らげる。


「涼しいわ!」


「お兄ちゃん、何したの?」


「俺のスキルさ。暑さを和らげる効果がある」


そのまま馬車を走らせるが、目の前に広がっていたのは、草一つ生えない荒野だった。


「妙だな、この国は水源が豊富で、緑豊かな場所なんだが……」


俺は背後にいる、ララに尋ねる。


「いつからこんなふうになったんだ?」


「この村は緑豊かな村でした、でもある日突然、異様に暑くなってしまって……原因は不明です……」


「とりあえず村に行ってみよう」


俺たちはパルス村の門まで来た。道中どこを見渡しても、草一本生えていなかった。


「本当にここが村なのか?」


村には何もなかった。熱気で燃えてしまったのか黒く焦げた、柱らしき残骸と、何かの破片が散らばっている。


「【ストームブリザード】!」


村を冷たい吹雪で包み込むことで、異様な熱気は収まった。


「な、なんだ? 急に涼しくなったぞ?」


「冷たくて気持ちいい!」


熱気が収まったことで村人が姿を現し始めた。俺は事情を話すと、彼らは驚きながらも歓迎してくれた。


「私が村長のアモンと申します。この度はララを助けてくださり、誠に感謝いたします」


「今は俺のスキルで村は涼しくなっているが、俺がここを立ち去ると、また元の状態に戻ってしまう。どうしてこんなに暑くなったのかを突き止めなければいけない」


「それはありがたいことですが無理です。我らは自然には逆らえません。勇者様のような素晴らしい御仁であれど、さすがに自然環境をどうこうできるのは不可能だと思われます」


「それはどうかな」


俺は外に出ると、村のステータスを開く。


パルス村

人口:50人

活気:20

認知度:30

知名度:30

資源:20


状態

・猛暑


「今からこの村の異常気象を解決してやる」


俺は【プログラミング】で猛暑を冷夏に書き換えた。すると、大気が冷え込み過ごしやすい気温へと変化していった。


「村が涼しくなっていくぞ!」


「あんなに暑かったのに、嘘みたい!」


村人達は歓喜の声を上げる。


「お兄ちゃん、すごい!」


「さすがナオト様です!」


ララとリリィが俺に抱きついてきた。


「ありがとうございます! お陰さまで村は救われました! あなた様は救世主です!」


村長は涙を流しながらお礼を言ってきた。


「気にするな。これも勇者の務めだ」


俺は村人たちから感謝の言葉を受けつつ、パルス村を後にした。
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